08/12/11 10:43:06
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ノーベル経済学賞を受賞した故ミルトン・フ リードマン氏はかつて、「世界経済が真の難題」に
ぶつかるや否や、ユーロ圏が 崩壊すると予言したが、これまでのところ、そうなってはいない。
誕生から10 年を来月1日に迎えるユーロ圏が最大の難問にぶつかるのはこれからだ。
現在15カ国が参加するユーロ圏は金融危機の中でも結束を保っているが、 今回の混乱で
欧州中央銀行(ECB)には新たな課題が発生した。なかでも、過 去10年にわたってECBが
主要問題としていたインフレの脅威がリセッション (景気後退)で崩れたため、金融政策の
軸足を移すことが喫緊の課題だ。
デフレが世界経済にとって一段と大きな危険性として視野に入るなか、トリ シェECB総裁は
ユーロ圏の利下げが他地域に後れを取り続ける可能性を示唆 しており、景気回復が遅れるリスクが
ある。ユーロの安定はまた、金融危機によ る悪影響をユーロ圏の早期参加によって免れようとする
東欧などの一部諸国の 動きによっても脅かされている。
ドイツ銀行のチーフエコノミスト、トーマス・マイヤー氏は「深刻な新たな 課題が出てきており、
これで経済・通貨統合の存続自体が危機に陥る可能性があ る」と指摘。ただ、「10周年で
記念すべき成果は多い」とも付け加えた。
ユーロ圏は発足当初に一部エコノミストが予想した姿よりも良好な状況だ。 リセッションには
あるものの、アイスランドやハンガリーで発生した取り付け騒 ぎや通貨急落を回避し、ユーロの
利用も世界的に増えている。ユーロの対ドル相 場は7月に1ユーロ=1.6038ドルと過去最高値を
記録したほか、先週はポンド に対し、1ユーロ=87.26ペンスの過去最高を付けた。各国政府が
介入で支え ねばならないほど下落したユーロ導入から2年弱の相場の状況とは雲泥の差だ。
崩壊や内戦の予言
この導入直後の状況がユーロは「地域内部の矛盾」で崩壊するとのフリード マン氏の見方に幾らかの
信ぴょう性を与える結果となった。米ハーバード大学の マーティン・フェルドシュタイン教授に
至っては、1997年の論文で、通貨統合 が欧州に内戦を引き起こすとさえ警告した。
こうした見方が間違っていた可能性もあるが、信用危機がECBに課題を突 きつけていることは
シュタルク理事も11月14日の講演で認めている。同理事 は「現在の世界の金融混乱はECBに
対し、前例のない大きな難題を与えている」 と語っている。
ECB発足以来、ユーロ圏のインフレ率は同中銀の物価安定の目安(2%を やや下回る水準)を
ほぼ一貫して上回り、これとの闘いでECBは7月に0.25 ポイントの利上げを実施した。利下げに
転じたのは10月で、米連邦準備制度理 事会(FRB)に1年以上も後れを取った。今月4日には
過去最大の0.75ポイ ントの引き下げで政策金利を2.5%としたものの、その水準は主要中銀で
最高 だ。しかも、トリシェ総裁は金利を「あまりにも低く」することには消極的だ。
続きます。ソースは
URLリンク(www.bloomberg.com)