08/10/29 04:24:49
食生活の変化に伴って需要が拡大するチーズ市場に、原料価格の高騰と消費環境の悪化
という荒波が押し寄せている。
原料高に対処して明治乳業など乳業大手3社は今年、2度にわたって製品値上げに踏み切り、
チーズ消費量は5カ月連続で減少して株価の重しになってきた。27日終値をみると、明治乳業が
前週末比21円安の411円、雪印乳業が39円安の274円、森永乳業は21円安の250円にとどまった。
しかし、大手証券のアナリストは「チーズは国内食品市場で数少ない成長分野であり続ける可能性
がある」と分析。値上げしても、単純に消費量が減るとは考えにくいと指摘している。
こうした見方を裏付けるように、3社の株価を1月4日終値を100として指数化すると、27日の水準
は明治が77.3、雪印が79.0、森永も81.7といずれも80前後をキープ。日経平均が48.8に下落
したのとは好対照をなした。
チーズ生産量は順調に伸び、2007年度は前年度比0.8%増の12.6万トン。一方、チーズ向け
生乳の国内価格は今年に入って約24%上昇した。乳価の改定は通常年1回だが、今年は生産者側
から2度にわたって改定要求が出されている。また、飼料価格の高騰や中国をはじめとする新興国の
消費拡大により、チーズの輸入原料価格もここ数年上昇している。
このため、06年以降、国内メーカーは数回にわたってチーズを値上げしてきた。大手3社も今年2~
5月の容量を減らす実質値上げに続いて、8月に雪印が、9月には明治と森永が2度目の値上げに
踏み切った。
この結果、一時的に消費量は減ったものの、ナチュラルチーズの成長などからみて、新価格帯が受け
入れられれば再び成長基調に戻る可能性が高い。
特に、チーズシェアが20%とトップ(今年3月期実績)の雪印について、アナリストは「値上げに伴う
最近の数量減の影響は他社よりも大きいが、市場が成長軌道に戻ればその恩恵を享受できる」としている。
【アナリストの一言】
今年度のチーズ市場は2度の値上げによって一時的に成長が鈍化することは避けられないが、これを
ピークアウトと判断するのは拙速だ。ナチュラルチーズは値上げ後も成長を維持している。新価格帯が
消費者に受け入れられれば、中期的に再び成長基調に戻る可能性が高い。
▽ソース:FujiSankei Business i (2008/10/28)
URLリンク(www.business-i.jp)