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>>1の続き
■大恐慌の二の舞に?
その後、労働党は長らく野党の地位にとどまるものの、経済政策の失敗から学ぶことになる。
ブレーンとなる経済学者の助力もあって、労働党はマクロ経済政策を重視する戦略に転換する。
ことに重要だったのは、ほぼ独立した位置を保ち、大不況において金本位制を頑強に擁護してきた
イギリスの中央銀行イングランド銀行を国有化したことである。
ちなみにイングランド銀行は、1997年に独立性を獲得する。しかし、それは「金融政策の運用手段は
イングランド銀行に任せる」というだけで、政策の目標は依然として実質的には政府が決めている。
これを最終的に実行したのは、79年以来、18年ぶりに政権を奪還した労働党であった。結局のところ
政策の責任を負うのは政府である。彼らはそれをよくわかっているのだろう。
さて、いまの民主党である。仮に政権を奪取しても、民主党がそれを維持できるかどうかはひとえに
今後の実績に懸かってくる。そうであってこそ政党間競争、ひいては民主制の実が上がるというものだ。
その実績は現下の経済危機を乗り切ることにほかならない。
危機のときに緊縮政策はとらないだろうとは思いたい。しかし民主党の一部には不況促進的経済
イデオロギーの影響が感じられる。さすがに最近は影を潜めているものの、民主党には「景気回復の
ために金利を上げよ」という議論を唱えてきた人々がいるし、増税による財政再建論も根強い。いま財政
金融の引き締めをしたら、確実に大恐慌の二の舞である。そこまでいかなくとも危機に必要な政策
対応が遅れる危険性はある。
はたして民主党はこうしたイデオロギーから自由になれるだろうか。政権獲得の暁に懸かっているのは
民主党の命運だけではなく、国民のそれである。
2009年2月26日 VOICE