08/12/12 13:49:10
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「ユビキタス・コンピューティングで実世界の情報を把握することによって,社会基盤を細かく
制御できるようになり,豊かな生活を維持しつつ省資源化を実現する持続可能な(サスティナブル)
社会が可能になる」。2008年12月10~12日に東京ミッドタウンで開催されているカンファレンス
「TRONSHOW2009」の基調講演で,TRONプロジェクトのリーダーを務める坂村健氏(東京大学
教授,YRPユビキタス・ネットワーキング研究所長)は力説した。
坂村氏は講演の冒頭で,「ユビキタス・コンピューティングは究極の組み込み」として,組み込み
技術に取り組んできたTRONプロジェクトの延長線上にあり,目指すところであると言明。今後は,
シャツや食品や薬のパッケージといった,これまで組み込み技術の対象になっていなかったあらゆる
ものに,小さく安くなったコンピュータが組み込まれていくだろうと語った。
ユビキタス・コンピューティングの例として坂村氏は,TRONプロジェクトで開発したUWB
(Ultra Wide Band)通信方式によるアクティブ・タグ「UWB Dice」について紹介した。
UWB Diceは縦・横・高さがそれぞれ1センチ・メートル。コンピュータ,30~50メートル届く
無線通信装置,リチウム電池を内蔵し,5分おきに取得したデータを送信する場合で9年間動作する。
東邦薬品では倉庫から製品を出荷する際のピッキング作業でUWB Diceを使ったシステムを利用
しており,ピッキング・ミスを減らすなどの効果をあげているという。
あらゆる
場所にコンピュータを埋め込む
坂村氏は今後の課題として,「“あらゆるモノ”だけでなく“あらゆる場所”にコンピュータを
埋め込むこと」「メーカーの壁を越えて,シームレス,エフォートレスにコンピュータを相互接続し,
協調処理を可能にすること」の2点を挙げた。あらゆる場所へのコンピュータの埋め込みを
実現するため,坂村氏は地方自治体などと協力して「自律移動支援プロジェクト」などの実験を
進めている。例えば,京都の宇治では,駅や周辺の観光地のいろいろな場所に電子タグを埋め込んで,
受信機を持った人間の位置を把握することで,その人がいる場所に応じたナビゲーションや観光案内が
できるようにした。いわば「ガイドさんがいつも利用者のそばに居るようなものだ」(坂村氏)。
2009年2月からは「東京ユビキタス計画in銀座」として,東京の銀座で,数千の電子タグを使った
地域情報提供の実験をする計画である。例えば,地下鉄の駅の前に来ると,利用者が持っている
受信機が地下鉄の時刻表や運行情報を自動的に教えてくれるなどのサービスを提供することを
予定している。「時刻表や運行情報を提供するサービスは携帯電話などで既に提供されているが,
電子タグを使った場合は,利用者がわざわざアクセスしなくても自動的に教えてくれるところが
特徴だ」(坂村氏)。街にタグを付けようという計画は,四国の松山や,東京の自由が丘などでも,
計画されているという。
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