09/05/08 03:44:30
仏金融大手BNPパリバ証券の東京支店が昨年、不動産会社アーバンコーポレイ
ションの増資を巡って行政処分を受けた際に、金融庁に事実と違う報告をした
疑いがあることが分かった。増資関与と同時に、自社の利益目的で契約枠を超えた
アーバン株取引をしていたことを、告げていなかった模様だ。
証券取引等監視委員会は、パリバ関係者からの情報提供や立ち入り検査により、
この疑いを把握。事実ならば、処分の軽重を決める上での基本的な前提が変わる
ため、金融庁に再度の処分を勧告することも視野に入れている。
パリバは昨年6月、アーバンから転換社債300億円を引き受けた。同時に、
その社債をパリバが株式に転換して市場で売って得た金額をアーバンに渡す
「スワップ契約」を締結。株価が下がればアーバンの調達額は減る仕組みだが、
この契約はパリバの要請で公表されなかった。アーバンは91億円しか調達できず、
8月に民事再生法適用を申請。パリバは手数料やアーバン株売却で約12億円の
収益を得た。
当時のアーバン株売却について、パリバは「スワップ契約に基づく機械的な取引」
と金融庁に報告していた。ところが今回、この報告が事実と異なる疑いが出てきた。
関係者によると、実際には、契約で定めた量を超えてアーバン株を売っていたという。
取引部門の社員が利益をねらい、契約に基づく売却に合わせて取引していたと見られ
ている。
意図的な虚偽報告だったかどうかは現時点では不明とされるが、隠す目的がないと
しても、会社が取引実態を把握できていないことになるため、監視委は管理態勢に
ついて詳しく調べる方針だ。
金融庁は昨年11月、パリバが投資家の重要な判断材料になる契約を公表しないよう
働きかけたことを問題視し、業務改善を命令。ただ、報告を前提に、アーバン株売却
には問題がなかったとしていた。
一方、パリバの外部検討委員会は、未公表の契約の存在を知りながらアーバン株を
売っていたことについて「インサイダー取引に該当する可能性は否定できない」と
指摘。パリバ側は、契約上の「機械的な取引」なので問題はないと主張していたが、
自社の利益目的での契約外の売買があったとすれば、こうした主張の根拠も揺らぎ
かねない。
パリバは昨年の業務改善命令を受けて、再発防止策を含む改善計画を1月に金融庁に
提出したが、現時点まで計画内容を公表していない。今回の問題が発覚したため、
改善計画が確定できない状況とみられる。
BNPパリバ東京支店は「証券取引等監視委員会による検査期間中で、個別取引に
関する質問には答えられない。社内処分は、本社による監査結果などを踏まえて、
決定される」としている。
◎BNPバリバ・グループ
URLリンク(japan.bnpparibas.com)
◎ソース
URLリンク(www.asahi.com)