08/12/19 02:34:26
>>1の続きです。
≪相次ぐ危機対応策≫
日系の大手企業も相次いで危機対応策に乗り出した。コードレス電話大手のユニデンは11月末、広東省の
工場従業員を5700人から1200人に減らすと発表。より人件費の安いベトナムへの移管を進める。乗用車
販売がマイナスに転じる中、トヨタ自動車も小型車「ヤリス(日本名ヴィッツ)」を生産する広州工場で減産を
始めた。
10月末には事態を重視した温家宝首相ら共産党幹部が広東省を視察し、中小企業への資金繰り対策の
充実を訴えたが、有効な具体策を見いだせない。日本貿易振興機構(ジェトロ)中国北アジア課の島田英樹氏は
「中国企業が決算を迎える年末から来年にかけて最初の正念場となる。(世界経済後退による)中国の実体
経済への波及も始まったばかり」と、さらなる経済減速の深刻化を予想する。
■高付加価値への転換カギ
中国経済が混迷を深める一方で、中長期的には「世界経済の成長エンジン」として存在感が増すとの見方も
依然、根強い。他の東アジア諸国に比べ、物流などを含めた総合力では「製造業にとって中国に代わる国は
ない」(木下真一・香港三菱商事社長)ためだ。
低コストを武器にした中国の成長モデルは限界に達したが、金融危機を契機に労働集約型産業が淘汰され、
付加価値型産業への“モデルチェンジ”が進めば勝算もある。大型リストラを発表したユニデンも、労働集約型
生産をベトナムに移管する一方で、中国工場は付加価値の高いモデルにシフトすることで生き残りを図る。
しかし、経済構造の変革は容易ではない。賃金など労働コストは昨年に比べ8~15%上昇するなど上昇幅
は半端ではないからだ。外資による投資額も急減し、華南地区への今年上期(1~6月)の投資額は1978年の
改革開放以来、初のマイナスとなった。
中国政府は11月上旬、4兆元(約56兆円)もの緊急経済対策を発表。中小企業融資の支援や、鉄道、空港、
生活インフラ整備などの内需刺激策で景気を下支えする方針を打ち出した。2けた成長を続けてきた中国経済
は、第4四半期(10~12月)のGDP(国内総生産)成長率は前年同期比8%に鈍化し、「来年以降も内需
拡大策で8%を死守する」(政府関係者)考えだ。しかし、8%成長が未達に終わると、失業者拡大による社会
不安で「国家統治能力すら危ぶまれる」(同)だけに、景気対策への期待は大きい。
日本企業にとっても、お家芸の環境技術や高速鉄道関連技術など商機を見いだせるチャンスはある。中国
経済はいかにして高付加価値型産業に転換できるかがカギになりそうだ。(川上朝栄)
-以上です-