09/04/30 00:53:16
09年度の補正予算案が国会に提出された。麻生太郎首相は08年度の第1次、第2次補正予算、
09年度当初予算に続く第4段ロケットと位置付けている。
総額13兆9200億円と異例の大盤振る舞いで、多種多様な項目が盛り込まれている。金融対策や
雇用対策などや景気底割れ回避は期待できるだろうが、それ以上ではない。歳出面では費用対効果の
検討が不十分な上、絞り込みも不完全ということに尽きる。
今回の補正予算案で最も気になるのは国債の増発である。09年度当初の一般会計の国債発行見込み
額は33兆2900億円である。これに加えて、財投国債11兆9900億円がある。補正では、一般会計で
10兆8100億円、財投で6兆1200億円が追加された。新規国債の総額見込みは約62兆円である。
さらに、国債には借り換え分がある。そのうち、市中消化だけでも当初予算段階で約113兆円に達して
いる。補正に伴う増発分を含めれば、約130兆円にもなる。
日本の国債はほぼすべてが国内で消化されていることや、金融機関の国債保有意欲が依然高いことから、
消化難や長期金利の上昇の可能性は小さいというのが政府の見解だ。金融機関が貸し出しを渋っている
ことの裏返しでもある。
しかし、今の状況が今後長期にわたり継続する保証はない。景気が悪くなったら財政出動が必要で、
その財源は国債でまかなえばいいという論理も問題である。とめどもない額の国債がいとも簡単に発行
されていくことは、財政のみならず、経済構造をも揺るがしかねない。日本銀行に国債の買い切りを思い
切って引き上げ、さらには新発債の引き受けを求めるに至っては、論外である。
夏以降を展望すれば、今年度46兆円と見込んでいる税収は数兆円下方修正せざるを得ない。公共事業の
大幅前倒しのあおりもあり、第2次補正予算がないとも限らない。歳出を絞ったとしてもかなりの国債増発は
避けられない。そうなれば、金融・資本市場も平静ではありえない。現在の年1・4%程度の長期金利は超
低水準であり、企業に資金需要でも出てくれば2%や3%程度に上昇することは容易に想定できる。その場合、
国債費への跳ね返りは大きい。
国債残高の増加は基礎的財政収支の黒字化を遠のかせるだけではない。与謝野馨財務・金融・経済財政
担当相が財政健全化の有力な指標としている国債残高の国内総生産比を下げることは夢のまた夢になって
しまう。財政は取りかえしのつかない状況に陥る。政治家も国民もこうした国債増発の怖さを心すべきだ。
▽ソース:毎日.jp (2009/04/28)
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