08/12/09 13:29:53
「下請けのトヨタ・ショックは夏、起こった」。
トヨタ自動車のおひざ元、愛知県豊田市の部品メーカー社長(65)は言う。
下請け各社は、トヨタの増産分の仕事を取られまいと、設備投資と派遣社員の増員に奔走した。
だが、トヨタが北米での減産を決めた7月以降、
「内示される3カ月先までの生産計画が毎月、下方修正される。まるでアリ地獄だ」とつぶやいた。
トヨタの生産方式は在庫を持たないのが強み。減産は一気に下請けへの発注量に反映される。
愛知県刈谷市のトヨタ系列部品メーカー、津田工業。
09年3月期の売上高は現時点で前期比2割減で、71年3月期以来38年ぶりの経常赤字に転落する見通しだ。
4月に期間従業員や派遣労働者を含め1600人いた従業員を半年で200人削減した。
だが、都築功社長(64)は「さらに苦しいのはうちの取引先」と、下請けとの仕事の分配に乗り出した。
約130社のうち、同社への依存度が高い会社の社長らを工場へ呼び、
製造できる部品を選んでもらって、生産を任せる。
自社の仕事は減るが「夫婦で社長と専務をやっているような数十人規模のところばかり。
うちはまだまだ調整できる」と、ワークシェアリングで難局を乗り切る考え。
一方で、「トヨタの減産が長引けば、分ける仕事もなくなる」との不安もよぎる。
愛知県以外でもトヨタ子会社、関東自動車工業は岩手、静岡県の車体組み立て工場に勤める
派遣社員、期間従業員計450人を来年4月末までに削減。
トヨタ自動車九州(福岡県宮若市)も当初予定から15万台減産に伴い、派遣社員約800人を削減した。
◇業界全体を覆い
ほかの自動車メーカーも例外ではない。
マツダは10月末、国内工場の生産台数を09年3月までに7万3000台減らすと発表。
広島県内の金属加工会社社長(59)は「マツダ関連の受注は減産発表前と比べ半分以下」と、
09年3月期決算は赤字を見込む。トヨタの今年度の減産台数は95万3000台、削減人数は約6000人。
国内メーカー全体では189万台、約1万4500人に達した。トヨタ・ショックは自動車業界全体を覆っている。
自動車産業が集積し、輸出の伸びで好況を続けてきた東海地区。
米国経済の減速でドルが弱まれば、円高の負の影響も受けやすい。
日本総研の試算では、1ドル=98円(07年平均比19円高)と1ユーロ=124円(同37円高)で推移した場合、
東海4県(愛知、岐阜、三重、静岡)の地域総生産(GRP)は1・9%押し下げられる。
マイナス0・1%の関西、輸入が多くプラス0・5%となる関東に比べ、打撃は突出して大きい。
「元気なごや」は今や、輸出依存型の日本経済のもろさの象徴になっている。
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