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社会主義経済の崩壊後、外貨建て融資をてこに急成長を遂げてきた東欧諸国だが、自国通貨の
下落を受け、世界的な信用収縮の影響をもろにかぶる格好となった。ハンガリーでは8月末以降、
通貨フォリントがスイスフランに対して16%、ユーロに対して8%以上下落した。
その他の通貨についても、ルーマニアのレイは対ドルで14%、対ユーロで3.2%、ポーランドの
ズロチは対ドルで17%、対ユーロで6.8%下落。ウクライナのフリブナにいたっては対ドルで22%、
対ユーロで11.5%落ち込んでいる。
通貨の下落は、外貨建て融資を受ける企業や家庭の月々の負担増を意味し、消費の冷え込みが
懸念される。
ウクライナの首都キエフで不動産会社に勤める男性は7カ月前にドル建てのローンで住宅を購入
した。しかし月々の支払いは当初と比べて18%、金額にして1000フリブナ(約1万6400円)上が
ったという。「食費と住宅ローンの支払いで手いっぱいだ」と話し、新しいテレビの購入を断念したと
打ち明けた。
東欧諸国で外貨建て融資が広がったのは、自国通貨よりも有利な金利で融資が受けられるという
背景があった。
今回の金融危機以前、ルーマニアの銀行は、レイ建て融資の9.5%に対し、ユーロ建て融資に
7%の金利を設定していた。その結果、9月末時点で外貨建て融資の総額は360億ドル(約3兆
5000億円)となり、2年前の約3倍に膨らんだ。
現在、ドイツのバイエルン州立銀行などはハンガリーにおける外貨建て融資を制限。住宅ローン
の80%がスイスフラン建てになっているポーランドでも、国内銀行の数行が手数料の値上げや
スイスフランでの融資停止に踏み切った。
東欧諸国にリセッション(景気後退)の懸念が広がるなか、各国政府は事態の緩和に追われている。
自国通貨フリブナの下落と鉄などの輸出商品価格の暴落に見舞われたウクライナは10月26日、
IMF(国際通貨基金)から165億ドルの融資を受けることに合意した。
ハンガリーも10月28日、IMFやEU(欧州連合)、世界銀行から260億ドルの金融支援を受ける
ことを明らかにした。同国政府は2009年の経済成長をマイナス1%と予測。1993年以降初の
マイナス成長となる。
ソース:フジサンケイビジネスアイ
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