08/11/12 20:09:54 bAzgMR6K
>>>425,441-442,450
▼最貧国、重債務国の借金が増え続ける構造について、
スーザン・ジョージは次のように説明している。
IMFは彼らが借金し続けることを喜んで許しました。
ただし、いくつかの条件をはっきりつけたうえで。
こういう場合、もちろん小国よりも大国の方が自分たちのやりたいようにできるのですが、
いずれにしろ、どこの国もあまりしっかりした政治的選択をおこなわなかったのです。
選択と言えば、おしなべて、負債を解消するための輸出に依拠した成長、
国境の開放、外国からの投資の追求、利率の引き上げ、公共サービスの民営化と
いったものでした。
こうした政治的方針それ自体は大なり小なり成功するにはしましたが、
その結果はというと、とりわけ、いくつかの輸出品だけに頼る発展の遅れた国は、
同時に足並みをそろえて限定された種類の産品を輸出しようと試みることになった
ということだったのです。
そのために、当然のことながら原材料は生産過剰に陥り、
その価格にとてつもない下落が生じ、この状態はいまだに続けています。
その下落の幅は、この30年間だけで、すべての産品込みで27%というものです。
そして、当然のごとく、輸出による債務からの脱出は不可能になりました。
なぜかというと、輸出すればするほど、価格は下落し、
しかも借金の返済のために収入は減少することになるからです。
こうして、元本に未払いの利子が加わり、負債は増大して、
こうした国々は世界銀行とIMFの手の上に落ちていくことになったのです。
負債は不平等の異常な増大となって体現されたのですが、
それというのも、各国のエリートたちがこのような状況を利用したからでもあります。
彼らは、労働力の巨大な備蓄、給与の底なしの低下といったものを使って、
公共サービスの劣悪化や破壊を気にもかけないで(というのは、
彼らは私的サービスに頼れるから)、民営化から利益を引き出したのです。
逆に、普通の人々は、補助金の廃止などによる生活費の上昇によって、
真正面から打撃を受けました。
スーザン・ジョージ×マーティン・ウルフ
『徹底討論 グローバリゼーション 賛成/反対』p55-6
作品社、2002年11月20日第1刷発行