09/05/26 06:10:09 uG4MiOP8
>>417
コンピュータの革新においてCrayには一定の評価はある。
しかし、それを猿真似しただけのIBM、富士通、日立、NECには大した評価は無い。
全部メインフレーム系。メインフレーム=スカラプロセサだ。
NECはSXのスカラを新規に開発してしまうという愚をおかしたが、
基本的には当時ラインしていたACOSメインフレームと同等のテクノロジで開発された同列のマシンだった。
IBM、富士通、日立、NECはいずれもメインフレームというスカラマシンにベクトル演算機構をくっつけ、
ベクトル命令をインプリしただけのもの、簡単なものだ。
Crayの成功を見れば猿真似にそんなに時間は掛からなかった、
IBMは参入自体が遅く、NECはスカラもメインフレームとは別に開発してしまったから市場投入は遅れたが、
富士通と日立はかなり早期に市場投入している。
しかしその後、IBM、富士通、日立はワンチップアプローチで台頭してきたコンピュータがやがてメインフレームを上回るようになると、
メインフレーム自体と、メインフレーム(スカラ)+ベクトル機構+ベクトル命令というスタイルのスパコンから撤退した。
ワンチップが席巻するようになり、メインフレームでビジネスが成り立たなくなったからだ。
だから自動的にメインフレームがにベクトルを積むスパコンからも撤退した。
商売が成り立たないのだからある意味当たり前だ。
しかし撤退せずに作り続けたのがNECだった。
この時点で今の袋小路の状況は決定付けられていたのだが、
事業再編にとことん消極的で手遅れになってから手をつける今のNECの姿を見るとさもありなんだw
スカラにベクトルくっつけるのなんて大した技術でもなんでもない。
配列要素格納用大容量レジスタ、何の変哲も無い演算パイプライン、わずかな制御、それだけだ。
だからCrayの猿真似でいいのであれば簡単にできたのだ。
しかしスカラプロセサはそうはいかない。
メインフレームがオープンなワンチップ系に敗北を喫っしたとなれば、
挽回には同等のオープン性を確保したワンチップアプローチ(厳密には当時は少数チップ構成もあった)の投入と、
オープンアプローチによるプロモーションが必要だった。
物凄く苦しいことだ。
IBMはPowerという脱出カプセルで脱出を目指した(成功)。
日立は撤退。
富士通はSparc(成功するかどうかは不明)。
どれもビジネス的には一つの選択になっている。
しかしNECはおバカなことに、
オープンでもなんでもない独自スカラにベクトルを積んだだけのものを作り続けた。
世の中スカラ性能で勝るオープンな環境が覇を競う中でだ。
自殺行為。まともに開発費など回収できるわけも無い。
どういう見通しがあったかは想像するしかないが、官需頼みのいかにもNECらしいビジネスで食いつなごうとしたと思われる。
しかし結局は永続性が無かったのだ。
ただ言えるのは、ベクトル自体が本質的にダメな方式なのではない。
NECのアプローチがビジネス的に成り立たないアプローチだったに過ぎない。
今後、ベクトルのニーズが発生する可能性も無いとは言えない。
もしそういう時代になれば、有力マイコンにベクトルを積むくらい大した開発は必要ない。そうCrayの猿真似程度なのだ。
そういう意味ではベクトルが無くなった、とか、ベクトルが敗北したという言い方は成り立たない。
単にNECのアプローチが最初から成功の目が無かったというに過ぎないのだ。