09/01/03 13:56:00
世界の自動車メーカーが、米国発の金融危機と世界同時不況の大津波に飲み込まれた。
経営危機に陥った米ビッグスリーは政府にすがり、“勝ち組”だったトヨタ自動車も営業赤字に転落する。
日米欧だけでなく、新興国の自動車販売にも急ブレーキがかかり、
2009年の世界販売台数は3割以上も落ち込むとの予想もあり、日本メーカー全体の生産台数に匹敵する需要が吹き飛ぶ。
再編どころか淘(とう)汰(た)も不可避のクライシスが幕を開ける。
2度のトヨタショック
「えっ嘘(うそ)だろ…」。
昨年11月6日、都内のホテルで開かれたトヨタ自動車の2008年9月中間決算発表。
配布された資料に報道陣は目を疑った。
09年3月期の営業利益予想を期初の1兆6000億円から1兆円も少ない6000億円に下方修正したのだ。
だが、これは本当のトヨタショックの序の口にしか過ぎなかった。
わずか1カ月半後の12月22日、トヨタは再び下方修正に追い込まれた。
予想は1500億円の営業赤字だった。
「かつてない緊急事態に直面している」
渡辺捷昭社長の表情は苦痛にゆがんだ。
08年3月期に日本企業として空前絶後の2兆2700億円もの営業利益を稼ぎ出し、この世の春を謳歌(おうか)していたが、
たった1年で露と消える。
「最強企業が危うい」。
米紙ニューヨーク・タイムズなど欧米メディアが、こぞってトップ記事で伝えるなど、トヨタショックが全世界を駆けめぐった。
ビッグスリー延命策
米フォード・モーターが世界初の量産車T型フォードを発売してからちょうど100年。
繁栄を続けてきた自動車産業は、まさに「100年に1度」の危機に直面している。
クライシスを象徴する存在が、ビッグスリーのゼネラル・モーターズ(GM)だ。
創業100年の歴史で初めて政府の救済を受ける屈辱にまみれている。
すったもんだの末に12月19日に決まったクライスラーと合わせ174億ドルのつなぎ融資も、
本来は金融機関向けの金融安定化法を“流用”し、年越えから今年3月末にかけての必要な資金繰りを手当てするだけの“延命策”に過ぎない。
GMとクライスラーが生き残るには、「最終的に750億ドルから1250億ドルの融資が必要」(米エコノミスト)といわれている。
極度の販売不振で、毎月多額の赤字を垂れ流すなか、政府のつなぎ融資が底を尽くのは時間の問題だ。
GM、クライスラーは、3月末までに抜本的な再建計画を提出し本格的な資金援助を獲得したい考えだ。
だが、経営危機の元凶ともいえる巨額の人件費や年金債務の大幅カットには、強力な全米自動車労働組合(UAW)が立ちはだかる。
しかも、本格支援のための救済法には、米議会の共和党が反対しており、成立は不透明だ。
最終的に、連邦破産法11条の適用を申請し、破綻(はたん)に追い込まれる危険は依然として去っていない。
中国勢が買収攻勢?
「日本メーカーも含めて弱いメーカーが独力で生き残ることは難しい時代になった」
国内大手メーカーの幹部はこう断言する。
救済法案が成立したとしても、ビッグスリーが生き残るには他社との再編は不可避との見方が多い。
だが、丸ごと救済してくれるような奇特なメーカーは、「世界中をどこを探してもいない」(業界筋)。
>>2に続く
ソース:MSN産経ニュース
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