09/01/29 10:18:48
トウモロコシなど輸入穀物の値上がりが続くなか、琵琶湖の外来魚、ブラックバスやブルーギルが
養鶏飼料の原料として注目されている。生態系を乱す厄介者扱いだが、栄養価が高く、
大量に調達できる点が歓迎され、一風変わった「地産地消」の試みが動き出した。
京都府城陽市の養鶏場。10万羽のニワトリのうち、約700羽が魚粉入りの飼料をついばむ。
琵琶湖でとれた外来魚を加工した魚粉1に対して、国産の玄米などが3の割合で混ぜ合わされた
飼料だ。京都養鶏生産組合が5年前から実験的に与えてきた。
これまでは原料の多くを輸入の大豆やトウモロコシに頼ってきたが、世界的な穀物高でこの2年間で
エサ代は約1.3倍に上昇した。農林水産省によると、輸入トウモロコシなどでつくる配合飼料の
価格は、06年9月に1トンあたり約4万3千円だったのが、昨年9月には約6万5千円まで
値上がりした。こうした穀物高に加え、魚粉の主原料になってきたイワシも漁獲量が減少し
高騰している。
外来魚の魚粉入り飼料も輸入穀物よりまだ5割高で安くはないが、組合の西田敏代表理事は
「従来の飼料を与えたニワトリより肉に臭みが少ない。琵琶湖の外来魚がエサだという意外性にも
反響がある。琵琶湖の漁師が喜んでくれるのなら一石二鳥だ」と話す。
安定した供給が期待できることも追い風だ。滋賀県水産課によると、琵琶湖には約1600トンの
外来魚が生息し、琵琶湖の固有種でフナずしに使われるニゴロブナなどの漁獲量を激減させてきた。
県が補助する県漁連の外来魚駆除事業では、漁師らが毎年400~550トンを捕獲する。
かつては埋め立て処分していたが、99年からは魚粉に加工し、販路を探ってきた。
外来魚の回収と加工を担う「淡海再資源化協同組合」(本部・大津市)は今年度は約400トンの
外来魚から約100トンの魚粉をつくり、商社のほか、滋賀や京都の養鶏農家に出荷する計画だ。
林市雄事務局長は「駆除対象なので『あら』だけでなく身も使え、高たんぱく質と評判がいい。
琵琶湖の外来魚を地元で消費する『地産地消』の取り組みだ」と胸を張る。
外来魚製の魚粉が、BSE(牛海綿状脳症)で使用が禁止された牛骨粉に代わる
動物性たんぱく質源になることも裏付けられた。
立命館大学びわこ・くさつキャンパス(滋賀県草津市)の久保幹教授(環境微生物学)らの
研究グループの実験では、粉砕したブルーギルに、納豆菌の一種を加えて約48時間発酵させると、
栄養の吸収効率が高い飼料ができあがることがわかった。
滋賀県特産の「近江シャモ」300羽に、この飼料を140日間与えたところ、通常のエサよりも
体重が約1割増えた。肉の味についても、100人中60人以上が「好む」と答えた。久保教授は
「従来のエサよりも少量ですみ、コスト削減につながる」と期待している。
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URLリンク(www.asahi.com)
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