08/10/31 18:16:46
米国に端を発した金融危機が、大学生や高校生の雇用に影を落とし始めた。ここ数年は「売り手
市場」との声さえ聞かれた就職戦線。しかし、「経済情勢の激変」を理由に、一転して内定や求人
の取り消しが相次ぐ事態になっている。急速に冷え込む「雇用」に大学や教育委員会は不安を隠
せない。
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「このまま入ってきてくれても希望の部署にはいけないと思う。あなたのキャリアを傷つけることに
なるので、就職活動を再開した方がいい」
関西の私立大に通う4年生の学生(21)は先週初め、5月に内定をもらった大手メーカー(東京)
から、電話で内定「辞退」を促された。今月初めの内定式で顔を合わせたばかりの人事責任者は、
「業績が悪化し、株価も激しく落ちている。会社はリストラを始めている」と付け加えた。
学生にとっては、留学経験を生かせると考えて内定3社の中から選んだ会社だった。同社の内定
者仲間にも同様の電話がかかっている。学生は「今はまだパニック状態としか言えません」とこぼ
した。
(中略)
求人にも影響が出始めている。鳥取県立鳥取工業高校では今月、求人票を出していた県内の中
堅の製造業者に3年の生徒が応募したところ、「米国の景気低迷で先行きが不透明なため求人を
控えたい」と断られた。同校の上原正樹・進路指導主事は「一度、求人票を出した会社が取りや
めるなんて初めてのことで驚いた。その後も何社か取り下げが出ている」と話す。
大阪府でも9月以降、「経済状況が変わったので採用できない」と、来春に卒業する高校生の求人
を取り消す企業が約10社も出ている。「例年ならせいぜい1、2社。このまま景気が悪化し、内定
取り消しまで起きたら大変なことになる」と府教委の担当者は気をもむ。
徳島県のある県立高校の教頭は「幸い9月中旬から10月初めに多くの生徒の就職が決まった。
金融危機が1カ月早かったら、危なかった」。同県の別の高校の進路指導担当者は「生徒が卒業
する3月までに『雇えません』と言う企業が出てこないか心配だ」と案じていた。
(中略)
就職支援サイト「リクナビ」の岡崎仁美編集長は「売り手市場は08年春入社でピークを超えた」と
みる。流通や外食産業を中心に採用計画の見直しが進み、来春採用の内定者が採用予定数に
満たなくても補充しない企業も増えてきた。岡崎さんは「大学3年生が就職する10年春の採用で
は、募集するかさえ決められないでいる中小企業も多い」と話す。
〈内定取り消し〉 厚生労働省によると、内定は雇用を保障する労働契約と認識されている。だが、
内定の定義は厳密ではないため、解雇のように労働基準法で厳格に制限されて
いるわけではない。最高裁判例では「客観的に合理的と認められ、社会通念の
上で相当と是認できる場合」に限り取り消しができるとしている。同省は、企業経
営の悪化などが合理的な理由といえるかは、個々のケースで判断するしかないと
している。
出典元:asahi.com (朝日新聞)
大学4年生の就職内定「取り消し」相次ぐ、金融危機で (2008年10月29日)
(´・ω・)つ【URLリンク(www.asahi.com)】