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農林中央金庫は09年3月期決算で、単体の経常損益が6200億円程度の赤字に陥る。
赤字は住宅金融専門会社(住専)の処理に追われた96年3月期以来13年ぶりで、赤字幅は
これまでで最大。ただ、JAグループから2兆円近い資本を調達したため、財務の健全さは
保たれる。
世界的な金融危機で、保有する証券化商品が大きく値下がりしたのが響いた。
農林中金は、債権などの資産を裏付けにした証券化商品を08年12月末で約6兆円分保有。
高収益を支えてきた98年以来の積極的な投資が裏目に出た。
決算見通しの修正を近く発表する。これまでは1千億円の経常黒字を予想していた。
3527億円の黒字だった前期からの悪化幅は約1兆円に及ぶ。純損益も最大5800億円の赤字で、
09年3月期では日立製作所の連結赤字予想(7000億円)に迫る。出資金への配当はゼロになる
見通し。
大幅な赤字が避けられないとみた農林中金は、すでに3月末までに資本を増強。
都道府県単位の信用農業協同組合連合会(信連)に、株式会社の普通株の一種にあたる
「後配出資」を引き受けてもらうなどして、計1兆9056億円を調達した。
財務の健全性を示す自己資本比率は、国際展開する銀行の最低基準の8%を上回る14%程度
(単体)に達し、前期の12.55%より高くなる見通し。証券化商品を投げ売りせずに元金と利息の
償還まで持ち続け、その間の含み損を身内の巨額増資でしのぐ戦略だ。
業績悪化の責任を取って元農林水産事務次官の上野博史前理事長は3月末に辞任。
初の生え抜きトップが就任している。09年3月期で巨額赤字を出す背景には、損失処理を
前倒しし、今後の業績への影響を和らげる狙いもある。
農林中金は、全国約800の農協や信連の余資を運用。預かる金利を高めにすることなどで、
年間3000億円程度を農協や信連に還元している。新経営陣は、この水準を保つことを
最重要の公約にしており、当面、農協・信連への影響は小さいとみられる。
ただ、農協・信連に収益を戻すのを優先するため、今後2~3年間の農林中金の利益は
ほとんど上がらない見通しだ。
国内金融機関の09年3月期決算見通しでは、三井住友フィナンシャルグループ(FG)が
3900億円の連結純損失に陥ると発表。三菱UFJFG、みずほFGも大幅赤字になる見通しだ。
野村ホールディングスも、08年4~12月期決算で4923億円の純損失だった。(吉原宏樹)
▽News Source asahi.com 2009年4月23日3時1分
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▽農林中央金庫
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