08/11/21 00:55:03
数年前に成果主義への賛否が話題になったことがある。多くの会社員、特に若い社員は成果主義的な
人事制度を望む一方、実際に成果主義を導入した企業では、うまくいっていないという事例が紹介されて、
日本の企業には成果主義がなじまないという主張がなされた。
特に、富士通の人事部に在籍されていた城繁幸氏の「内側から見た富士通 『成果主義』の崩壊」は、
実情を知る元人事マンが成果主義の機能不全の様子を具体的に書いた本だったので、大いに影響力があった。
当時の富士通の成果主義は、最終的には個々人が目標を立てて、その目標の価値と、達成度合いによって、
個人の「成果」が評価されるようなシステムであった。しかし個人が達成しやすい目標を立てて能力を十分
発揮しなくなったり、上司による「評価」に多くの不満が出て、組織の雰囲気が悪くなったり、といった弊害が
リアルに紹介されていた。読者にも似た制度を経験した星方が多いのではないだろうか。
しかし筆者の考えでは、日本の多くの会社で行われているこの種の人事・報酬制度は本当の成果主義
ではない。名前を付けるなら「陰気な成果主義」とでも呼ぶべき、別物だ。
通常、この制度にあっては、目標の価値と達成度で評価される成果が部署なりグループなりの中で相対
評価されて、その相対評価に応じてボーナスなどで「差を付ける」仕組みになっている。しかもボーナスは、
会社が事前に払ってもいいと思っている程度の金額を配分するものであり、仮に大いに成果を上げても、
その絶対額は大きなものにならない。
外資系の会社の報酬制度を経験すると、日本の会社が強調する「同期でも、上下に数十万円、場合に
よっては、数百万円の差が付くのだ」というポイントは、「たかだか、そんなものか」「しょぼい」という印象に
なる。支払いが「しょぼい」くせに、成果・報酬の優劣をあたかも人の優劣の差であるかのように強調する
から、雰囲気が何とも「陰気」なものになる。
また、この「陰気な成果主義」が社員一般には好かれないもう1つの理由は、この制度にあっては、社員の
目標と成果を評価して経営計画との整合性をチェックする役割の「社長室」「経営企画室(部)」「人事部」
といった部署の社内エリートが常に安全圏で優遇されがちなことだ。
▽著者
山崎元:Business Media 誠
▽ソース:Business Media 誠 (2008/11/20 07:00)
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