08/10/29 07:58:58
【予報図】
■自由な端末開発環境必要
業界最大手のNTTドコモの端末出荷台数が見通しに届かなかったのは、これまでの
携帯電話事業者主導による市場拡大戦略が転換点を迎えたことを象徴している。
一台あたり4万円といわれる販売奨励金を事業者が支出し、端末価格を事実上ゼロ円で
提供するビジネスモデルをドコモやKDDIが相次ぎ見直すなか、高価になった端末を
ユーザーが頻繁に買い換えることはなくなった。
加えて、事業者が2年の長期契約と引き替えに通信料金を引き下げる料金プランを
導入したことで、端末の買い換えサイクルが伸び、端末販売の鈍化は決定的となった。
ドコモの場合、市場の激変緩和措置として8000円程度の奨励金を現在も残している。
だが、3万円以上高くなった端末代金を、利用者が通信料金の割引で回収するには
3年以上かかるといわれ、利用者の買い換え促進効果は見込めないのが現状だ。
端末開発費用の低減に向け、事業者やメーカー間では、高機能端末を廉価に
生産できる共通ソフトの開発の動きも本格化している。端末の競争力低下は事業者に
とってもマイナスになるため、事業者は今後、開発負担の軽減や機能の選択の自由など、
メーカーがより主導的に端末を開発できる環境の提供を迫られそうだ。(黒川信雄)