09/05/05 07:04:09
ソースは
URLリンク(www.nikkei.co.jp)
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昨年、日本国内で生まれた日本人の赤ちゃんは109万2000人だった。
亡くなった人は114万3000人なので、人口は1年間に5万1000人の自然減を記録したことになる。
減少数は前年の約2.8倍である。
世界的な金融経済危機への対応に追われている間にも、もうひとつの重大な危機である人口減少が
着実に忍び寄っている。経済危機の悪影響は民間の消費、投資の急減速、また企業収益や賃金の
落ち込みというかたちで目に見えやすいので、対応策も素早く打ち出しやすい。
■維持できぬ社会保障
これに対し人口危機、つまり少子化と高齢化の同時加速がもたらす悪影響は、すぐには表面化
しない。とくに少子化が引き起こす生産年齢人口の減少は消費者、生産者、納税者の減少と
同義であり、中長期で日本経済の成長力を阻む。
加えて、未曽有の水準に悪化した国や地方自治体の財政の再建を難しくし、年金や医療・
介護保険など社会保障制度の持続性を脅かす。国力を保ち、国際社会での日本の存在感を
示すためにも、少子化の流れを変える行動が必要なときである。
国立社会保障・人口問題研究所が2006年末に公表した将来人口推計(中位推計)は、
日本の将来像について惨状を映し出す。
最初の難所は21年後、戦後生まれの団塊の世代が80歳をすぎる30年だ。
総人口は1億1522万人。うち75歳以上の後期高齢者が20%を占め、15歳未満の子供は10%に
とどまる。
その25年後の55年はもっと惨めだ。8993万人の総人口のうち後期高齢者が27%、子供は8%だ。
出生数は45万7000人にすぎず、生産年齢人口は総人口の半数しかいない。
国内の経済活動は勢いを失い、過重な税や社会保障の負担が現役世代にのしかかる。
年金制度を根本から改革しなければ高齢者への支給が行き詰まるのは明らかだ。今の出生低迷が
もたらす当然の帰結である。
今、英国の総人口は日本の約半数だ。英政府の推計をもとにすると、移民政策と出生向上策が
功を奏し、60年後に日本と逆転する可能性がある。今を生きる日本人として座して見ている
わけにはいくまい。
まず一人ひとりが健全な危機感を共有する必要がある。そして国民合意のうえで、女性1人が
生涯を通じて産むであろう子供数の推計値である合計特殊出生率について、長期にわたって
ゆるやかな目標を定める決断がいるのではなかろうか。
日本の出生率は団塊ジュニア世代が誕生した1970年代前半をすぎると、一貫して下がり続けて
きた。74年までは総人口を横ばいに保てる水準に踏みとどまっていたが、93年に1.5を下回り、
03年に初めて1.2台に落ち込んだ。人口学では出生率が1.3に満たない状態を超少子化と呼ぶ。
06年以降は再び1.3台を回復しているが、日本がいつ超少子化国に逆戻りするか、予断を許さない
状況である。
-続きます-