09/05/10 09:16:52 eTOYDrEv
◆問題は労働の量ではなく質にある
(前略)『日経新聞』は、1月6日付の記事で、…次のように書いています。
>(派遣法改正等)の規制緩和は労使双方に恩恵をもたらした。企業は人件費を抑制しながら迅速に労働力を確保できるようになった。
>労働者を雇いやすくなった分、雇用の受け皿が拡大。05-07年の完全失業率は世界的に低い4%台で推移している。◇
その通りです。しかし、現在の最大の問題は、雇用の量の拡大が質の低下をもたらしてしまったという点にあります。
確かに(05-07年の)失業率は低下しました。その代わり、働いても生活できないワーキングプアが増大し、
雇用調整によって簡単にクビを切られるようになってしまったのです。
だからこそ、このような事態を生み出した原因の除去が課題になっているのではありませんか。
『日経新聞』の記事が肯定的に評価するこの間の雇用の拡大とは、派遣労働を含む非正規雇用の拡大です。
その結果、働く人々の3分の1以上が非正規労働者で占められるようになりました。
そして、年収200万円以下のワーキングプアと呼ばれる人々が1000万人を越えてしまったのです。
「物件費」で雇用される派遣労働者が人間扱いされないため、
簡単に「派遣切り」にあって大量解雇されていることは、この記事を書いた記者の方もよくご存知のはずです。
この記事は、問題は雇用の量ではなく質にあるという、今日の労働が直面している課題の本質をまったく理解していません。
確かに、規制緩和によって「雇用の受け皿が拡大」しましたが、しかし、働いても生活できないような雇用がいくら増えても、
それが「中長期的に働く人への利益になるかどうか」、すでに回答は明らかではないでしょうか。
この点で比較されるのはEUです。EUでは、確かに失業率は高いですが、
しかし、失業者に対する給付や職業訓練などのセーフティネットは比較にならないほど充実しています。
単純化していえば、「働いても生活できない日本」と「働かなくても生活できるEU」という違いがあるということになります。◇
働いても生活できない社会なんて、EUから見れば「信じられない社会」でしょう。
どちらが幸せな社会なのか、改めて言うまでもないと、私は思うのですが……。
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