08/10/24 07:50:51
農薬や殺虫剤による汚染問題が相次いで発覚し、中国産の食材に対する信頼が揺らぐ中、
スーパーなどの小売業者が苦悩している。信頼が寄せられる国産は中国産より仕入れ値が高く、
利益を確保するのが難しい。厳しい家計をやりくりする消費者からは「中国産でいいから
安いものを」との声も上がる。信頼か価格か、板挟みは今後も当分続きそうだ。
名古屋市中心部の大型スーパー。店内に入ってすぐの目立つ場所に、色鮮やかな野菜や
果物が並んでいた。商品を紹介する札には、大きく「北海道産カボチャ」「フィリピン産
パイナップル」といった文字が躍る。「中国産」の文字は見あたらない。
一方、陳列棚の片隅にはタケノコやレンコンの水煮など十数品目があるが、札に産地の
記載はほとんどない。「産地は商品の記載をご確認下さい」。棚の上段に、こう書いた赤色の
小さな紙が1枚張ってあった。パッケージの裏面に「原産地 中国」と表示されたものが
大半だった。
このスーパーの本社広報担当者は「商品の入れ替わりが激しく、誤表示を防ぐため。
店も、隠しているつもりはないですよ」。
今年初めに冷凍ギョーザによる中毒事件が発覚して以降、店頭に並ぶ中国産の食材は
減っている。農林水産省のまとめでは、1~8月の生鮮・冷蔵の中国産野菜の量は
約18万7000トン。生鮮・冷蔵野菜の輸入量の半分を占めるが、昨年より3割以上も少ない。
名古屋市やその周辺で店舗を展開する中堅スーパーは今年、秋の味覚の代表である
マツタケを中国産から北米産に切り替えた。仕入れの担当者は「中国産というだけで
売れ行きが鈍る。他の食材で、なぜ危ないものを売るのか、という苦情もあった。
まして単価の高いマツタケが売れ残るのは困る」と話す。
このスーパーは、ほかの食材でも中国産以外のものを優先して仕入れる方針に変更した。
結果、利益率が落ちたという。担当者は「国産だから、中国産よりは高いと消費者には
納得してもらっているものの、限界がある。中国産に乗せていたのと同じ幅の利益を
国産に乗せるのは難しい」と明かす。
大手が大量に国産の買い付けに走り、中小業者が国産を仕入れにくくなっている、
という事情も追い打ちをかける。
「中小スーパーの商売は、中国産抜きでは考えられませんよ」。名古屋市内の別のスーパーの
店長がこぼす。
野菜売り場のネギ売り場には、中国産の隣に、値段が6割高い国産が並ぶ。産地表示が
なければ見分けはつかない。「現地では、輸出が遅れるほど検査が厳格になったと聞く。
私たちは危険な食べ物を売っている意識は全くないし、それなりに売れている」
同店は、ギョーザ中毒事件の後、中国産の野菜と冷凍食品を撤去し、国産を中心に仕入れた。
総菜も、国産の原料が確認できれば積極的に表示してアピールした。
しかし、この夏以降は中国産野菜の販売を一部再開した。「中国産でいいから、手軽に
買えるものを」という客の声も受けた措置という。(四登敬、広島敦史)
▽News Source asahi.com 2008年10月24日6時1分
URLリンク(www.asahi.com)
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