08/12/11 23:13:34
政府の追加経済対策で、高速道路料金の大幅値下げが示され、明石海峡大橋を通る神戸淡路鳴門自動車道が土日祝日、
普通車などの通行料を千五百円に引き下げる案が浮上している。
この“大波”をかぶるのが、大橋と競合関係にある「明石淡路フェリー」(明石市、愛称・たこフェリー)。
明石と淡路島を結び、ここ数年は輸送台数、乗客数とも伸ばしてきた同社。
だが「値下げ幅が大きすぎ、企業努力を超えている」と悲鳴を上げ、減便や航路の存続を危ぶむ声さえ出ている。
・神戸淡路鳴門道 土日祝で1500円
国土交通省は、同自動車道(神戸西-鳴門間)の通行料を土日祝日に限り、普通車以下を現行の二千七百二十五円から、
上限千五百円程度とする方向で調整中。
実施時期は未定だが、淡路島の三市や自治会など約五十団体は十一月、さらに千円以下に引き下げるよう要望した。
一方、明石-岩屋港を結ぶ、たこフェリーの普通車運賃は現在二千五十円。
同自動車道が値下げされると、運賃で対抗するのはほぼ不可能だ。
「燃料費高騰が落ち着いたと思ったら、想定外の高速料引き下げ。常に大橋の料金を意識してきたが今回は限界」
と大麻一秀社長は表情を曇らせる。
・企業努力で獲得した行楽客利用を直撃
一九九八年の大橋架橋時、同フェリーは廃止も検討されたが、二〇〇〇年に明石市や淡路島の各市町が
出資する第三セクターとして存続。同フェリーは高速料金の値下げに対抗しながら輸送実績を増やし、
昨年度の輸送台数は、〇一年度に比べて二割弱増の約四十八万台で、乗客数は七割増の約八十五万人だった。
淡路の集客施設と連携したチケットや、オリジナルキャラクターを開発し、観光面で付加価値を高める戦略を展開。
「トラックを大橋に奪われても、逆に乗用車を呼び込んでカバーしてきた」と大麻社長。
しかし、燃料費高騰が影響し、〇五年度以降は赤字が続き、毎年、内部留保で補てんしている状況。
土日祝日の高速道路値下げが加わると、頼みとする行楽客の利用を直撃する格好だ。
・減便、存続に懸念
実際、フェリー客からは大橋の値下げに期待する声も多い。
家族七人で明石港から淡路島に向かった神戸市西区の男性会社員(32)は
「子どもが船旅を楽しみにしているので、淡路に遊びに行くのはフェリー。でも、千五百円になれば
時間も短縮できる橋を使いたい」と話す。
こうした苦境に同社は今秋、国や県、明石、淡路市などに個別支援を初めて要望。
過去に大橋が通行止めとなった際、代替ルートとなった実績を挙げ、非常時の輸送手段の機能確保を求める。
これに対し、神戸運輸監理部や明石、淡路市の担当者は「フェリーの厳しい状況は理解している」としながらも
「離島航路のような唯一の移動手段でなく、陸上、海上ルートが存在する。個別支援は難しい」などと慎重な姿勢。
ただ、同社は十二月から二十四時間運航をやめ深夜便の廃止に踏み切っており、
大麻社長は「このままでは昼間の便も維持できるか心配。行政は海上交通の役割と必要性を考えてほしい」
と訴えている。
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