09/01/06 16:23:37
雷を発生させる雷雲から電気エネルギーを収集し、蓄電するシステムを金沢工大産学連 携室の
饗庭貢教授(電気工学)が五日までに考案した。
従来の避雷器に特殊な蓄電装置を 組み合わせる仕組みで、今後メーカーと共同で装置の開発を
進め、年内の実用化を目指す 。世界有数の雷多発地帯である金沢ならではの研究といえ、
落雷防止とエネルギー開発を 狙う「一石二鳥」の発明として注目を集めそうだ。
饗庭教授が考案したシステムは、雷雲が近づくたびに地表との間に流れる大気電流と雷 放電後の
続流と呼ばれる弱い電流を蓄える仕組み。地上五メートル以上に立てた避雷針で 大気電流と
雷電流を捕らえ、雷を発生させる高い電圧の電流は避雷器を通して地下に逃が し、
五〇〇ボルト以下の低い電圧の電流だけを「電気二重層キャパシタ」と呼ばれる特殊 装置で
蓄電する。
饗庭教授によると、大気電流は電圧が大小さまざまで幅広く、一定の電圧しか対応しな い従来の
電池やコンデンサーでは蓄電が不可能だった。
しかし、近年、電車や電気自動車 のブレーキシステムとして幅広い電圧に対応できる
「電気二重層キャパシタ」の開発が各 メーカーで盛んになり、饗庭教授が同装置を雷研究に
応用することを思い立った。
饗庭教授が同大で行った高さ六十五メートルの避雷針を用いた観測で、雷が多い冬の一 カ月で
百五回の電流が計測され、雷雲が上空に停滞する時間を考慮して電気量に換算する と、
推定四百キロワット時だった。一般家庭の月間平均電気使用量は約三百四十キロワッ ト時
とされるため、一世帯で必要な電気がほぼまかなえる計算になるという。
雷の電流は直流電気だが、インバーターを用いて交流電気に代えれば使用は可能として いる。
雷の専門家として知られる饗庭教授は、一九七七(昭和五十二)年から、ピアノ線をつ けた
超小型ロケットを雷雲の中に打ち上げる実験を始め、ピアノ線の端に放電電極を取り 付け、
雷の電気で水を温める「雷温水器」の開発に成功している。
「電気二重層キャパシタ」の活用で雷エネルギーの蓄電が期待されることになり、饗庭 教授は
「雷という毒を薬に変える研究になる。ぜひ実用化させたい」と話している。
雷の 蓄電に関する論文は三月にも電気設備学会誌で発表される。
ソースは
URLリンク(www.hokkoku.co.jp)
大気電流の蓄電システムに関する論文をまとめる饗庭教授
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