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第二次世界大戦末期の樺太(現ロシア領サハリン)で実際にあった、あまりにも惨たらしい戦火の
悲劇を描いた映画「樺太1945年夏 氷雪の門」が、製作から約36年の時を経て、全国順次劇場公開される
ことがわかった。
本作は、1974年当時に製作実行予算が5億数千万円を超える超大作映画として話題を呼んだ、オールスター
キャスト総動員の反戦映画。太平洋戦争末期の樺太を舞台に、終戦の報がもたらされたにもかかわらず、
ソ連軍の強行的侵攻に倒れた9人の少女たちの悲しき運命を描く。黒沢年男、南田洋子、丹波哲郎らも出演し、
戦闘シーンは陸上自衛隊が全面協力。
企画・製作に9年もの時間を費やし、文部省選定や各種団体の推薦も受けていた。試写会や調査やアンケートを
重ね、史実に忠実に作られた本作は、前評判や口コミから、前売り券の売上が何と70万枚に達していたという。
ところが公開直前になって、配給元の東宝が公開中止を決定した。その背景には当時のソ連政府による圧力が
あった。
「日本の軍事主義を反省していない」「ソ連軍による解放を一方的侵略と描いている」点や、陸上自衛隊や
国の機関が撮影や上映に協力していることが問題視され、駐日ソ連大使館から「反ソ映画の上映は困る」と
抗議の声が上がったのだ。この問題は当時の各新聞紙面でも取り上げられ、一本のインディペンデント映画の
行く末が見守られた。その後、東映洋画配給によって北海道・九州での2週間ほどの劇場公開がなされたが、
実質的に発禁映画となってしまった。
それから36年。幻とされていて本作のフィルムが奇跡的に発見。デジタルリマスターを経て、ついに全国順次
劇場公開が決定した。今回の公開について映画「俺は、君のためにこそ死ににいく」の監督であり、当時
助監督を務めていた新城卓は「より多くの方々に観てもらいたい。この映画の持つ力で、世論を喚起し、
世界の平和を訴えたい」とコメントしている。
URLリンク(www.hollywood-ch.com)