09/02/16 11:08:17 fBzqMuLh
先崎学の大盤解説
前略
そうこうしているうちに解説役が先崎学にバトンタッチされた。彼の手八丁口八丁は有名であるが
この時はまさにエンジン全開、ものすごいスピードで盤上に駒が飛び交う。局面は先手8三歩と王手がかかったところだ。
「後手同玉は先手7五桂と打つ、そこで同歩は2九竜以下王手飛車、7五桂に9三玉は9五歩……」
そのほか数多くの変化が盤上にストロボのようにしめされる。とにかくえらい速さなのである。
何しろ石田和雄九段が「こんなに速くちゃおれにもついていけないよ」とぼやいたくらいである。
私も見ていてプロがそう感じるようでは一般ファンには理解不可能だろうと思った。
中略
しかし先ほどの件で大盤解説とは何だろうとあらためて考えさせられた。
こんなことは分かりきった事で見ている数多くの人たちに、難解なプロ将棋をわかりやすく解説するということである。
中略
さていよいよ本題に入る。
プロが見ても難解と思われる解説者の先崎は、誰を対象としているのであろうか。
それを考えるには前述の思い出話がヒントになるかも知れない。他者の解説をもどかしく感じる彼は、
自らの解説を自らが観戦者となって見ているのではないだろうか。
もうひとつライバルの目という要素もあるだろう。自分の解説を見ているであろうライバルに
「何だあいつはこんな手も見えないのか」と思われるのが癪でもあるし、恥でもあるのだ。
このあたり一流を目指すもののつらいところである。
後略 升田将棋の世界By故真部一男9段P61~P63