09/03/15 10:07:32
福島県楢葉町の草野孝町長が、原発から出る高レベル放射性廃棄物の最終処分場誘致を検討する意向を示した。
楢葉町を含む東京電力の原発が立地する4町は1月、福島第一原発3号機(大熊町)でのプルサーマル導入を求めたばかり。
財政が豊かな町がなぜ今、誘致を考えるのか。
複数回にわたって朝日新聞記者の取材に応じた町長との主なやりとりは以下の通り。
(中川透)
―なぜ、原発の最終処分場の誘致を考えたのか。
「処分場の候補地はなかなか決まらないが、どこかに作る必要がある。
原発を抱え、使用済み燃料を出し続けている立地地域として無視できない課題だ」
「使用済み燃料の再処理工場や中間貯蔵施設は青森県にできた。
ただ、何でもかんでも青森に持っていけばいいというものではない。
福島県内には10基の原発がある。
あの施設はよくて、この施設はだめ、と言うのはよくない。
立地地域の使命として、前向きに考える必要があると思う」
―誘致に向けて、いつごろから動き出す考えか。
「来月以降に臨時議会を開くなどして、議員のみなさんへ正式に相談してみようと考えている。
そのうえで、原子力発電環境整備機構(NUMO)の担当者を町内に招き、議員や町民代表のみなさんと一緒に勉強会を開きたい」
―議会や町民の理解は得られると考えているのか。
「町長が独断で決めるのはよくない。町民の意見をよく聞き、しっかりと合意形成を図っていきたい。
議会にもこれから相談するが、一部の議員からは賛同を得られそうな感触を得ている。
原発と末永く共生し、地域づくりにも貢献できる施設ならば、町民の理解を得られるはずだ」
―最終処分場は、安全性に対する不安も根強い。
「その点は、NUMOや経済産業省の担当者が、説得力のある説明をしてほしい。
ただ、原発が既に建てられた地域だけに、岩盤など地層について大きな問題はないと思う。
国から住民に対し、説得力のある分かりやすい資料を出してもらい、きちんとした説明をしてほしい。
そのうえで、町民の間でしっかりと議論して結論を出したい」
―地方交付税の不交付団体で、財政は豊かなはずだが……。
「原発からの固定資産税収は徐々に減っている。
町内にある公共施設の維持管理にも今後、安定した財源が必要になる。
ただ、財政難から交付金目当てに処分場の候補地に応募したと言われないよう、
まだ財政が豊かな今だからこそ、今後の町の振興策として冷静に議論したい」
―町づくりとの関連では、どんな考えなのか。
「町の発展には優れた人材が不可欠だが、町内には高等教育機関がない。
このため、人材育成センターをつくりたいと考えている。
原発があって多くの雇用先があるのに、地元からの採用は少ない。
特に、管理職になれるような人材が少ない現状に、人材育成の必要性を感じている」
―住民から反対運動が起きる可能性もあると思うが。
「反対がゼロということはないと思うが、賛同者も出てくると考えている。
若者が減り、お年寄りが増える一方なのが町の現状だ。
安全性が確保されたうえで、これからの末永い地域振興にも貢献できる施設ならば、町民の理解を得られるはずだ」
>>2に続く
ソース:asahi.com
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