09/05/02 02:58:35
2009年3月期連結決算で59年ぶりに最終赤字に転落する見通しとなったトヨタ自動車。本社のある愛知県
豊田市では、トヨタ減産の影響が下請けメーカーにも広がり、経営破たんする会社も出始めている。トヨタの
強みだった強固なサプライチェーンにほころびが生じ、景気回復後の生産能力に影響が残る可能性もある。
「取引先が不渡りを出したようだ」-。東京商工リサーチ(TSR)名古屋支社情報部の嶺澤博徳課長は、
最近こんな電話が顧客から増えているという。TSRは民間信用調査会社で、中部経済の屋台骨を支えるトヨタの
経営悪化が表面化して以来、約50人の調査員を総動員して破たん懸念が高い企業の洗い出しを進めている。
TSRによると、愛知県内の3月の倒産件数は132件で前年同月比22%増。前月比でも31%の大幅増となった。
3月としては 1962年の統計開始以来、3番目に悪い数字で、サービス業や運送業など幅広い業種にわたっているという。
トヨタ減産が直接の引き金になった下請けの破たんは日本高周波(豊田市、負債総額10億8000万円)など
まだ数件だが、嶺澤氏は「減産が続く中、一時帰休などあらゆる対策を取って持ちこたえている状態」とし、
「今後、体力の限界を迎える系列企業の倒産が本格的に増えるだろう」とみている。
◆ベールに包まれた系列
嶺澤氏の仕事は、非上場も含め企業の決算書の分析や経営者へのインタビューを通じ、倒産の兆候をいち
早くキャッチすることだ。しかし、トヨタの系列企業は情報管理が徹底しており、経営の実態が外から見えにくいという。
特に有力1次下請けなど217社で構成する協豊会の会員企業は別格で、「トヨタの経営悪化が表面化して
以降は関係者に会って話を聞くことは難しい」とし、「トヨタに遠慮して自由にモノを言いにくい空気があると感じる」
と指摘する。ブルームバーグ・ニュースも今回、協豊会会員を含む系列部品メーカー5社に個別取材を申し
込んだが、断られた。
嶺澤氏は現時点でトヨタの下請け倒産が少ないことについて「トヨタがグループを挙げて支援しているからだ」
とみる。実際、1月に仕入先支援室を設置したデンソーの広報担当、兼益五郎氏は「仕入先と一緒に生産工程の
改善に取り組む。場合によっては財務面の相談にも乗る」と話している。
ブルームバーグ・データによると、アナリスト予想の中央値で、トヨタの10年3月期の連結営業損失は5000
億円と、2期連続の赤字の見通し。トヨタの支援がどこまで続くのか不透明で、嶺澤氏は「2次下請け以下では
破たん懸念が高い会社もある」とし、「協豊会メンバーはトヨタのメンツにかけて絶対につぶさないだろうが、
万一、ここから破たんする会社が出てきたときはトヨタの経営を根本から見直す必要が出てくる」と指摘する。
▽ソース:Bloomberg (2009/05/01)
URLリンク(www.bloomberg.com)
記事は>>2以降に続きます。