08/10/16 11:33:07
ソースは朝日サイトから、AERA 2008年10月13日号
URLリンク(www.asahi.com)
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米国発の金融危機の発端は、低所得者向け住宅ローンの破綻だった。
それと同調するように、欧州などで起きていた不動産バブルも破裂し、
地価暴落の「津波」が地球上に広がりはじめた。
ロンドンは、世界不況のただなかでオリンピックを開催する都市になる。
2012年に開かれる当地3度目の五輪に向けて、街の中には槌音が響く。主会場となる
東ロンドンのストラットフォード地区では五輪を契機にした大規模な再開発が進んでいる。
高級住宅地の点在する西ロンドンと比べて格段に所得の低い住民が多く住む東ロンドンでは、
背の高い建物といえば低所得者向けの公営住宅と相場は決まっていた。
しかし、いまでは高級アパートが目につく。
欧州の中でも不動産価格の上昇が著しかったこの街でいま、不動産価格が急落している。
金融機関の集計によると、英国の平均住宅価格は昨年8月からの1年間で12・7%も
下落した。
経済がグローバル化し、世界はすでに「完全連結」している。サブプライム問題に端を発した
米国の金融危機は、長い好況を謳歌してきた欧州に飛び火した。
「この街は歴史上初めて不況下でオリンピックを開く都市になるんじゃないか」
ロンドンで不動産会社を経営する菊地邦夫氏は、大いに心配している。
五輪に向けて英国の不動産価格はまだ上がると楽観していた。物件を売るなら11年ごろと
考えていた。ところが、サブプライム問題が表面化したとたん、英国の不動産市況は変調を
きたした。菊地氏が最近のぞいた不動産関連のセミナーでは、講師のアナリストが、五輪までに
不動産価格はさらに25%前後下がる、と予測してみせた。
菊地氏は「史上初」と言ったが、歴史を振り返ると、1932年のロサンゼルス五輪は大恐慌
まっただなかの開催だった。選手の派遣を見送る国が相次ぎ、失業者たちのデモが会場を
とりまいた。世界史に封印された忌まわしい光景が、4年後のロンドンでよみがえるかも
しれない。
-続きます-