09/02/06 07:45:51
全国に約70施設ある宿泊・保養施設「かんぽの宿」の売却問題で、日本郵政は5日、
譲渡契約を結んでいたオリックス不動産(東京)への売却を断念する方針を固めた。
近く、同不動産に譲渡契約の撤回方針を伝える。日本郵政は当面、かんぽの宿の売却を
取りやめ、経営を続ける。
かんぽの宿は郵政民営化に伴い、法律で2012年9月末までに全国の施設を廃止するか、
譲渡することが決まっている。日本郵政は、かんぽの宿の各施設や従業員の雇用の維持
などを条件に売却先を探し、昨年12月にオリックス不動産に対し、かんぽの宿に首都圏の
社宅9物件を加えて合計109億円で売却する契約を結んだ。
しかし、事業譲渡の許認可権を持つ鳩山総務相が、(1)なぜ不況時に安く売るのか
(2)なぜ一括売却なのか(3)なぜ郵政民営化を推進した宮内義彦氏が率いるオリックス系に
売るのかなどを問題視。日本郵政から申請があっても認可しない意向を表明していた。
このため、日本郵政の西川善文社長は1月末、オリックス不動産への売却を一時凍結し、
専門家による第三者委員会を設けて、譲渡のあり方を見直す方針を公表した。
ただ、一時凍結の表明後も、旧日本郵政公社時代に売却した宿泊施設が、評価額は1万円
にもかかわらず社会福祉法人に6000万円で転売された事例や、評価額1000円の運動場が
4900万円で転売された事例が発覚。国会で民主党など野党側から、保有資産の「安値売却」の
追及が厳しくなっているのに加え、鳩山総務相も日本郵政に売却経緯の詳細な報告を求める
など態度を硬化させている。
日本郵政はこうした事態を踏まえ、売却契約の一時凍結ではなく、白紙撤回することで
売却問題の収拾を図る方針を固めた。当面は日本郵政の経営で収益の改善に取り組む一方、
鳩山総務相が求めているように、各施設の個別譲渡についても検討する。
関係者によると、契約書には、白紙撤回に伴う違約金を支払う条項はないという。
しかし、日本郵政はオリックス側と協議し、補償も含めて解決策を模索するとみられる。
(橋田正城)
〈かんぽの宿問題〉 全国に約70施設あるかんぽの宿はほぼ全施設に天然温泉が付いており、
年間208万人が宿泊。収益事業ではなく宿泊・食事代を抑えた結果、客室の稼働率は70%を
上回る人気を保つ一方、07年度は約40億円の赤字だった。
オリックス不動産への売却対象となった、かんぽの宿と「ラフレさいたま」などの70施設と
首都圏の社宅9物件の取得費は約2400億円。赤字事業の上、従業員の雇用維持などの条件が
加わったが、オリックス不動産への売却価格(109億円)は20分の1以下で、鳩山総務相
だけでなく民主党など野党からも批判が集中していた。
▽News Source asahi.com 2009年2月6日3時1分
URLリンク(www.asahi.com)
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