08/12/10 11:19:33
二〇一〇年三月に開港予定の「茨城空港」(正式名・百里飛行場、茨城県小美玉市)の名称を
めぐって、いくつもの見直し案が浮上した“改称論議”から約半年。結局、名称は茨城空港のままに
なりそうで、海外PR用の別称を付ける可能性はあるものの、元のさやに収まった格好だ。それよりも、
いまだに決まらない就航路線や、開港後の施設の維持管理の問題のほうがよほど深刻だ。
発端は五月十六日の県知事会見だった。「東京に近いイメージの方がお客さんは行きやすいと、
海外の航空会社から助言があった」と橋本昌知事。名称を「首都圏茨城空港(トウキョウ・メトロポリタン・
イバラキ・エアポート)」へと変更する可能性を示唆した。
これに対し、三日後の茨城空港利用促進協議会で、桜井富男県議長が「ネーミングは簡潔で
なければ」として、「東京北空港」を主張。さらに同促進協に講師で招かれた航空アナリストが、
隣県の観光地にちなんで「ニッコウ・イバラキ・エアポート」と大胆に提案し、空港名は“迷走”。
そもそも茨城空港という名称は、百里飛行場の愛称として県が昨年一月、公募で寄せられた八千三百件
から「簡潔で分かりやすく、茨城ブランドがアピールできる」などとして決定した経緯があるにもかかわらずだ。
その後、話題に上らなくなった改称問題だが、知事は十一月二十六日の会見で、茨城空港の名称は
変えずに海外向けPR用に「トウキョウ・メトロポリタン」や「トウキョウ・イバラキ」などの別称を臨機応変
に使うとし、改称への意欲をトーンダウンさせた。その理由を、県空港対策課担当者は「知事が『茨城
空港でいける』という自信を持ったからでは」と推測する。
茨城空港は八日現在、就航路線が一本も決まっていない。それでもマレーシアの格安航空会社「エア・
アジアX」や、韓国の「アシアナ航空」が関心を示しており、半年前よりは航路開設の見通しが出てきた。
十、十一日には知事自らマレーシアにエア・アジアXのトップを訪ね、就航により前向きな言葉を引き
出したいと意気込む。
だが、そもそも茨城空港の当初の想定では、札幌、大阪、福岡、那覇の国内四路線に一日十二便就航し、
年八十万七千人の需要を予測。空港ターミナルビルを開港後運営する県開発公社も、ビルの年間維持費
約四億円は、八十万人の利用者があればこそ賄えると試算していた。
仮に交渉中の国際線が一日数便飛んだとしても、八十万人の需要喚起は至難。開港後の維持管理費が
やりくりできるだけの就航路線が確保できなければ、そのツケは県民がかぶる可能性がある。悠長に空港名
など議論している場合でもないのだ。
~あのとき~
茨城空港の名称をめぐって、橋本昌茨城県知事が五月十六日、「首都圏茨城空港(トウキョウ・メトロポリタン・
イバラキ・エアポート)」に改称する可能性を示唆。直後に桜井富男県議長から「東京北空港」、航空アナリスト
からは「ニッコウ・イバラキ・エアポート」という案も飛び出し、話題を呼んだ。
▽ソース:東京新聞 (2008/12/09)
URLリンク(www.tokyo-np.co.jp)