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★ ニッポン地デジ、南米決戦 「携帯」の教訓生かし奔走 (一部略)
日本のテレビ放送方式を南米で-。地上デジタル放送の規格決定で山場を迎える南米で、
政府が日本方式の売り込みに躍起だ。2007年12月に日本方式での地デジ放送を開始
したブラジルに続き、大詰めのアルゼンチン、ペルーなどへの導入を狙い、総務省幹部らが
相次いで現地を訪問して“営業活動”に汗を流す。携帯電話では高機能化を競うあまりコスト
高となって国際競争力を失った日本の情報通信産業だが、地デジでも出遅れが響き米欧
との競争に苦戦しているが、南米で一矢を報いたい考えだ。
チリ、ベネズエラ、ペルーは07年にそれぞれ日本方式の試験放送を実施済み。アルゼンチン、
エクアドルでも年内に試験放送を行う予定だ。アルゼンチンとペルーは年内、エクアドルは
来春にも方式が決まる見通しで、総務省にはこの年末年始が“剣が峰”となる。
地デジの放送規格は、主に米国、欧州、日本の3方式がある。欧州方式はEU(欧州連合)を
中心に50カ国以上で採用されたのに対し、米国方式は北中米と韓国、日本方式は日本以外
ではブラジルでしか採用されていない。
日本が出遅れた背景には、アナログハイビジョン技術の開発にこだわり、地デジ規格の国際
標準承認が遅れた事情がある。欧米方式は1997年に承認され翌年に放送が始まったが、
日本方式の承認は00年で、放送開始も03年と大幅に遅れた。それが、海外への日本方式
売り込みが後れをとった要因の一つだ。その姿は、国内市場向けの技術開発を重視しすぎた
あまり、海外市場開拓に失敗した携帯電話産業と二重写しに見えてくる。
技術の優位性だけで南米諸国が日本方式の採用を約束するわけではない。コロンビアは、
ワンセグやテレビ放送の双方向性で日本方式を高く評価していたにもかかわらず、今年8月
に欧州方式の導入を決めた。そのコロンビアにペルー政府の通信担当者が近づいているとの
情報もあり、総務省は気の抜けない局面が続く。
加えて、たとえ日本方式が導入されても、日本メーカーが簡単にデジタル対応機器の市場に
参入できるわけではない。実際、ブラジルで最初にワンセグ対応の携帯電話端末を発売した
のは韓国大手のLGとサムスン電子で、日本は出遅れた。
ブラジルなどでは、メーカーは現地の携帯電話事業者に端末を納入するという日本と同様の
ビジネスモデルが採用されている。ただ、日本の端末メーカーは日本の通信事業者向けだけ
に高機能端末を作っているため、ブラジル向けが加わったとしても大量生産できるロットが望
めず、価格競争力では海外メーカーに太刀打ちできない。しかも現地の通信事業者との関係も
薄く、日本メーカーにとって南米市場は「極めてハードルが高い市場」(携帯電話メーカー大手)
と映る。海外への積極進出を促す政府とメーカーの温度差は決して小さくない。
最近では独自の放送方式を持つ中国が、ペルーやベネズエラで試験放送を実施した。米国も、
地の利を生かして積極的に売り込みを続けている。一度決まれば向こう数十年は変わることが
ない放送方式。巨大市場開拓のラストチャンスをものにできるのか。官民のタッグが奏功すれ
ば、地理的には遠く離れた南米と日本の情報通信市場はぐっと近づく。
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