09/04/28 08:43:43
メキシコを震源地とする豚インフルエンザは米国やスペインでも感染が確認されるなど、
パンデミック(世界的大流行)の懸念が現実化しつつある。27日の東京株式市場では関連銘柄株に
影響を与えた一方、多くの日本企業が対応に追われた。
◆底入れに冷や水
「感染拡大による世界経済への悪影響の波及が懸念された」(大手証券)として、この日の日経平均株価は
前週末の米国株高に連動せず、小幅反発にとどまった。米国の金融不安が後退し始めた「最悪のタイミング」
(ニッセイ基礎研究所の矢嶋康次主任研究員)で、底入れ期待に冷や水を浴びせた形だが、
豚インフルエンザの関連銘柄は“明暗”を分けた。
ストップ高まで買われたのが抗ウイルス素材やそれを使ったマスクを手がけるダイワボウ、シキボウだ。
マスクなどに使う衣料資材の日本バイリーンは前週末比で2割近い上昇率。
インフルエンザ治療薬「タミフル」を製造販売する中外製薬、臨床検査薬の栄研化学も上昇率約14%の
大幅高となった。
これに対し、海外旅行需要の押し下げ要因との観測から、エイチ・アイ・エスは1割強、
近畿日本ツーリストも1割近い下落率に。日本航空と全日本空輸も4~5%台の下落だった。
午前中に一時、上昇の兆しも見せた日経平均だが、死者が100人を超えたと報道された後、
「急速に縮小」(矢嶋氏)し、前日比18円35銭高の8726円34銭で取引を終えた。
感染拡大はもちろん、メキシコペソやドルが売られ、円高が加速した結果、「輸出企業の業績悪化に
つながる」と判断された面もある。
27日から本格化した2009年3月期決算発表で「10年3月期の業績予想を見極める」様子見ムードが
広がる中、豚インフルエンザの感染拡大懸念が、株価に影響を与えたのは間違いない。
今後の見通しについて、日本総合研究所の松村秀樹主任研究員は「地理的な感染地域の拡大が焦点」と話す。
そのうえで、感染症がヒトとモノの流れを止めた場合、「1930年代の世界大恐慌時代の保護貿易と
同様のマイナス効果を与える」と分析する。
◆不安払拭へ全力
感染症拡大が世界経済を下押しした例では、2003年4~6月の東アジアの成長率を2%押し下げた
新型肺炎(SARS)がある。03年4月2日、WHO(世界保健機関)が、多くの患者が報告された
中国・広東省と香港への渡航を延期するように勧告。世界経済の下振れリスクを高めた。
アジアを中心に鳥インフルエンザが流行した04年1~3月期にも日本の鶏肉消費額は前年比14.5%減、
卵も9.3%減まで落ち込んでいる。
今のところ、アジアで豚インフルエンザの感染例はないが、「消費者心理への影響」(第一生命
経済研究所の永浜利広主席エコノミスト)が景気に影を落とす可能性は否めない。
与謝野馨財務・金融・経済財政担当相は、27日の臨時閣議後の記者会見で、不安の払拭(ふっしょく)に
努める考えを強調した。
ソースは
URLリンク(www.business-i.jp)
豚インフル関連企業名と27日株価終値の表は
URLリンク(www.business-i.jp)