09/01/02 09:23:22
>>99
最後のアカウントみたいだから大事にしろよ
101:名無し三等兵
09/01/02 11:23:04
>>98
考えたけれど断念しました
(卒業訓練中に仮眠した場所に練炭自殺しようとしたカップルを発見
卒業試験そっちのけで対応処置するネタ)
源田さつきが山で修業中、硫化水素自殺をしようとしたOLに
遭遇する話はあったな
102:名無し三等兵
09/01/02 12:00:31
>>93
皆様、新年あけましておめでとうございます。
本年もどうかよろしくお願いいたします。
…と言ったお約束な挨拶は置いといて。
季節らしい気候となりましたが、
皆様お変わりないでしょうか?
私の方はと申しますと、今年、新年の寄り合いの当番
(毎年交代の輪番制)に宗家がなったために応援中で書き込めず、
旧年の大晦日は言うに及ばず、また、
12月の19日~1月の18日までの予定で親類の海外組の
「渉外・対応・供応担当」に抜擢されましたので、
正直な話、書きこむ時間が無い、と(汗)
真面目な話し、12/27~12/30の東京有明方面は厳しかったですが(大汗)
気がついたら冬だと言うのに耳の後ろに塩の結晶が発生しておりますし(汗)
103:名無し三等兵
09/01/02 12:03:35
>>93
それと遅ればせながら、「状況の正常化」おめでとうございます。
個人的に私の書き込みを改変して茶化していただいたようで、
些か「くる」ものがあったのですが、それをおいといても
まずは宜しき事か、と。
なんか呼ばれた様な気がしたんで少しだけ。
(実はこの書き込みも供応・応対の間にしていたりしまして(汗))
それでは皆様、御機嫌よう。
104:名無し三等兵
09/01/02 12:11:00
>>102
>>103
こちらこそ投下ありがとうございました
よい年でありますように
105:555
09/01/03 11:55:09
防女の年の瀬(1)
「今年も終わっちゃいましたね…」
暖房が落とされた寮室の寒さに耐えかねた寮生のたむろする畳敷きの部屋の隅に積み重ねられた、段ボール箱から、痛んでなさそうなみかんをより分けながら、居残り組の統合科生がつぶやいた。
学生寮の『共用棟』の40畳程の和室は、1、2号生による下級生の『指導』の場所として用いられる事が多いが、時間が来ると空調(暖房)が落ちる寮の中では例外に空調が効いている。
居残り組は(補習組も含めて)ほぼ全員が、書籍や雑誌を持ち込み、ある者は部屋の隅の15インチのテレビに向かい、めいめいが年末の時を過ごしていた。
「ま、帰っても居場所がないっていうか、息苦しいっていうか…しっかし…ヒマねぇ~」
壁にもたれ、足を投げ出して、山岳系の雑誌を開いていた強襲科1号生が怨嗟とも、雑感とも言えない言葉を吐いた。訓練のない年末年始休業は彼女達…特に1号2号生にとっては退屈な時間が延々と続くように感じられるのだろう。
2人の言葉を聞いていた両用1号生がポツリと漏らした。
「俺なんて帰る家すらねぇ~ぜ…一家離散して早や5年かぁ~分かっちゃいるけど、年末は侘びしいよなぁ~」
「…」
文句を吐いた2人は黙り込む。ここに居残っている連中の家庭事情は普通ではなかろう。
彼女達よりも複雑な家庭環境の人間は少なくはない。
「オイオイ!何落ち込んでるんだよ。お前等も居残ってるんだから一緒じゃんか。気にするこたぁ~ね~よ」
「ゴメン…」
みかんを手に取った統合科生は、両用科生にみかんを放り投げた。
「よせよ…おっ、サンキュ。しっかし…みかんも喰い飽きたな…富樫恩賜品かぁ…ウチ(両用)の2号の調達品だけど…喰いすぎで腹がユルくなっちまう…馬鹿げた量は統合に脅されたらしいけど…あんまりウチ(両用)を虐めんなよ…」
「何言ってんの?両用から『実家が果樹栽培やってる学生はいないのか』なんて照会がウチ(統合科)に来てるのよ?ウチは興信所じゃないんだけどなぁ~」
「けっ、味しめてんのか…ま、富樫2号の顔立てて礼状は送っておいたから、来年も冬場のみかんには困らんかもな…この量は困るけど…さてと…ぼつぼつ始めっか?」
106:555
09/01/03 11:55:44
防女の年の瀬(2)
「舎監室は『外出中』の札下げてました。例年どおり黙認の模様です」
偵察に行っていたらしい3号生が舎監の不在を報告した。
「よっしゃぁ~!1~2号は『獲物』を持って集合!3号から下は湯飲みとエサを持ってきな!ああ、コップとかグラスは不可だ!湯飲みに限るぞ!」
両用1号の号令で、1~2号生は清涼飲料水のボトルや牛乳パックに偽装した『怪しげな液体』、3号生以下が、スナック菓子、やら風紀委員会の『埋蔵金発掘』から運良く摘発を逃れた物品をを持って集合してきた。
「おっ!ウォツカか。コイツは無臭だからばれにくいな…こっちはドブロク?ひょっとすると『ガーデン』製かぁ~おめぇ、いいツテ持ってんなぁ…」
と、上機嫌で1、2号生の『獲物』の品定めをしていた強襲科1号生の動きが止まった。
「おい…響子…一升瓶2本…それも純米吟醸酒なんてどうやって持ち込んだ…」
響子と呼ばれた生徒は無表情で持ち込み経路を告げた。
「正門から…」
「…あのさぁ…響子…誰にも止められなかった?」
さすがに驚いたようだ。彼女のクラスメイト(らしい)の統合科生徒が、この場所の誰もが抱く疑問を投げた。
「別に…」
「どうやって購入したんだよぉ!」
「酒屋で…」
「…な…」
「堂々としてるから咎められなかったのかな…」
「…何となく逆らいがたい雰囲気あるし…」
「俺じゃ絶対に無理だ…」
「酒の調達ですから、そのとおりにしたのですが?」
無表情で答える響子に、傍若無人をもって知られるはずの両用科生の背筋に薄ら寒い感覚が走った。
「と、とにかく…響子…感謝!これだけあれば酒が足らないってことはなさそうだから…」
感謝の言葉にも響子は表情を変えず、小さく頷いた。
「とにかく、乾杯だ!みんな湯飲みの準備はいいか!それでは!今年の奮闘を振り返り、来る新年の更なる飛躍を祈願して!乾…」
「すとぉ~っぷ!動くなぁ~」
107:555
09/01/03 11:56:12
防女の年の瀬(3)
襖が開くと、紙袋を下げた、『防女最凶』の称号を持つ両用科鬼日下悦子教官が全身に凶気をまとわりつかせながら立っていた。
「大晦日の酒盛りは黙認されとるらしいが、ワシはそれは許さん!」
鬼日下教官は、ニヤニヤ笑いで湯飲みを持ったまま硬直している両用科1号生の前までドスドスと歩を進めると、湯飲みを引ったくり、臭いをかいだ。
「ほぉ、純米吟醸か?いいモン飲もうとしてるなぁ~うむ、こりゃ美味いわ…」
湯飲みを一気に空けると、彼女は湯飲みと、持っていた紙袋を両用科1号生に渡し、全員に向き直った。
「明日0630にオマハに集合!初日の出を拝んだあと、『軽~く』ランニングを実施する。深酒すんなよ!ワシは今から舎監と酒盛りをする!コイツは没収だ!」
あっけにとられている防女生達を尻目に、中身の少なくなった一升瓶を肩に担ぎ、彼女は和室を出て行った。
「…何なの…あれ…」
「オイ…これ見てみろ…」
紙袋の中にはソフトドリンクの2リットルボトルや、ウィスキーの瓶、珍味、スナック菓子の類が半ばやけくその様に放り込まれていた
「…わたくし達に、気を遣ってくれたということでしょう…」
響子が相変わらずの無表情でつぶやき、湯飲みに口を付けた。
部屋の隅のテレビからは、某国営放送の歌番組がやけに古い唄を流していた。
108:555
09/01/03 12:01:01
3日も遅れてしまった…深酒が原因です…
109:名無し三等兵
09/01/03 14:21:55 CR8kIGvO
GJ!です。
ところで、青森(ここも失業率が高く所得が低い・・・故に、能才が防女を志望する可能性が高い)出身学生の伝手で
キズモノで市場に出せないリンゴとかも考えれますね。
ミカンと違って、冷所に保存しておけば悪くならないし。
ドライフルーツへの加工や、リンゴ酒とかもわりかし楽にできるし。
そのネタで、一本書けそうですな
110:名無し三等兵
09/01/03 15:47:49 BHwoq4d8
>>105
投入乙
>>80や>>89のネタも利用してますね
あとガーデンネタやウオッカも登場
(狙撃分隊のロシア人留学生が持ち込んだと考えられる)
それにしても大島響子の大胆さは大物になる可能性あり
111:名無し三等兵
09/01/03 16:27:05
学校に性格上、留学生はいねぇ!
112:名無し三等兵
09/01/03 16:41:06
>>111
212氏の書いたSSにディーナというロシア人留学生が登場している
強襲科の源田さつきや狙撃分隊の雑賀珠子などと一緒に行動している
113:名無し三等兵
09/01/03 16:46:36
あれって、たしか黒歴史では・・・・?
114:名無し三等兵
09/01/03 17:13:28
>>104
こちらこそ存在を憶えていていただいた事、ありがたく思います。
今年は色々な意味で「正念場」となりそうな気がいたします。
皆様方共々、良い年としたい所ですが。
>>105
555さま、投下乙。あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。
…酒は百薬の長とも万病の元とも申します。
寒さ厳しい中、くれぐれも御身大事に。
>>109
シードルとかリンゴチップスとか、他にも煮たり焼いたり揚げたり、
と使える上、身体に色々よろしいですな>リンゴ
今年の雪の重さは如何なものかと気がかりですが、
お互い無事に春を迎えられます事を。
115:名無し三等兵
09/01/03 17:16:59
>>110-113
防大にも陸士にも留学生はいたんで(有名どころとしては蒋介石とか(汗))
いてもおかしくは無いと思う。>防女に留学生
以前個人的にスレ違い(陸軍幼年学校の婦女子版と言うネタ)の
電波を拾った事がある ので、
資料をあさったら結構色々な国からきているみたいですな。
無論わが国からもアナポリスなどへ留学する、交換留学生などのケースがあるわけで。
116:名無し三等兵
09/01/03 19:27:18
防女は、「士官学校」でなく「中堅幹部養成校」であります。
士官学校への留学はあっても、防女のような
「”幼年学校”と”技術学校”と普通課程中学高校”を足して3でわらない プラスアルファ」
のようなとこに「特別な事情が無い限り」留学生受け入れは無いでしょう。
あと、近隣の仮想敵国からの留学生受け入れはもっと無いと考えられます。
利害が重ならない「NATO加盟国」とか「中米国家」なら可能性があるかもしれませんが。
117:名無し三等兵
09/01/03 20:48:19
幼少の頃、両親と死に別れ、祖父母に育てられていたのだが
防女入学、中等部終了前後に相次いで祖父母が亡くなり
家は残っていたので、長期休暇時に帰っていたのだが、
「係累と面倒なしがらみの無い防女生」に目を付けた、近隣の下劣な有力者に
色々されそうになり、実力で排除してたが、面倒になり土地屋敷を
防女の伝手で法的にも万全な体制で処分し、
「卒業したら、都心にマンション買ってシティライフを・・・」とか(甘いこと)考えている某学生。
まぁ、防大以外への進学か就職すれば出来そうだが、ある種の「得意技能」を
あっさり手放す程この学校は優しくなかったりする
118:555
09/01/03 22:39:08
防女の年の瀬(4)
-下田-
「はぁ~い!『寿司濱』です。お世話になってます!え?追加?太巻きを3本ですか?ちょ、ちょっとお待ちください!」
受話器を押さえ、エプロン姿の渚が、板場に向かって声をあげた。
「おとうさ~ん。4時に配達予定の鈴木さん家、太巻き3本追加お願いできないかって?」
「追加ぁ~?そりゃヤバイよぉ~穴子が足んない…」
山のように積まれた太巻きの具と格闘しながら渚の兄が答えた。隣では義姉が巻き上がった太巻きを包装している。
「う~ん…OK出してくれ!それと、渚!仕入れを頼む!」
魚を捌いていた渚の父が応える。渚の実家、『寿司濱』は1年で一番忙しい時間を迎えていた。
「もしもし、追加承ります。ただ、配達時間がちょっと遅れますけど構いませんか?ええ、30分位です。はい。どうもありがとうございました」
「おとうさん。私、目利きなんてできないわよ?」
受話器を戻した渚が父親に仕入れの問題点を指摘した。
「魚勝にはこっちから言っておく。急いでくれ!それと、軽四は駄目だ。もう、配達せにゃならん。ライトバンで行ってくれ」
「おっけぇ~」
「気をつけてね」
義姉の声に見送られ、渚は店の裏にまわった。月極駐車場に鎮座している蒼いインプレッサワゴンに乗り込むと、バケットシートに身を沈め、シートベルトを装着する。
「みんな一緒に忙しく『できる』のも今年限りかもね…」
イグニッションを捻ると、渚のつぶやきに応えるように水平対向4気筒過給器付きエンジンが唸りをあげた。
119:555
09/01/03 23:45:06
防女の年の瀬(5)
-愛媛県某所-
「どうすりゃいいんだ…今度はキウイかよ…」
半ば自発的に出された防女生徒の『礼状』に釣られたらしい。両用科2号生、富樫みなもの自宅には山積みされた…しかし、市場出荷には問題がある小ぶりのキウイフルーツの箱を目の前にして、途方に暮れていた。恐らく、年内の出荷を断念したものだろう。
知られていないが、愛媛は全国一のキウイフルーツ出荷量を誇っている…
「この調子で行くと、いよかん、ネーブルの順ですねぇ~」
どこかで呆れたようにつぶやく、ほんわか娘の声が聞こえたような気がした。
120:555
09/01/04 11:15:42
防女の年の瀬(6)
こたつに半身を埋没させ、延ばした脚で温暖地帯の争奪戦を繰り広げていた中沢家に電子音が来客を告げた。両親は仲良く近所の温泉に出撃中だ。
「ちょっと…アンタ行ってきなさいよ」
「へいへい…人使いが荒いんダカラ…太っちゃいマスよぉ~だ!イタイ!蹴らなでクダサイ!」
ぶつぶつ文句を言いながら、玄関の引き戸を開けた瑞穂はあっけにとられた。
「は~い!オヒサシブリ!え~と、ドッチでしたっけ?」
瑞穂の前には胸ポケットに不死鳥のエンブレムを貼り付けた長身の外国人女性の宅配便配達員の姿があった。
「イーラちゃん…」
「大友産業社長からのメッセージです。ハンコかサインを願います」
日本語では面倒だったのだろう。さっさと英語に切り替えて配達員…PMC、S.S.L横浜支社社員(らしい)のイリーナが要件を告げた。
「あ~ど~も…ちょっとハンコ持って来マスね…き~ちゃん大変デス!イーラちゃんがきてマスよぉ~」
ドタドタと廊下を駆けて居間に戻った瑞穂は認印を片手に、瑞樹を引っ張って戻ってきた。
「ハーイ!元気そうですね。え~と、ハンコオネガイシマス」
瑞穂はやたら丁寧な受領証に捺印し、早速、メッセージを開く
拝啓、瑞穂様、瑞樹様
来る1月1日に東京にて、日本国政府、パレスチナ物流関係者、イスラエル物流関係者の中東紛争区域における物流協定の会議が「同時に個別に」開催されます。
誰かの悪巧みでしょうが、弊社はこの程度の陰謀には屈しません。弊社はこの「全部」に出席します。よって、お二人に私の代理を要請します。
会議終了後は、お食事しましょう。楽しみにしています。
大友静
「な、なんナンデス…」
「今度はワールドワイドに影武者?パ、パスパス!」
「契約は終了しています。急いでクダサイ」
イリーナは受領書を目の前でヒラヒラさせた。
「げっ」
「…ベタなトラップに引っかかっちゃいマシタ…」
「友人の窮地を助けるのも友情ですよ?さぁ、急いで!ご両親には大友社長からもっともらしい連絡が入る事になってます」
「こ、紅白がぁ~」
「え~ん、民間からインタラプトが入るとは思いませんデシタぁ~」
中沢家の前からトラックが発進して30分後、至近のヘリポートから大友産業のヘリコプターが飛び立っていった…
121:名無し三等兵
09/01/04 13:58:30
555さん投下乙
残るはあっちゃんとハリセンですね
お待ちしています
122:名無し三等兵
09/01/04 19:13:03
見合いの話はどーなったのでしょー?
123:名無し三等兵
09/01/04 20:07:31 3JH9E3So
極少数派のカレシ持ち学生だけど、デートでもこんな感じなのでバレていない。
↓
URLリンク(sylphys.ddo.jp)
しかし!カレシの方が市井の女の娘っぽくて密かに悩んでたりする
124:555
09/01/04 20:50:23
>>122
見合も何も…完全に暗礁に乗り上げてます
まぁ、自宅で正月を迎えようとしているってことは
正月前に美統の件が片付いたと言うことで…
今年は大風呂敷を広げずにちまちまやろうと…
125:555
09/01/04 21:14:46
防女の年の瀬(番外編)
-東京 市ヶ谷-
「年越しそばは、インスタントかぁ…ちっくしょぉ~ボクが世界征服したら、全世界に正月の有り難さを遍く(あまねく)知らしめすんだけどなぁ~。もちろん大晦日に働いている不届きなヤツは強制連行でアルコール漬けにしてやるっ!」
発泡スチロール製の容器に残った最後の麺(メーカーによると『直麺』らしい)を未練たらしく箸でつまみ上げて、防衛省情報本部特別分室の主、内海二佐は自らの置かれた立場に怨嗟の声をあげた。
「文句なら、こっち(日本)の年末年始の忙しさを考えないで、お仕事している国の皆さんに言ってください」
夜食は摂らない主義らしい。ここ数日、中東で活発化している『同業者』の動きに関する報告を分析しながら、内海二佐の唯一人の部下、山本二尉は声をあげた。言葉に刺があるのは、内海と同じく、やはり年末の休暇を取り消されたためだろう。
「あ~あ…正月仮面が来ないかなぁ~。面倒だったら○ルサ○ム辺りで○爆発でもいいや…一発でカタが付くし、そうなったらあそこは汚染地域だから、紛争もなくなって、永遠に聖地のまんまだ…」
「室長…冗談じゃ済まない発言ですわよ?それと…正月仮面て何です?」
「う~ん…ぢぇねれ~しょんぎゃっぷってヤツかなぁ~ど~もキミとボクとの間には見えない世代の壁があるんだよね…」
「一緒くたにされなくて、ホント良かったとおもってますわ…」
…頑張れ内海…紛争がある限り、日本国政府は君を必要としている…
山本二尉…今年も頑張って下さい…
126:名無し三等兵
09/01/05 18:51:37
>>125
・・・・盆と正月が一緒に来た仮面に再改良されてなかったっけ?
127:名無し三等兵
09/01/05 20:19:39 lqp47nBY
正月も終わり、そろそろ卒業試験に第一陣が志願を始める時期なのだな。
単位全て修得済で、さっさと卒業試験をクリアしてセンター試験と言うのが
例年の大学進学組のスケジュールの一つである。
128:555
09/01/05 21:13:01
>>126
うぇぇ~!知りませんでしたぁ~
ビジュアルなURLがあればおながいすます
129:名無し三等兵
09/01/05 21:34:13
>>124
美統の話の続きをお願いします
130:名無し三等兵
09/01/05 23:46:28
冬山の怪談とか、寂れて使われなくなった校舎での見回り憲兵の恐怖の一夜とか
ネタないかな?
131:名無し三等兵
09/01/06 15:10:00 FKlWX+rS
見回り憲兵隊員の怪談の一票
132:名無し三等兵
09/01/06 20:49:37
>>130
憲兵ネタでは義理堅いユウレイというSSがある
133:名無し三等兵
09/01/06 21:12:34
山の怖い話みたいなSSって投下されんかな?
134:555
09/01/06 21:20:09
実体験の「ちょっと怖い話」はある。ン十年前の話なんだが…
これを防女に当てはめるのは少々難がある
135:名無し三等兵
09/01/06 22:20:34
>>130
憲兵はけんぺーくんをゲスト出演させて欲しい
136:名無し三等兵
09/01/06 23:13:53
|| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄||
|| ○荒らしは放置が一番キライ。荒らしは常に誰かの反応を待っています。..||
|| ○重複スレには誘導リンクを貼って放置。ウザイと思ったらそのまま放置。||
|| ○放置された荒らしは煽りや自作自演であなたのレスを誘います。 .||
|| ノセられてレスしたらその時点であなたの負け。 .||
|| ○反撃は荒らしの滋養にして栄養であり最も喜ぶことです。 .||
|| 荒らしにエサを与えないで下さい。 Λ_Λ シャキーン ..||
|| ○枯死するまで孤独に暴れさせておいて \<Ф♯Ф> 頭のおかしい人は相手しない。
|| ゴミが溜まったら削除が一番です。 \⊂⊂ | これキホン。 .||
||___ ∧ ∧__∧ ∧__ ∧ ∧____ | ̄ ̄ ̄ ̄|_______||
( ∧ ∧__ ( ∧ ∧__( ∧ ∧  ̄ ̄ ̄ ̄
~(_( ∧ ∧_ ( ∧ ∧_ ( ∧ ∧ は~い、先生。
~(_( ,,)~(_( ,,)~(_( ,,)
~(___ノ ~(___ノ ~(___ノ
137:名無し三等兵
09/01/07 20:16:07
>>130
風紀委員が卒業試験に遭遇した幽霊話ではどうか
138:555
09/01/07 21:07:14
青森県の某霊場で、夏の夕方、参拝するつもりで山門を抜けると
脇に白装束のヒトが腰掛けてた。別に珍しくも何ともないんだが、
数歩歩いて、何気なく振り返ったら…誰もいなかった
逢魔が時ってヤツかも知れない…
139:名無し三等兵
09/01/08 22:13:29
>>127
例の双子の卒業試験の話を見てみたい
卒業試験の日程は予め生徒に伝えられるのだろうか
それとも抜打ちで装備品一式を渡され、ヘリに乗り目的地に
落下傘降下するのだろうか
140:555
09/01/08 22:28:31
>>139
進路はどうなるのでしょうか?
・防大進学
・市ヶ谷就職
・某物流業者特命秘書就任
・外資系諜報機関員
・地方自治体の公務員
・内海の部下
どこに行くんでしょうねぇ~
141:名無し三等兵
09/01/08 22:49:03
>>140
内海の部下が一番可能性がある
学力は憲兵隊長やサムライガールほどよくないと思うし
そうかといって3年は我慢するのではないか
特に内海が勧誘しているはずだし
142:名無し三等兵
09/01/09 14:55:33 BialF8ks
旧帝とかは無いのかな?
あと、ガーデン運営の屯田兵が、発祥は農大である北のH大学農学部進学とか
過去スレにK都大学農学部に行ったのがいたようだし
143:名無し三等兵
09/01/09 21:17:17
ないと思う
旧帝に行くような頭ではないはず
行けるくらいだったら防大の推薦という話があってもよい
144:名無し三等兵
09/01/09 21:33:31
国防とかに熱心とゆーわけでなく、家計を助ける為に防女に進学した口だからな・・・・
本人、年季奉公は田舎の役所勤務を希望しているし。
防女の延長のような防大ではなく、「娑婆の青春(笑)」が可能な旧帝への
あこがれは、防女学生に大多数と同じくらいはあるだろ
145:名無し三等兵
09/01/09 21:42:18
確かにその通りだが、あっちゃんや高級官僚の娘、ターミネーターより
学業成績が悪いと思うので夢は夢だろう
そういえば、潜入捜査のSSで内海に潜入してくれれば
諜報科の防大推薦枠を増やすなんていう口約束があったはず
そうでなくてもいろいろ有名になりすぎて各機関が放っておかないはず
146:名無し三等兵
09/01/09 21:48:03
腐っても防女、しかも色々有名だから「外資系企業」とかからの
お誘いがあってもおかしくは無いな
それも、お米の国とか赤い隣国とかでなく、欧州の中核国家に本社がある企業で。
・・・・アノ娘たちって、フランス語とかできたっけ?
147:名無し三等兵
09/01/09 21:51:16
彼女たちはイタリア語が2外だったはず
148:名無し三等兵
09/01/09 22:16:27
同じラテン語系なら、フランス語の取得は、まぁ楽かな?
英語がネィティブレベルで使えるし。
接点が無かったフランス企業からの求人が防女に来て
それも、双子を名指し・・・とかの話が面白そうだね
149:555
09/01/10 15:45:09
市ヶ谷の陰謀(1)
-市ヶ谷 DIH-
「副本部長。内海分室から人員補充の上申が出ております。え~、今回で15回目です。今まではこっちで対応してたんですが、さすがにこれだけ回数が多いと監査に引っかかってしまいます」
「15回?えらく熱心だな?しかし、なぜ対応しない?」
直轄の部署の人員不足に初めて気が付いたらしい。15回という回数に、あからさまに不審な表情を見せて、防衛省情報本部、副本部長は上申書を覗き込んだ。
「熱心なのは半ば背広組…いや我々(制服組)に対する嫌味です。まぁ、内海分室は開設当初の3名からすぐに1名減で未だに補充がされていません…それに…」
「それに?」
「副本部長はご存じないかも知れませんが、過去に人員補充を試みたんですが、補充人員は短期間で異動をこっちに直訴してくるんで、事務屋からは嫌がられてるんです。もちろん、内海分室への異動の希望なんぞありません」
「ほぉ?」
「他にも『タフ』な人間を厳選して配属させた事もありましたが、『使えない』の一言で即返品です。『都会の狸』と『市ヶ谷の小鬼』基準だと、大抵が不良品です。事務屋の非公式の申し送り事項には『内海分室への人員配属は断固否決すべし』とあります」
「しかし、人員不足はいかんだろ?1日は24時間しかない。彼と、彼の副官に倒れられたり、愛想を尽かされて同業他社に走られては困る。私は内海二佐の、いや、内海分室の実務能力を高く評価している。情報本部の切り札としてとっておきたい。それにだな…」
「それに?何です」
彼は少し恥ずかしそうな顔をして、彼の内海に対する評価を述べた
「たぶん、あのような人物を愛国者というのだろうな。限りなく現実的な…」
「なるほど…そうですね…普通なら辞めてますね…」
「褒めすぎかもしれんがな…」
150:名無し三等兵
09/01/10 16:42:32
投下乙
楽しみにしています
151:555
09/01/10 21:10:11
市ヶ谷の陰謀(2)
「で、私にこの上申を持ってきたということは…何か腹案があるんだな?」
「ええ。実は、内海分室に来年度2名の新卒を配属しようかと」
「新卒?その話だと3日で辞められそうだな…大抵の場合、マスコミにあること無いことブチまけられるんで対応が大変だ。オマケにマスコミはこの手の話が大好きときている。もっと他に報道することがあると思うんだが…」
「いえ、それは問題ありません。何せ『あの』内海二佐を2度も手玉に取っている連中ですから…事務屋も『やっと復讐ができる』と大乗り気です。考えついた担当者は英雄扱いされてます」
「…春期実習とかで派遣されていた、防女のあの娘達か?秋葉原でPMCと戦争やった?」
「ええ。つきましては、副本部長に是非とも防女に陸自への入隊をプッシュしていただきたいのです。実は、彼女達の獲得に同業者、PMC、民間企業、地方自治体が動き始めています」
「ほぉ、そこまで高く評価されてるのか?あの娘達?」
「内海二佐を2度も出し抜いたということだけで、同業者には十分みたいですね。外務省も動いてるそうなので、ウチ(防衛省)も負けるわけにはいきません…大臣も動かしたいのですが…新任ですし、なかなかそこまでは…」
「…わかった。困った内海二佐の顔を見るのも悪くはない。『他人の不幸は蜜の味』と言うからな…本部長と協議して、農林水産省を経由して両省の大臣から防女へのプッシュもお願いしておこう」
「それでは早速、事務方の手配にまわります」
「…何か寒気がしてきた…」
「風邪ですか?室長?」
「…誰かが良からぬ事を考えているような気がするんだ…」
152:名無し三等兵
09/01/10 22:16:14
いきなりですが、めちゃくちゃ着やせするため、お風呂のたびに
凶悪なモノをぶら下げているのをカラカワレル学生とか
下着は、定期的に専門店でセミオーダーを購入しているとか。
消耗品にウン万円・・・・
きついな
153:名無し三等兵
09/01/10 22:37:44
>>152
メーカーのモニタ品が提供される
154:名無し三等兵
09/01/10 22:42:50
体型に合わせるのに職人の調整が必要だったりするんですが
155:名無し三等兵
09/01/11 12:38:48
そこは、某下着メーカーの○戸さんみたいな方が担当されるのでは?
156:名無し三等兵
09/01/12 03:38:07
もう、誰も管理してないかもしれない「防女分校」bbsが
荒らされてるな・・・
157:名無し三等兵
09/01/12 14:15:21 B+OEA7jg
休みだと言うのにSSが投下されませんな・・・
158:名無し三等兵
09/01/12 14:54:49
>>156
そんなスレがあったなんて
検索してみます
>>157
大量投下某や低脳君のおかげで
SS投入がしづらくなったのではないか
159:名無し三等兵
09/01/12 15:26:25
防女では新年の訓練初めの
(空挺の降下初めのようなもの)儀式は
あるのだろうか
160:名無し三等兵
09/01/12 15:42:23
休暇は全校一斉でなくて、入れ替わり制だからな・・・・
ただ、高等部の専攻ごとの儀式はあるかもしれない
161:名無し三等兵
09/01/13 00:43:29
その8 >>442
空気読まずに投下
女性の見た目って髪形とか化粧とか、話し方や立ち振る舞いを
かえるだけで、物凄く変化する・・・と言う事実は、アイドルのデビュー前・後とか
オフに地味目で歩いても気づかれないとか、水商売のオネエサンたちの
営業中・プライベートとかの落差等々で色々語られているが、かように「化粧は女の戦装束」と言う
言葉があるくらいオトコには到底真似できない技を基本実装しているのがオンナと言うもの。
・・・防女の場合は、その道のプロが仕込む変装・偽装技術も加味されるのだが。
で、とある事情で法務省検察庁所属のOG経由で「協力」することになった某学生。
と、言っても死ぬの生きるのといった危険な任務ではなく、二割くらいは青田買いに近い
「訓練された」その年ごろの女子を2ヶ月程度の期間、完全拘束での潜入が必要と言うことで
白羽が立った・・・・のだが、偽装が零細芸能事務所に所属する売れないB級アイドル。
「露出しても、深夜スポットのCMに出れれば御の字だから」と言われて、そっちの方は
あまり心配せずに業界に入ったのだが、マネージャー役が不慮の妊娠で「売れる必要も無いし」と
雇われた、事情を知らない短期契約のおねえさんが大張り切りで・・・・
「アタシこれからどうなるんだろ・・・」
と、言うスラップステック・コメディねたがどっかから降ってきました。
興味がある方は使ってくだされ。
162:名無し三等兵
09/01/13 10:50:51
ライバル事務所に数字3桁の事務所があるわけですね、わかります
え、板違い?それは失礼
163:名無し三等兵
09/01/13 18:58:24
容姿が整っていても、雰囲気と見た目が地味で”おっぱいが巨きい”学生が
成績と修得スキルが主のカタログデータのみを重視されて
この半公務(青田買い)に投入され、尚かつ、バッグアップ要員不在で
事情を知らない民間協力者が「がんばりましょうね!」とかだと
ものすご~く苦労(気苦労?)すると思うのだが。
164:名無し三等兵
09/01/13 20:10:45
>>156
検索してみたが分からなかった
アドレスを教えてください
165:555
09/01/13 21:37:44
植村直己とか大藪春彦(笑)の著作を読んで卒業ネタを練ってますけど…
何かおすすめの本てあります?
166:名無し三等兵
09/01/14 01:48:02
>>164
建てた人間も忘れてるみたいな過疎BBSだから
知る必要もないかと
167:名無し三等兵
09/01/14 19:54:56 seWB7YC+
>>163
地味だけど怪しからんスタイルの持ち主なんですな?
ますますアイドル向きですな。
同様なケースで一発で撥ねられたガイバーな某学生とは大違いだ
168:名無し三等兵
09/01/15 19:56:15
>>166
そうはいっても
知りたくなるのが人の常
誰か教えてください
169:名無し三等兵
09/01/15 20:11:02
168追加
検索してみたがよくわからなかったです
大分昔の話かもしれないけれど
見てみたい(ちなみ防女暦は約1年9ヶ月くらい)
170:名無し三等兵
09/01/16 20:28:56 Y6VVxYp7
防女分校
URLリンク(www.freebbs.biz)
171:名無し三等兵
09/01/16 21:31:42
>>170
THANKS
172:名無し三等兵
09/01/16 22:12:11
防女内の各クラブや寮とかでの「利権」ネタとか考えたい
オヤツと自家製アルコールとかは”ガーデン「屯田兵」”とか。
防女サーバーを介さない私設回線とか、就寝点呼後に校外に行くルートの管理(当然、起床点呼まで)
とか、色々ありそうなんだな
173:名無し三等兵
09/01/17 03:58:52
前スレの後遺症なのかSS書きさんとか設定論争者とか
減少しているな。
軍板全般の傾向かな
174:名無し三等兵
09/01/17 14:31:44 tRGawLi3
これって防女怪談に使用できないかな
URLリンク(ameblo.jp)
URLリンク(ameblo.jp)
175:名無し三等兵
09/01/17 16:57:39
>>172
私設回線は埋蔵金摘発のときに発覚して大騒ぎになったらしい
>>173
ここだけだと思う
去年の夏くらいから555氏の登場回数が減ったこと
あと低脳君の荒らし騒動(漫画板や自衛隊板には出没している)で
住民が引いてしまった事が原因だと思う
176:名無し三等兵
09/01/18 02:01:02
防女学生(1年生)って、「国内」では容姿端麗と言うことになっているけど
海外ではどうなんだろうね?
日本じゃ”う~ん”な お方が欧州ではモテモテとか、中近東では「ぽっちゃりさん」が
大モテとか聞くんだが。
容姿端麗と言っても、プロ!レベルでは無いんだし、どんな反応されてるか気になる。
・・・屯田兵とかは「おらが村が一番の娘っ子(美人)」とかかなぁ
177:555
09/01/18 13:50:27
千尋が、PMCとの「サマーキャンプ」で、過酷な隊員の経済状況と
それを生む土壌(各国の政治状況)に感じるところがあり
「政治で変えられるんなら、一発やってみるか…」
と思い立つ
用務員の石橋さん(仮名)はそっち方面になぜか詳しく
「大学で政治について学ぶ事も大事ですよ」
とアドバイスを受け、
「試験代金払って苦労するこた~ない」
と無視していたセンター試験に臨んでいる
みたいなコトを考えてみた
彼女が政治家になると、「武闘派」に分類されるだろう…
(たまたま、ニュースでセンター試験があったからでして、
SS化なんぞ考えてません)
178:名無し三等兵
09/01/18 14:33:55
各国から出自が色々な”社員”たちの「過酷な経済状況」ネタのSSとかを
お待ちしております。
防女って、中でのたくってる学生はサテオキ実際はもの凄く恵まれた教育・福祉環境なんだな。
千尋あたりはソコラ辺を全く自覚してないだろうから(彼女もある種の箱入りである)
”社員”たちとの四方山話の時に「若い乙女に生き腐れ」みたいな調子で話して
密かな反感を・・・・
翌日からの「訓練」の時に「ギブ!ギブ!」とやってもオチルまで許してくれなくなったりとか。
期待しております
179:名無し三等兵
09/01/18 15:51:44
>>165
卒業試験のSSに千尋を使ってください
何か起こしそうなオーラが漂っている
180:名無し三等兵
09/01/18 17:24:22
大昔にあった防女イラストだけど
URLリンク(mars.x0.com)
marsa3125.zip
DL boujyo
181:名無し三等兵
09/01/19 14:06:19 qYTt++xI
防女って設定が蓄積されてるからSSもOKだけど
4コマ漫画もいける気がする・・・
182:名無し三等兵
09/01/20 01:15:09 o8BBap6Z
ある日の防女で、ヒマしてる学生が
「あんたってさぁ、どうしてウチの学校に願書だしたの」
「「・・・・小学校の時に嵌ったマンガで「将来の夢は秘密諜報員」とか言ってたんよ
で、ちょうど防女が有名になり始めたところで、お父さんが買ってた雑誌で
特集組んでて、国立の軍事学校で自衛隊だけが進路でないのを見て
ダメモトで願書だした受かった」」
「ふ~ん・・・で、なんで卒業後の行き先が会計隊なのよ」
「「・・・人生色々あんのよ」」
「・・・ごめん」
183:名無し三等兵
09/01/20 20:46:30
>>182
卒業間近の生徒の会話ですな
相方の進路はどこになるのだろうか
184:名無し三等兵
09/01/20 23:48:10 S1Q4oVDv
それでも、統合出身の基幹要員候補なんだけどな
185:名無し三等兵
09/01/21 20:49:36
>>184
となるとサムライガールの後輩ですね
186:名無し三等兵
09/01/21 22:41:21
統合も共通は、ともかく専門知識・技能については中で更に細分化してるから
187:名無し三等兵
09/01/22 00:10:18 qqLyCw31
,ダガーナイフの所持が法で禁止されたけど、休暇中、東京で
考えも無しに袖の裏に隠して、私服で買い物をしてたら
ナンパはお断りだけど若い警官に職務質問されて・・・
運悪くナイフが見つかって、所轄へご案内
さて、これからどうする?
188:名無し三等兵
09/01/22 23:54:18 YCk5nq1L
見込みのありそうな学生にだけ、高等部進学から卒業まで
ナイフコンバットをみっちりと叩き込む、元傭兵のオッチャンの話とか
189:名無し三等兵
09/01/23 16:52:16
>>188
寿司屋の娘(統合1号生)にナイフコンバットを叩き込んで
代わりに魚の捌き方を教えて貰う元傭兵のオジサン
190:名無し三等兵
09/01/23 18:20:13 HzIHSBae
あの娘は、現場より官僚の方が向いていると思うけどな
191:名無し三等兵
09/01/23 21:07:44
>>187
罪を認める代わりに
その条件としてキャットファイト大会に参加や
名門女子校への潜入捜査を行う
(555氏や212氏のSSにそんな話があった)
192:名無し三等兵
09/01/23 21:24:34
正直つまらん
193:名無し三等兵
09/01/24 16:20:06
>>190
堅物すぎる点ではまさにそう
同じ専攻だった先代の風紀委員長の方が
まだ柔軟な感じがする
194:名無し三等兵
09/01/24 18:17:40
中堅幹部養成校であり、兼、国家公務員訓練校と言ってもおかしくないくらい
卒業生の公職在籍率が高い学校だしな。
この10年くらいは、結婚退職や民間への移籍も減ってるようだし。
ほとんどが、自衛隊と警察と海保(あと、少数が消防庁のような防災関係)なんだが。
80年代以降、警察関係に進むのが増えてるから(大学卒業組も含めて)
そろそろ、内国治安系と自衛隊内局・制服組の中枢に防女同期が
現れ始めていてもおかしくはない
学閥がそう言う部分で構築されていくと、防女卒業のステータスは益々高くなるが
防女卒業見込みと言うだけで、欲しがる省庁や企業が群れるのはやはり問題だと思う
195:名無し三等兵
09/01/24 23:46:30
SSが8割方できました。
あとの2割にどのくらいかかるか……。
196:名無し三等兵
09/01/25 00:55:22
これは楽しみ
あと、555さんのBlog投稿SS・ネタの移植とかもお願いします
197:555
09/01/25 10:46:02
採用の闇(1) 縁故不採用
「はぁ、おっしゃることはよくわかりました。ええ…それは倫理的な問題にもなりますので、私の裁量では…はい…申し入れの趣旨は十分理解いたしました。ええ、それでは…」
午前8時40分。各種の半ば儀礼的な業務を済ませ、執務に入ったばかりの某地方都市の首長の執務室で、部屋の主は中央官庁の重職にある人物との電話を終え、受話器を戻すとため息をつき首を振った。
恐らく、この時期には良くある話…地元の有力者、関連企業、官公庁などから身内、もしくは利害関係を共にする者の身内、もしくは親族の自治体職員『推薦』だろう。
推薦人物が自治体職員としての資質を十分に持ち合わせていれば箔が付くのだが、この手の推薦された連中は、真っ当な社会人の資質すら持ち合わせていない場合が多い。
そして、地方公務員の実務スキルが低いのは世間一般の知るところである。
「農水省から採用の申し入れですか?」
やけに丁寧な市長の電話応対に疑問を感じたのか、平成の大合併以前から彼を支えてきた秘書室長が電話の内容について彼に疑問を投げかけた。
縁故採用は半ば必要悪と彼は認識している。採用者を『人質』にとれば、自治体運営も円滑に進む。しかし、相手が例え農水省の高官であったとしても、『買い手』である市長がここまでへりくだる理由はないはずだ。
「縁故採用ならな…逆なんだ」
市長は困惑を隠しきれない表情で答え、続いて彼に尋ねた。
「今までに特定の人物を『採用するな』と圧力かけてくる事なんてあったか?」
「合併前の町の時代も含めて、圧力をかけてくるのは、両翼の連中とプロ市民だけだったと思います。農水省がマークしている大人物がウチの採用試験を受けてるんですか?」
「農水省だけじゃない。昨夜、自宅に流通会社の代表取締役から直接電話があった。採用すればウチが誘致しているトラックターミナルの件は白紙に戻すと半ば脅迫された」
「なんです?それ?それにしても『縁故不採用』とは…」
「わからん…とにかく、受験者が何者か知りたい。すまんが総務に連絡を取って受験者の情報を…」
そこまで話した時、卓上の電話が鳴った。市長は受話器を取り、取り次いだ秘書と二言三言言葉を交わし、秘書室長に電話の主を告げた。
「今度は防衛省からだ…ここには自衛隊関連施設なんぞ1つもないんだが…」
198:名無し三等兵
09/01/25 13:44:12
>>197
投入乙
例の双子の話ですね
海外の情報機関や人材派遣会社、大手軍需産業や与党議員からも
同様の電話が入っているかもしれない(笑)
>>195
お待ちしています
199:555
09/01/25 14:17:45
>>196
こっちに書き込んでないのって何でしたっけ?
200:名無し三等兵
09/01/25 14:55:39
>>198
BS3+の途中から最後まで
BS4の一部
DEEP PURPLE
201:200
09/01/25 16:07:30
>>198ではなく>>199でした
202:555
09/01/25 16:45:56
>>200
BS4もDEEP PURPLEも終わってませんね…
203:555
09/01/25 20:32:37
採用の闇(2) ドラフト
-都内某所-
「それでは皆さん、よろしいですね?」
進行役の男が開会を告げると、ホテルの会議室に集まった連中が一斉に頷いた。
官公庁関係者と思われる…それぞれが所属する官公庁の匂い…雰囲気を滲ませた背広姿の主席者は緊張を全身に漲らせる。
「交渉権を獲得した官庁の皆様に申し上げます。交渉権は官庁間での優先交渉権でしかありません」
彼は言葉を切って続けた。
「官公庁の勧誘はほぼなくなりますが、PMCや民間企業、地方自治体等の勧誘は減った訳ではありません。民間に持ってゆかれることのないようご注意下さい。尚、就業については最終的には個人の自由意志に委ねられます。よろしいですね?」
彼は全員の同意を確認すると、手元の原稿を読み上げた。
「では、第1順目指名を発表します。外務省、総務省、内閣府、法務省、厚生労働省指名、統合運用科所属…」
…近年の各省庁間の過剰な勧誘合戦、省庁間の軋轢軽減のため、各官庁の担当者レベルで密かに防女生のドラフト会議が開催されたるのを知る人間は少ない。
204:555
09/01/25 20:35:12
採用の闇(3) 民間の動き~神田佐久間町のケース
「社長、キ○ガイみたいに履歴書が送りつけられてくるんですが…それも営業部宛に…」
『会社の良識』と呼ばれている専務兼営業部長が書類…バインダーに挟んだ履歴書の束を社長の前でヒラヒラさせた。
残念ながらヒラヒラというレベルではない。ご丁寧なことに『作品』らしきものが納められてるDVD媒体まである。
「ウチは求人票なんて出してないだろ?」
机上のメモ用紙に数字とも記号とも言えない怪しげなマーク※を書き込んだ社長は、視線を専務に移した。
「勝手に送り付けてくるんです。この不景気、勝ち組に自分を売り込もうと必死みたいですね?」
「ウチのどこが勝ち組なんだよ?財務状況知ってるだろ?それに、即戦力じゃないと(ウチは)採らないよ。第一、明日から先が読めないのに新卒鍛えてるヒマなんてない。そりゃ、実力が判れば採りたいよ…タダでさえ人手不足なんだから…」
社長の言葉に苦笑して専務は答えた。
「採用試験を世間並みにやってみたけど惨憺たるモンでしたからねぇ~あれは、問題が悪いです…文系の学生に解析幾何の問題出して解けるはずないじゃないですか?大体大学の4年間で基礎学力なんかどっかに蒸発してますよ…」
茶化した専務に真面目な顔をして社長が答えた。
「CGやるんだったら微分積分、行列、ベクトル演算は必須だろ?ウチの若手でも微分方程式位は暗算で概算が出せるぞ?まぁ、おおよその解を経験則で覚えてるだけだけど…」
「昔の海軍の砲術士官は弾道方程式を暗算で解いてたらしいですからね。で、我が社の採用計画はどのようにされるので?今ならお『買い得』の人材が溢れてますよ?」
「要らん!アメリカが破産しようが、M$がリストラしようが我が社の採用計画は変わらん!『社運をかけて』あっちゃんを獲得する!社員にはそう伝えてくれ。それと…あっちゃんにもな…」
専務の言葉に社長はきっぱりと新規採用計画の変更を否定した。
※口の悪い人間はWOC(Write Only Caracter)と呼んでいる
205:555
09/01/25 20:35:44
採用の闇(4) 民間の動き~某流通企業のケース
-東京都内-
「社長室の秘書ポストを新規に2名増やしてください。そうですね、『特務秘書』という肩書きで…統括は私が兼任します」
「今の秘書の陣容ではご不満ですか?」
納得しかねるものがあったらしい。初老の秘書室長が半ば責める様な表情で不備を問いただした。
「秘書課の皆さんは本当に良くやってくれます。が、私の『代理』は務まりません。いえ…業務上(の問題)ではないのです。影武者…おわかりですか?」
社長の言葉に一瞬考える表情を見せた秘書室長は、何かを理解した顔になった。
「なるほど…あのお嬢さん達ですね…確かにあの方達なら社長の代わりが務まります…しかし…」
「しかし?何でしょう?」
「何かスパイ映画みたいですね…」
「『事実は小説よりも奇なり』正直そう思いました…ああ、採用担当者と契約ヘッドハンターを寄越すように手配してください…それと防衛省の採用担当者の接待をお願いします。いざとなれば私が出ます」
206:555
09/01/25 20:37:29
スペルミスがあった…
「h」が抜けてました…
207:名無し三等兵
09/01/25 20:43:50 3YLDFwbk
乙!です
これで、双子の進路が分れればおもしろい。
片方は、堅気の公務員で、もう片方は・・・・お嫁さん(笑)とか
自分の努力と高度隠蔽工作で採用された、非上場の名門企業だったが
あっという間に、若旦那と縁談を仕組まれて!
でも、「いい人」だったら・・・・防女箱入り娘はガードは高いが陥落したら早いと見た!
208:名無し三等兵
09/01/26 13:27:11
腹違いの双子の物語に期待しています。
他にも双子はいるかもしれませんが、片方だけ防女に行って
片割れは娑婆で普通の女子校生してるとかあるかも。
で、胸元だけが際立ってふくよかな女子高生と、胸元だけが残念な防女学生 とか
209:名無し三等兵
09/01/26 20:30:44
555さん投下乙
新作に期待しています
210:555
09/01/26 22:30:16
>>209
卒業試験ネタを書いてます
何かものすごくワイルドになっちゃってます…
参考文献が大藪春彦と植村直己ってのが悪かったかな…
211:名無し三等兵
09/01/26 23:10:28
それこそ防女の卒業試験ですな。
大期待です
212:名無し三等兵
09/01/27 02:10:19
俺の場合はイジメなんて生易しいレベルじゃなかった。
まず、学生時代は男子だけでなく女子にまで陰湿な嫌がらせをされていた。
得にAって女は俺の学生ライフを最も狂わせた人間だったな。
クラス全体にハブられて、ぼっち状態の俺に罵るような言葉を四六時中浴びせ掛けてきたし、
下校の時はおろか、登校の時まで自宅の前でわざわざ待ち伏せをして粘着してくる徹底ぶりだった。
男子連中から弁当を隠されて腹を空かせていた時なんか、自分の弁当を無理矢理俺に食わさせたくせに、
「礼をしろ」とか言い始めて、俺の唯一の安息日である休日にそいつの買い物の荷物運びをさせられたこともある。
高校を卒業。無事大学に進学してやっとイジメから開放されたと思ったら、同じキャンパスにそいつも入学していた事を知った時は目眩いがしたよ。
偏差値の低いクラスのメンバーが誰も入れないような難関大学に死ぬような思いをして入ったというのに……
「あら、奇遇ね」とか言いながら意地悪く笑ったあいつの顔は今でも忘れられない。
結局、社会人になってからもその女は執拗に俺をイジメてきた。
大学4年時。今度こそ確実に逃げ出す為に超一流の企業へ就職すべく廃人のような生活も送ったにも関わらず、
またしても「あら、奇遇ね」と言いながら奴は現れたんだ。
ちなみに、就活シーズンにそいつの顔が死人のようにやつれていたから、柄にもなく心配してやったら
「お前のせいだ」と因縁をつけられたのも覚えている。
そういえば大学受験の時も、あいつは一時期もの凄くやつれていたような気もするが……まあ関係ないだろう。
そして今、人の家に強引に押し入って、食事は疎か寝床すらも勝手に奪ったその女が一枚の紙切れを俺に突き付けてきた。
何だかよく分からない細かい文字が沢山書いてあって、その中にある小さな白枠にハンコを押せと迫ってくる。
嫌がらせに使われるに違いないと踏んだ俺は、慎重にその枠にハンコを押したらどうなるかをに尋ねてみた。
そうしたら、そいつは「あんたの苗字を貰ってやる」と意味不明なこと言いやがった。
なんだよ苗字を貰うって?顔を真っ赤にしているけど、きっとアレは笑いを堪えているのだろう。
ハンコを押したらまた酷い目に合うに違いない。
213:名無し三等兵
09/01/27 03:21:37
コピペ乙
4行目でオチがわかったw
214:名無し三等兵
09/01/27 17:45:32 889M0p30
潜入系SSネタで、ツンデレ防女学生とゆーのがありましたな
215:名無し三等兵
09/01/27 18:58:22
● もしも日本が米英に負けていたら ●
1 :のび太の大東亜戦争:2009/01/05(月) 23:09:46 ID:0kmeaiwu0
もしも、あの大東亜戦争において、金甌無欠の我が大日本帝国が
万が一にも、鬼畜米英に負けるような事になっていたら……。
今頃、大日本帝國はどうなっていたんだふか……を考えてみるスレです。
スレリンク(history2板)
216:209
09/01/27 20:42:43
>>210
そういわずに頑張ってください
でもこれが終わると
例の双子やハリセン、セレブなどが卒業ですね
何か寂しい気もします
217:555
09/01/27 21:34:26
>>216
そ~ゆ~点では、もう1年食らい続けたい様な気がします
双子の「デビュー」は2号生9月頃ですんで…
下書きへの注文なんかを「あっち」にいただけると嬉しいですね
218:名無し三等兵
09/01/27 22:15:19
時系列が一緒と言うわけでないし、あえて、卒業とかしなくても・・・・
個人的見解ですが
219:名無し三等兵
09/01/28 16:40:24 bZzDmpSw
過去スレに、小娘の癖して外見や物腰が二十代半ばに見える学生ネタが・・・
220:名無し三等兵
09/01/28 20:42:47
>>217
双子の中学部や高等部1年の話を読んでみたい
あと両用3人娘や源田さつきをはじめとする強襲科の生徒の話も
(両用3人娘は555氏もSSに書いている)
221:名無し三等兵
09/01/28 22:22:44
リクエストするのは自由だが、あくまでもそれだけだからな
222:名無し三等兵
09/01/29 21:02:14
入試シーズン到来
当然、入試期間中は授業はないはずなので
生徒たちは訓練に励んでいるはず
223:名無し三等兵
09/01/30 11:59:42 8IumBlSe
防女の場合は、入試に関わらない専門教官や助教が多いから
日常とたいして変わらないのだがな
224:名無し三等兵
09/01/30 15:42:54
防女でも、駆け落ちする生徒はいるの?
そしたら、やっぱ捜索されて連れ戻されるの?
225:名無し三等兵
09/01/30 16:08:33
中等部の時は、ほとんど学校敷地外に出れないし
高等部になったら、卒業して公職について三年間の
強制服務を終わらせてから障害は実力で排除・・・と考えるくらい
頭が回るように教育してると思うぞ。
第一、出会いの機会がほとんど無い「箱入り」ばかりだからな。
故に、「遠距離恋愛の相手なら尼寺か防女」とか言われてるし
男関係の傷の少なさから、子女を入学させたり婚姻の相手と考える
上流が多いというのに。
あと、男が敷地内に忍びこもうとしても多分無理だからあきらめてね
226:名無し三等兵
09/01/30 20:19:12
>>224
こいつはスペックが高くても高確率で喪女予備軍となる防女の
恐ろしさを、あれ?なんだこんな時間にチャイムが
ちょっと待ってて
227:名無し三等兵
09/01/30 21:03:10
>>225
忍び込んで、憲兵隊につかまったら最後
生きて出られないと言う伝説があるらしい
228:名無し三等兵
09/01/31 16:15:34
>>223
ズゴックが田沢たちをしごいているのですね
229:名無し三等兵
09/01/31 16:23:13 EYSDciK+
自習や自己訓練に勤しむ者とかね
自分の成績や機能特性について詳細な記録・分析結果が
毎週更新・配布されるから(しかも、それらは単位制で取得タイムスケジュールが横並びではない)
空き時間や自由時間に、不得意な部分を埋めるとか得意な分野を更に伸ばすかは
自己管理の範疇
人それぞれだが、道場で汗を流すとか第二外語の訓練に費やすとか
図書館と自習室・もしくは寮の自室で資格試験の勉強をするとか・・・
あと、睡眠不足をひたすら解消するとか、重要なのは卒業認定単位の修得と
卒業後の進路で後悔しないことなので、だらだら過ごすような余裕持ちは居ないんだな
230:555
09/01/31 23:04:53
卒業試験の様子
足跡一つ無い、稜線から続く雪の斜面に純白の落下傘が舞い降りた。
落下傘の、小柄な女性らしいライダーは、基本に忠実に5点着地を決めようとしたが、敢えなく雪の中に潜り込む。この季節、大地は揺るぎないものではない。
ほぼ全身を雪中に埋没させた彼女は、稜線を吹き抜ける風に半ば煽られながら自分自身が作った穴から這いだし、身体を踏ん張ってサスペンションラインを手繰りよせはじめた。
彼女の頭上…煌々と光る月明かりの空に輸送機のエンジン音が冷たく響き、夜空にまた落下傘が開いた。
「…さぶっ!セレブやら社長の影武者やってたから、肉体労働はキツイな…」
たぐり寄せた落下傘のサスペンションラインを特別に携行を許可された柄頭の長い無反りの短刀で手早く切り離しながら、彼女はつぶやいた。
大雑把にラインとキャノピーとを分離し、キャノピーを折りたたむ。貴重な物資だ。無駄にはできない。緊張が解け、やっと寒さに気がついたらしい、彼女は身震いすると、稜線を見上げた。風は微風とはいえ、体感温度を低下させるには十分な風量だ。
「こりゃ雪崩が来たら一発だわ…やっぱ、ここはヤバいよねぇ~ほ~ちゃん…あ…居なかったんだ…」
防女統合運用諜報科1号生、中沢瑞樹は寒さのせいか、それとも自嘲なのか判りかねる笑みを浮かべ、雪崩をさけるべく、雪の斜面をかき分けていった。
231:名無し三等兵
09/02/01 01:07:21
ここまで鍛えられ、その能力と精神を試された人材が
「アタシ、地方公務員としてヒッソリ生きていたいんデス」と言っても
世間が許さんと思う(笑)
商社に就職して、世界中を資源開発と日本の利権獲得の為に
防女同窓ネットワークを駆使して飛び回ってる”お方”とかは
多分存在しているだろうが。
232:名無しSS書き
09/02/01 15:41:45
SS投下します。
233:防女にいきたい!1
09/02/01 15:43:46
「あいこー、みんなとうち来ないぃ?」
「ごめーん、またねー」
つきあいわるーい、という声を背に、愛子は校門を走り出た。ランドセルの中で筆箱が
踊っている。家まで歩いて15分。約1キロの道のりを走り続けるのが愛子の習慣だ。
運動会のリレーではアンカーだし、持久走は学年で五指に入る。背は低いが、走るのには自信がある。
(でももっと早く、長く走れなくちゃ……!)
黒い輪ゴムで結わえただけの短いお下げが跳ねる。住宅街を走りぬけ、片側3車線の幹線
道路にかかる歩道橋を駆け上がり、古びた商店が並ぶ横丁を通り過ぎて駄菓子屋と歯医者
の角を曲がれば、あっという間に愛子たちが住む社宅だ。出し巻き卵みたいな形の階段を
くるくる3階まで駆け上がる。
「ただいまー!」
真ん中に横長の新聞入れがついた鉄のドアは結構重い。玄関を入ると短い廊下、突き当り
の安っぽいドアを開けると6畳の子供部屋。子供部屋と言っても愛子の勉強机があるとい
うだけのことで、父母の衣服が入ったたんすもこの部屋にある。ふすまを隔ててやっぱり
6畳の茶の間兼父母の寝室。母親がお嫁入りのときに持ってきた三面鏡もテレビと一緒に
ここにある。廊下の突き当りを右に入ると10畳ぐらいの台所兼食堂で、引き戸で茶の間と
仕切られている。要するに3つしかない部屋がL字型に並んでいるだけだ。ふすまと引き
戸は寝るとき以外開け放して使っている。廊下の左側には手前からお風呂とトイレが並ん
でいる。古びた鉄筋コンクリート4階建て、2DKの小さな社宅だが、やっと中堅に入る程
度の会社には建て直しも難しい。
234:防女にいきたい!2
09/02/01 15:44:44
愛子が飛び込んだのは台所兼食堂だ。夕食の下ごしらえをしていた母親が「お帰り」と
笑顔で振り向く。テーブルの上には和風のお皿に載ったあんぱんとコップに入った牛乳が用意されている。左手の茶の間にランドセルを放り出し、あんぱんに手を伸ばそうとした
愛子に「手を洗ってからね」と優しく声がかかる。素直にお風呂場に行って(洗面所など
という洒落たものはこの家に存在しない)洗面台で手を洗い、牛乳とあんぱんを平らげる。
茶の間経由で勉強机に行き、布のカバンをつかんでドアから廊下に出る。
「行ってきまーす!」
いってらっしゃい、今夜はカレーよ。母親の声が追いかけてくる。今度の行き先は学校と
は逆方向で、学校より少し遠い。2車線のバス通りをずっとまっすぐ。かばんの中で
カンペンケースがからから鳴る。途中で道いっぱいに広がってだらしなく歩く女子高生
たちの間を縫って追い越す。
「でさー、やってんじゃねえの?」
「おめ、ふざけんなよー」
「でもそれマジやばくない?」
バカだ。こいつらほんとにバカだ。茶髪に化粧に超ミニのスカート。色とりどりの爪に、
耳にはピアス。男言葉と女言葉の区別もついてない。こんなバカどもを放っておいたら
日本はどうにかなっちゃう。たったったったっ、と走りながら愛子は日本の将来を憂う。
大きな交差点を曲がり、JR駅前のロータリーを抜け、愛子が走りこんだのは有名中学を
目指す大手学習塾だ。
235:防女にいきたい!3
09/02/01 15:45:49
「愛子ちゃん、今日も早いねえ」
アルバイトのチューターがカウンター越しに声をかける。
「もうじき模試だから」
さすがに少々息が切れたようだが、元気に応える愛子。「わかんないとこ、あったら聞いて
いいですか」
「もちろん」チューターもこの塾のOGで、有名私大の文学部に通っている。授業はしな
いが、子供の質問に答えるぐらいのことはする。
授業が始まるまでにはだいぶ時間がある。2階以上に設置されている教室には上がらず、
ロビーのテーブルで問題集を開く。手続きカウンターの向こうでは講師たちが授業の準備
をしている。壁には塾の宣伝ポスター、有名私立中学の募集ポスター、模試の解説。愛子
も時々顔を出す成績優秀者一覧。必読図書や受験情報誌でいっぱいの本棚もある。
カウンターの端をまわってチューターが近づいてくる。スーツ姿の講師とは違い、
ブラウスにパンツのラフな服装だ。
「愛子ちゃん、ホントに私立は受けないの」
「うん」ノートを開き、ペンケースを開ける。学校では禁止されているキャラクターつき
の鉛筆は、塾専用のペンケースに入れてあるのだ。全てきれいに尖っている。
「もったいないなあ、昔の私よりできるのに……」薄いピンクのきれいな爪がテーブルを
こつんとひとつ、叩く。「桜蔭、女子学院まではいかなくても白百合とか……」
顔を上げた愛子がまっすぐな視線で言う。
「私は防女一本だから」
236:防女にいきたい!4
09/02/01 15:46:50
愛子が防衛女子校を志望するようになったのは、やはり父親の影響と言えるだろう。高卒
で中堅企業の営業マンになった彼は、さしたる教養も、軍事や政治の知識も持っていない。
しかし父親―愛子の祖父―が保守的な考えをもっていたことや伯父が軍人だったこと
もあってか、左翼には強い警戒心を抱いていた。テレビで活躍する革新政治家や左翼評論
家の発言に「なに言ってるんだ」などと容赦のない合いの手を入れたり、警察官や消防士、
自衛官といった公益性の高い職業に敬意を払う父親を見て、愛子にも知らず知らずのうち
に保守的な意識が芽生えたようである。亡き伯父の飛行服姿の写真を見せて「パパの伯父
さんはね、『彩雲』っていうものすごく速い飛行機に乗っていたんだよ」などと誇らしげに
教えたこともあった。幼い愛子は友達に「愛子のご先祖さまは、さいうんっていうゼロ戦
に乗って戦ったんだよ、世界でいちばん速かったんだよ」と自慢したものだ。
そうした傾向が決定的になったのは、父親が陸上自衛隊の駐屯地祭に連れて行ったときで
あった。自衛隊を見せてどうこうしようというつもりもなく、ただ愛子が喜ぶだろうと
いうだけのことであったが、普通科の一糸乱れぬ行進、巨大な戦車、火を噴く榴弾砲、
飛び交う対戦車ヘリコプター、手を振る愛子に直立不動の敬礼を返してくれた一等陸尉、
そして「守りたい人がいる」という標語……その日から愛子の心は陸上自衛隊でいっぱい
になった。本屋で見つけた「自衛隊装備年鑑」をねだり、「違うよ、これは戦車じゃなくて
89式装甲戦闘車だし、こっちは75式155ミリ自走榴弾砲だよ」などと父親の誤りを訂正
するようになった。「彩雲というゼロ戦」と言っていたころとは段違いの知識である。自衛
隊員になるためには身体が丈夫でなきゃダメだ、重い荷物を背負って何キロでも走れる
ようでなきゃダメだと聞いて学校の行き帰りはもちろん、ヒマさえあればそこらを走る
ようになり、それまではどっちかといえばひ弱な女の子であった愛子は校内トップクラス
のランナーになった。
237:防女にいきたい!5
09/02/01 15:48:44
そして小学5年の春、昼休みの図書室でふと目にした新聞の活字に愛子は釘付けになった。
「舞鶴市郊外にある防衛女子校」
防衛女子校……?そんな学校があるの?
5年生にもなると、そろそろ進学の話題も出るようになる。公立中に進むつもりでのほほん
としているグループと、3年、4年のころから塾に通って私立を目指すグループに、クラス
の中もなんとなく分かれた感じになってくる。愛子はもちろんのほほん組だ。勉強はでき
る方だったが、家計が苦しいのは見ていてもわかるし、両親とも高卒で就職しているから、
自分もそうなるんだろうと思っていた。
防衛女子校、防衛……。すでに陸自オタ並みの知識を持っていたから、防大はもちろん
知っている。防大のような勉強をする女子大?だったら防衛女子大だよね。じゃあ中学校か高校……?
(真知子先生に聞いてみよう!)愛子の担任はまだ若いが、頼りがいのあるタイプ。進学
情報にも詳しく受験組のよき相談相手となっている。職員室に駆け込んできた愛子に
「防女かぁ……」苦笑して腕を組みながら「ちょっとあっちで話そうか」
真知子先生は、職員室を出た。あとを見送る教師たちが、苦い顔を見合わせる。
進学指導室としても使われている小会議室に入ると、小さなテーブルをはさみ向かい
合って座る。
238:防女にいきたい!6
09/02/01 15:49:59
「防女かぁ……」
もう一度言うと、今度は白いブラウスの腕と一緒に黒いタイトスカートの脚も組んで天井
を仰ぐ。表情は柔らかいが、やはり苦笑が浮んでいる。
「学校としては悪いところではないよ。学習レベルは非常に高い」
一般中高と同じ学習をする傍ら、英語と第2外国語を徹底して仕込まれる。そのほか護身
術、格闘術をはじめとする軍事教育を施される。学費と諸経費は無料、それどころか給料
まで支払われると聞いて、愛子は目を輝かせた。
「じゃあお金がなくても行けるんだね」
「寮生活になるからお小遣い程度の仕送りは必要かも知れないけど……給料が出るから
それもいらないかなあ」長い髪をかきあげて
「でも先生としてはあんまりお勧めできない……かな……?」
「なんで?」
「うーん、愛子がそのうち防女って言うんじゃないかとは思ってたんだけど」
教師としては教え子を戦争に関わらせたくないこと、自衛隊の意義は認めないわけでは
ないが自分の教え子を危険な職業に就かせたくないこと、それから……
「さっきの職員室の雰囲気、気づかなかった?」
「……?」
「先生たちの中には、自衛隊絶対反対のひともいるんだよね」
理由はいろいろだけどね。ちょっと目をそらすようにしてまた苦笑が浮ぶ。
「真知子先生は大反対まではしないけど、できれば普通の中学に行って欲しいなあ」
愛子は口を尖らせて、考え込む。
「先生……さっき危険な職業って言ったじゃん?」
「うん」
「じゃあおまわりさんも消防士もダメ?大工さんだってハシゴから落ちたら危ないよ?」
「うーん、そりゃそうなんだけどね。すすんで苦労させたくないっていうか」
「じゃあ危ない仕事は誰がやったらいいの?他のひとにやらせたらいいの?」
そうだねえ、真知子先生は笑った。「愛子の言うことは正しいよ」
239:防女にいきたい!7
09/02/01 15:51:04
職員室に戻った真知子先生のデスクに、図工の教師が歩み寄ってきた。よれよれのスーツ
に汚れた白衣、サンダルを引きずり白髪交じりのもじゃもじゃ頭をかきながら
「真知子先生、先生のところの小柳愛子、ありゃなんなんでしょうなあ」
「なに、とおっしゃいますと?」真知子先生はとぼけてみせる。
「いやあ、なんだか自衛隊だとか、今度は防衛女子校に行きたいだとか……なにか特殊な
家庭なんでしょうかなあ」
「家庭はご両親と彼女の3人暮らし、お父様は普通のサラリーマンのようです」
右のほほに感じる強い視線は、組合活動に熱心な50代の女教師だ。授業にも熱心ではある
が社会科で米軍基地反対運動を取り上げるなど、少々偏った思想の持ち主と見られている。
他の教師たちは見て見ぬ振り。教頭が、あ、そうそう……とわざとらしくつぶやきながら
廊下に出て行った。
「うちの学校から防女が出たなんてことになると、平和教育はどうなっているんだと
言われかねませんよ」ため息をついて、
「小柳の指導も、どうかよろしくお願いしますよ」
「ありがとうございます、努力致しますわ」にっこり笑って答えると、女教師の視線が
いっそう強く頬に突き刺さった。
240:防女にいきたい!8
09/02/01 15:52:23
「礼!」日直の号令を合図に、先生さようなら、みなさんさようなら、と子供たちの声が
響く。足音、話し声、椅子と机のがたがたする音の中、
「愛子、ちょっと来て」教卓から真知子先生が呼んだ。
ランドセルを背負い、駆け出そうとしていた愛子は机と旧友たちの間を縫って
「先生なに?」
「さっきの話だけど」今度は苦笑ではない、頼りがいのある微笑と真剣なまなざしが見つめる。
「真知子先生は愛子を応援することにした。がんばれ」
「え……?」
「防女に行きたいなら、がんばれ」
ぽん、と両手が肩にかかる。チョークの粉が愛子の肩につく。
「私立受験並みに勉強しないとだめだから。いまからやれば間に合うから」
その日、愛子はランドセルを背負ったまま家を通り過ぎ、歩けば40分前後の道のりを走った。
大きなガラスのドアを身体で押し開け、カウンターに歩み寄る。
「あの、すみません」
「はい、こんにちは」向こう側で事務員が立ち上がる。愛子は大きく息を吸い込む。
「小5受験コースのパンフレットを下さい」
241:防女にいきたい!9
09/02/01 15:54:50
ロビーで夕方まで自習した後、受験コースをあんぱん1個でこなすのは、結構ハードだ。
もう6年生の秋。本番まであと半年である。すっかり暗くなった街を、やはり走って家
まで帰る。
(今日はカレーだったっけ……ちょっとおなか空かしていくか!)
二つのバス通りを直角に曲がっていくだけで家に着くのだが、愛子は少し遠回りすること
にした。いつもの曲がり角を通り過ぎ、昔は刑務所だったという公園まで行ってぐるりと
回って帰ることにした。大通りに比べれば暗いが、何度も走っているコースだ。
(今日の算数は難しかったけど、山本くんあたりはわかってるみたいだったなあ、
やっぱり開成とか受ける子は違うなあ)
たったったったっ、大通りからコンクリートで固められた川沿いの道に入り、薄暗い公園
の外周を回って少し走ったところで(あ……)愛子は立ち止まった。
バイクが3台、しかも暴走族みたいな改造バイクだ。柄の悪そうな若者が3人、
そして彼らに取り囲まれるように若い女が立っている。女はブラウスにジーンズ、
スニーカーといったシンプルな服装だが、なにか舞台女優のようにしなやかな立ち姿だ。
愛子はあわてて公園の立ち木の陰に隠れる。
(なんだろう……、インネンとかいいがかりとか、そんな感じ?)
しかし、女の態度は落ち着いているようだ。
(それとも友達なのかな……)
「なんだよ、あんまり冷たくすんなよぉ」へっへっと笑いながら鼻に銀のピアスをした男が言う。
(やっぱりインネンつけてるんだ!)ぞっと鳥肌が立つ。
「減るもんじゃなし、ちょっと付き合ってくれてもいいんじゃね?」これは裸に革の
ベストを着た大男だ。腕には刺青がびっしりと刻まれている。恐怖、嫌悪感、軽蔑、怒り、
いろんなイヤな感情がいっぺんに押し寄せる。
(あんなバカそうな連中が……許せない……!)
「オラァ、気取ってねえでこっち来いよ!」3番目の金髪の男が女の肩をつかんだ。
242:防女にいきたい!10
09/02/01 16:01:14
(ど、どうしよう、警察?でも携帯なんか持ってないし……大声出す?そしたら私だって
危ないよぉ……でも……)
足許を見回す。落ちていた太い木の枝を両手でしっかりとつかむ。
(こんなもので戦えるわけじゃないけど……でも戦わなきゃいけないかも……!)
女が男の手をゆっくりと払った、ように見えた。手首の骨が砕ける音と同時に、金髪の
絶叫が響き渡り、急に消えた。女の第2撃が鳩尾に入り、気を失って崩れ落ちたからだ。
「お、おい、どう……」
鼻ピアスが声をかけようとした瞬間、女が風のようにふわりと身を寄せ、自分の頭より
高いキックで頭を蹴り飛ばした。横ざまに吹っ飛ぶ鼻ピアス。どざざっ、派手な音を
立ててアスファルトに倒れたまま身動きもしない。
「ふ、ふわあ」
刺青が後ずさりした。いちばん離れた位置に立っていたことが彼にとっては幸いした。
あっけなく背中を見せるとあわててバイクにまたがり、地面を蹴って進みながらエンジン
をかけようとする。女に追うつもりはないようだが、完全にパニックに陥っているため
何度も転びそうになりながら必死にエンジンをかける。
ぶおん、とようやく轟音が響き、そのまま走り出そうとする。
(あ、逃げる……!)
愛子は木の枝を持ったまま陰から飛び出した。
「待てー!」叫びながら、よたよたと目の前を通りすぎようとするバイクの前輪に木の枝
を突っ込む。
「うわあ!」加速しようとした瞬間に前輪がロックしたため、前転でもするように
ひっくり返った。
243:防女にいきたい!11
09/02/01 16:02:24
(やった!)愛子が振り向くと、意外な加勢に驚いた表情の女が駆け寄ろうとしている。
「くっそ……このガキ!」立ち上がった刺青が背後から愛子の腕をつかむ。
「いやあああ!」暴れる愛子を簡単に捕まえ、盾にするように女に向かって叫ぶ。
「く、来るんじゃねえ!このガキぶっ殺すぞぉ!」
大きな掌が首に食い込む。それだけで視界がモノクロームになった。苦しい。
立ち止まった女が、ふっと息をもらした。笑ったのだ。
「……殺せば?」
「な、なんだとぉ!」
「全然知らない子よ、あたしには関係ないわ」
言いながら、ゆっくりと近づく。
「来るなっつってんだあ!」
「さあ、絞めるなり刺すなり、遠慮しないで殺しなさいよ。ただしその後で」
女の目が暗く光った。
「……あたしがあんたを殺してやる」
愛子の頭上でごくり、と音がした。刺青のノドが鳴る音だ。首をつかんでいた手が緩む。
震動が伝わってくる。震えているのだ。
「うひゃああ!」愛子を突き飛ばし、大通りの方向に走り出す。愛子が使った太い枝を、
女が拾い上げた。右腕がしなやかに後ろに引かれ左足を踏み出し、サイドスローの投手の
ように肩の高さから枝が投擲された。地面と水平にくるくると回りながら放たれた枝は、
ちょうど刺青の頭を後ろからぶん殴る形で命中した。鼻ピアスと同じような音を立てて、
刺青は路面に昏倒した。
呆然と見ていた愛子は、ようやくノドの痛みを覚えて何度か咳き込んだ。刺青の大きな掌
で締められたときに痛めたようだ。
「大丈夫?」
女が背中に手をあて、さするように動かす。いまの大立ち回りからは想像も出来ないよう
な優しい……というより、普通の女の子が心配している声だ。
「でも、ここから離れないと面倒なことになるから……走れる?」
「はい……走れます」
倒れている刺青(が起き上がって襲ってくるのではないかと愛子は恐ろしかったのだが)
を飛び越えるように、愛子が走ってきた方向に明るい大通りを目指してふたりは走った。
244:防女にいきたい!12
09/02/01 16:03:25
「ごめんね、あんまりお金ないんだ」
コーラのSサイズを二つ、トレイに載せて持ってきた女(というより少女であることが
愛子にはわかった)が微笑んだ。
「あ、いえ……」座ったままであいまいに頭を下げる。
しばらく走ったふたりは、愛子の学習塾がある駅前に程近いマクドナルドの禁煙席で
向かい合っている。最近の女の子としては珍しいぐらいの短髪に、日に焼けた顔。
高校の陸上部員といった風情である。
「あと、変なことに巻き込んじゃってゴメン」
「いえ、あの」緊張してノドがかすれる。「私が勝手に……」
「まあ、そうだよね。あんな危ないことに手ぇ出しちゃダメだって」
「すみません……」
少女は笑った。「冗談だって!ホントにごめんね」
「でも……」
「なあに?」
あなた、かな。おたく、じゃおかしいか。どう呼びかけたらいいか迷いながら愛子は
尋ねた。
「えーと、あの、おねえさんはどういう人なんですか?K1とかやってる人ですか?」
目を丸くした少女は
「K1かぁ、まあそれに近いかなあ」
あっはっは、と笑ってから少し声を落とし、
「あんまり言わないようにしてるんだけど、そういう学校に行ってるの」
「……」
「知らないだろうけど……防衛女子校っていうんだけどね」
「え……?」
愛子の身体が震えだした。
245:防女にいきたい!13
09/02/01 16:06:02
少女の携帯を借りて母親に「補習に出るので遅くなる」と連絡した愛子は、防女について
根掘り葉掘り聞き始めた。防女志望の小学生に偶然―しかもあんな形で―出くわして
面食らっていた少女も、愛子の熱心な態度に打たれたのか誠実に応じてくれた。
「そうなんだぁ、防女って……もう絶対に防女って決めてたんです。そのためにお母さん
たちに頼んで塾にも通わせてもらって。私、やっぱり防女に行きたい……」
そんな愛子の様子をにこにこ笑って見ている少女。
「……それに、さっきみたいな連中とか、こーんな短いスカートのバカみたいな女子高生
とか、絶対許せないし」
天井を仰ぐようにして、声を出さずに少女が笑った。防女に行きたいと言ったときの
真知子先生のような笑い方だ。
「あのさ」
「はい」
「勘違いしちゃダメだよ?」
「え……?」
「あんな連中でも守るのが自衛隊の仕事なんだ。そのための訓練を、あたしたちはしてる」
言い切った瞬間、マクドナルドのひと隅に涼しい空気が流れた。
246:防女にいきたい!14
09/02/01 16:06:49
遅いから送っていくと言われたが、明るいバス通りだけを通って帰れるのでと遠慮した。
「じゃ、なにかあったら、ここに電話してね」090で始まる携帯の番号。「つながることは
ほとんどないと思うけど……」花柄のかわいいポストイットに書いて渡す少女は、普通の
女子高生と変わらない。
帰宅を急ぐ人々の流れの中で、名前を言ってなかったね、とつぶやいた少女は
いたずらっぽく笑って直立不動の姿勢になった。
「防衛女子校、海上要員砲雷課、鶴田里香であります!」
いつになくぼんやりした顔でカレーライスを食べていた愛子が、流しに向かっている母親
の背中に呼びかけた。
「ねえ、おかあさん」
「なあに?」
「私、勉強がんばるから、絶対にがんばるからさ」
流しに向かったまま、背中で聞いている母。こういうときのおかあさんは、
頭ごなしにダメなんて言わない、絶対言わない。大きく息を吸った。
「スイミングスクールに行ってもいい?」
247:防女にいきたい!15
09/02/01 16:10:22
海から見上げる冬の空は広い。小さな雲がところどころ浮んでいるが、快晴である。
「あんたとこういうことになるとはね」
カポック(救命胴衣)とヘルメットを身につけた艦長が微笑を浮かべて呟く。「しかも実戦ときたもんだ」
海面には無数の白い波が飛んでいる。艦体がきしむように揺れる。天気晴朗なれど波高し、
を地で行くような天候である。
「もうすぐ戦闘海域だね。あたしは砲雷屋だから、操艦は任せたよ」
危険な兆候は決して見逃さないが、それ以外は手出し口出しをほとんどせず部下に
やりたいようにやらせる艦長である。防大時代の成績は決してよくなかったが、
その謦咳に接した者はみな「自分も鶴田2佐のようなオフィサーになりたい」と憧れを抱くという。
大物視するあまり〝米内光政の再来〟とまで呼ぶ者さえいる。
「任せて下さい、寒中水泳はさせませんから」
応える航海長に、せっかくスイミングスクールに通ったのにね、と笑う。
「じゃあ行こうか、小柳1尉殿?」
愛子は大きく息を吸い込む。
「宜候!」
~完~
248:防女にいきたい!正誤
09/02/01 16:44:27
砲雷課ってどこの会社だ……Onz
砲雷科の誤りでした。
249:名無し三等兵
09/02/01 19:15:12
面白い!
GJ!です
250:名無し三等兵
09/02/01 23:24:24
>>230
続きをお待ちしています
>>232
受験シーズンにふさわしい話ですね
こういう話を待っていました
ところで彼女は防女の学園祭に行ったことがあるのだろうか
251:名無し三等兵
09/02/02 06:19:48
>>248
おぉ、なかなか渋い…
GJ!
252:名無し三等兵
09/02/02 20:07:27 qy6ieKhd
232氏投下お疲れ様です
これからも遊びに来てください
253:名無し三等兵
09/02/03 15:16:48 iaLlxMl1
防女に入学できたのが居るなら、防女を落ちて私立女子に行った子も・・・
254:名無し三等兵
09/02/03 22:47:25
>>253
何人もいるだろう
逆にお嬢様学校から受験して入学する子
ある程度はいそうだ
255:555
09/02/03 22:50:10
単発質問
卒業試験の携行品は何だろ?
パラシュート降下するので、パラシュートとヘルメット、ゴーグルはあるだろうが…
ナイフ
サバイバルブランケット
ブラスワイヤ
サバイバルミラー
ジップロックパウチ
メタルマッチ
ボケットナイフ
コンパス
ローソク
安全ピン
縫い針
糸
ワイヤーソー
マルチ・ビタミン錠
リップクリーム
これにスコップもしくはピッケル位だろうか…
あんまり重装備でも面白くないし、軽装備だと嘘臭くなる
256:名無し三等兵
09/02/03 23:20:00
抗生物質と使い捨て注射
沈痛用モルヒネと使い捨て注射
生水を飲み水にする薬剤(水筒で汲んだら一錠入れて良く振る ベトナム戦争米軍標準装備)
あと、緊急事態用無線機とエマージェシー用の強力位置情報発信器
ま、これ使ったら再訓練後に再度挑戦と言うことになるけど
257:232
09/02/04 00:16:43
3回目のSS投稿ですが、555氏のようには書けませんね……。
軍事知識が乏しいので、戦闘シーンなど全く書けません。
迫力あるアクション超大作!を書いてみたいものです。
258:名無し三等兵
09/02/04 00:25:03
地味な防女の日常とかも良いもんです
あと、弱小サークルとか
ガーデンだって、最初はネタだったのが、あれだけ設定が
ふくらみました
次回作も楽しみにしております
259:名無し三等兵
09/02/04 15:37:10
頑丈なテグスがあるともの凄く便利だが、山歩きでロープが無いのがおかしい
あと、装備じゃないけど、古新聞が一束あるともの凄く使いでがあるぞ
260:555
09/02/04 18:27:33
>>259
ブラスワイヤ(真鍮製の針金)がテグスに相当するのではと…
「サバイバルグッズ」で検索して適当に集めました
空挺降下→厳冬期の山岳倒破
なので、降下時の装備は冬山装備よりも軽装になるんじゃないかと
山歩きの経験ないんで、アレですけど、何ミリのロープをどれだけ
持ってゆくもんなんでしょう?
261:名無し三等兵
09/02/04 19:17:26
防水密封されたフクロに入った防寒用着替え(下着・靴下・タオル)等が
無いのはどうかな
あと、片栗粉をまぶした氷砂糖とチョコレート
冬山登山では
降下は知りません
262:名無し三等兵
09/02/04 19:52:32
冬山踏破が判ってるなら、バターとかチーズを一塊隠しもっていくと思う。
肉類を摂れない以上、ああいう寒い場所ではカラダの中で燃焼するものを
摂らないと体力が回復しない
ま、あんまり重装備だと嘘くさくなるから携行重量が決まっていて
何をどれくらい持参・配分するか・・・・から成績判定が始まっていると考えるべきだと思う。
初期の複数回再試験組とかには、武器と装備ばかり抱えていって食料と医療品を持たずに
失敗したのとか、ロープを忘れてニッチモサッチモいかなくなってリタイアとか
生水をそのまま飲んだり、雪をそのまま食って腹をこわしたり脱水症状になってアウトとか
いたかもしれない
まぁ、現在の防女ではそういった失敗を高等部進学から複数行われる「泊まりがけハイキング」とかで
注意せずに全部やらせて(ちなみにハイキングでは助教が引率、小隊もしくは分隊単位)
失敗させることで、座学では学べない”色々”をカラダに叩き込んでると思うけど。
マタギは、干し餅とかの携行食糧や冬山の過ごし方を代々伝えてるから
山奥の寒村出身の学生とか、得意だろうなぁ・・・・
263:555
09/02/04 23:04:09
「日本アルプスに落下傘降下&サバイバル」
しか設定がないですからね…
いざ、そっち系のSS書こうとしても、勝手に設定
作っちゃまずい…
・携行品
・試験の定義
あたりをクリアしないとなかなか話が進みません…
264:名無し三等兵
09/02/04 23:32:22 mKxBA7be
卒業試験の根幹設定が「単独踏破訓練」だから
そこらから資料をあたってみてはどうだろう?
あと、時期が晩秋から初春にかけてに限定されている
晩秋の山歩きは熊が怖いとか、初春は緩んだ積雪の雪崩が怖いとか
色々あると思う。
265:名無し三等兵
09/02/05 16:09:46
軍用ライターとウイスキーもしくはラム酒の小瓶
それと、防寒用として身体に塗る油
冬山だったら手足の指の一本くらいは凍傷で無くしても
おかしくない
備えるべき
266:555
09/02/05 20:24:17
手芸部部長と語る~聞き手 亜麻野敦子
「あら?今回は中沢さんじゃないの?」
「私が代理です。2人とも忙しいみたいなんで…」
「ま、い~か…リアクション期待できないけど…」
「移動体研究会と手芸部って仲がいいんですね」
「ま、魚心あればってヤツよ。で、本題!冬はやっぱ、風呂が楽しみよね?」
「そうですね。冷えた身体にはお風呂がありがたいですよね」
「で、じゃ~ん!手芸部特製!ギガ入浴剤!」
「メガ入浴剤とか言うのが発売されてますよね?」
「へっ!メガなんてタコよ!こっちはギガよ?メガの1000倍凄いの!インパクトも最高よ!」
「どこが最高なんですか?」
「保温機能を上げるため、高分子…ゼラチンとか片栗粉の凄いヤツを混ぜ込んでるの。コイツでお肌はしっとり、体温調整はバッチリな訳」
「へぇ~」
「風呂場に叩き込んできたんだけど。ぼつぼつ効果が出る頃ね」
「誰だ!風呂にゼラチン放り込んだのは!学生が閉じ込められてるぞ!」
「…ゼリー寄せになってるみたいですね…」
「…失敗か…ゴメン!逃げる!」
267:555
09/02/05 20:33:52
…すみません…単位間違えてます
メガ→ギガ
ギガ→テラ
でお願いします
>>265様
日本の法律上、未成年へのアルコール販売は禁止されております
エタノールはOKかも知れません。Mig25用アルコールが「美味」との話も
ありますので…
268:名無し三等兵
09/02/05 20:40:19
>>265
そういうものをどこかで手に入れているはず
ひょっとしたらガーデンで熟成させているかも
>>263
日本アルプスに限らないと思う
富士の樹海もあるかもしれない
269:名無し三等兵
09/02/05 20:45:05 ODZ9/oSx
冬山歩きの必需品なんですがな・・・チョコレートとアルコール(凍死と低体温症防止の”薬”として)
あと、卒業試験の日程は単位全修得後に本人が申し出るのだが
やっぱり、生理周期とか考えて「予定では3日前に終わってる筈だから・・・」と
考えてるんだろうな・・・・と、思ったら集団生活を営む女性の生理周期って一致するんだな
寄宿舎(ドミトリィ)現象で。
一学年100人として単位修得完了時期のバラツキと、複数の寮に分れている防女生活と
万一の為のバックアップ・救助要員と準備に割くことのできる学校教員の人数から
結構、希望が混み合うピークが何回かあると見た。
大学入試を考えてる学生は、下手したら11月あたりに終わらせるかもな
270:555
09/02/05 20:51:11
>>268
防女・樹海とくれば「彼女」の出番です
「そういうもの」は既に入手しいるという設定で下書きしてますが…
多分、寒さが緩んだら終わりのような気がします(笑)
設定とか実在する場所なんかは、実際にロケしたいなと…
(厳冬期の日本アルプスを縦走する訳にはいかないので)
全部書ききる自信がないです。ちょっとずつUPした方がいいのかな?
271:名無し三等兵
09/02/05 20:52:12
ところで旧家のヒトって、雪山歩きとか雪国の生活の知恵とか詳しそうだけど
コメントが欲しいですな
272:名無し三等兵
09/02/05 20:55:56
>>269
>>270
樹海になるか雪山になるかは
教官室に呼び出されるまでわからないのでないか
273:名無し三等兵
09/02/05 21:22:02 EnGgf/aB
【学校】岐阜県に男女相部屋の中高一貫校を来年開設。早くも問い合わせ殺到
スレリンク(bread板)
274:名無し三等兵
09/02/05 21:28:06
試験地の選択はともかく、「準備できました やります!」と志願する時期は
学生個人にある程度まかされてるだけだろ?
275:名無し三等兵
09/02/06 12:14:50
田沢乳発見!
URLリンク(data.tumblr.com)
276:名無し三等兵
09/02/06 13:38:40
>>275
おかわりおながいすます
277:名無し三等兵
09/02/06 13:45:28
旧三人娘ものの作者さんが復帰してくれたらな
278:名無し三等兵
09/02/06 20:10:30
>>257
そんなことはないです
うまくかけています
最初見たときは212氏が
戻ってきたのだと思った
279:名無し三等兵
09/02/06 21:54:21
MMK(モテテもてて困る)がネタの話とか誰か考えないか?
田沢ネタで昔あったような気がするんだけどな
280:555
09/02/07 13:33:31
>>230の続きをちょっとだけ投下
281:555
09/02/07 13:36:37
まずはビバークだ。雪崩に対して岩陰は完全に安全とは言い切れないが、これ以上の行動は体力を消耗する。(雪崩は)来るときは来るし、来ないときは来ないと開き直るしかない。
ピッケルでせっせと雪洞を掘る。人間1人が入れる雪洞を掘り上げ、携行品の蝋燭に火を灯け、パラシュートのキャノピーを重ねて敷き、エマージェンシーブラケットを取り出して身体に巻き付る。その上からキャノピーを被った。
雪の中なので当然氷点下だが、外はもっと寒い。蝋燭1本の暖房ではあるが、洞内は外と比べれば比べものにならないほど暖かい。蝋燭に手をかざし、冷え切った手を温め、体力の回復を図るべく眠ろうとするが、なかなか眠れない。
身体検査をすり抜けて持ち込んだ、愛知県某社製の粉末の入ったビニールパウチを取り出し、中身を少量を口に入れる。喉元から胃袋までが燃え上がり無意識に額に手が当たる。酒臭い息を吐き出すと、凍結しかかっていた身体が緩んだ。
(体力に劣る統合運用諜報科員が卒業試験を乗り切れるのは、このテの『ずる』を巧妙な手口で行っているからだと言われている。まぁ、露見しなければ『ずる』ではない)
強引に体温を上げた瑞樹は目を閉じた。ぼそりと呟く。
「適当に晴れてくんないかな…快晴だと雪崩が起きる…気温が上がる前に移動しなくっちゃ…」
何とか数時間まどろんだ。寒くて寝られたものではない。夜は明け切っていないが、幸い降雪はなかった様だ。気温の上昇で雪崩の危険性が増す前に移動距離を伸ばした方がいいと判断して出発した。薄くガスが広がっているが、行動に支障はないだろう。
雪崩に注意しながら斜面を下りる。現在位置は穴の空くほど眺めた日本アルプスの写真で大まかに頭に入っている。まぁ、とんでもない場所に降ろされたと言うことだ。
しばらく雪原をラッセルし、登山ルートに合流する。降雪がなかったのが幸いした。試験直前まで眺めていた天気図から、天候は急激に悪化する可能性がある。距離を稼げるのは今日だけだろう。明日からは荒天だろうし、体力の消耗も激しくなる。
谷まで降りてしまってはややこしいことになる。無意識に下ってしまうので、高度を保って移動する必要がある。
なだらかな斜面を横切り、稜線を越え、林を抜けようとした時、彼女は『素敵な出会い』と遭遇した。
282:555
09/02/07 13:37:55
突然の邂逅である。目の前にはツキノワグマがどう考えても穏やかでない様子で唸り声を上げていた。
「本当に『出会う』とは思わなかった…『森』じゃないんだけどなぁ~」
目の前に対峙する『出会い』の相手、標準的な(と言っても体重は100kgを優に越えている)ツキノワグマを睨み付けながら、瑞樹は長い拵えに付け替えた忠次を鞘から抜き、青眼に構えた。
「やっつけたら『熊殺し』か…何となく嬉しくない…」
情けない表情になりながら、それでも唇の端に不敵な笑みを現わせて、『出会いの相手』に向かって愛刀を構え直した。慎重に足元を固める。この雪の中で転倒したらたちまちエサだ。
「やったろ~じゃん!さぁ、かかってきなさ~い!」
瑞樹の気迫に押されたのか、はたまた、高周波成分を含んだ音に驚いたのか、熊はたじろいだ。が、次の瞬間、唸り声を上げて、一気に距離を詰め、片手殴りの一撃を瑞樹に向かって放ってきた。そう、この時期に雪原を徘徊する者は何者であれ飢えているのだ。
「きえぇ~い!」
瑞樹は、忠次の柄を握りしめ、殴りかかってくる熊の前足に合わせ、気合いを込めて切り結んだ。体力勝負では明らかに不利だ。ここは忠次の切れ味に望みを託すしかない。
強烈な衝撃が瑞樹の両手を襲った。倒れそうになるのを懸命に堪えた瑞樹の目の前を、自分自身の打撃の強さで断ち切られた熊の前足が血しぶきと風切り音を立てながら通り過ぎていった。
打撃を加える身体の部位を失った熊は、勢い余って転がった。チャンス!瑞樹は熊に近づき素早く数度心臓を突き刺す。運良く肋骨を避けたらしい。バターナイフを突き刺す様な感触で、熊の胸板に忠次が柄元近くまで吸い込まれた。
何となく勿体ない気がしたので最後の突きは捻りを加えながら引き抜く。残った前足の逆襲を避けるため、熊の身体を踏み台にして大きく後ろに跳躍すると、胸の前を前足が唸りをあげて通過していった。
283:555
09/02/07 13:38:21
あとは逃げる!余裕をぶっこいているヒマなぞない。2WDと4WD(正確には3WD)では圧倒的に後者が有利だ。雪に身体をとられながら全速力で駆け出す。
絶叫して瑞樹を追撃しかけた熊だったが、数歩走ったところで、何かに引っ張られるように動きが止まり、全身を痙攣させながら倒れた。切り飛ばされた前足からの血が雪原を鮮やかに染めた。
倒れた熊は、しばらく苦しそうに息を吐いていたが、大きく痙攣するとそれも止んだ…彼女が防女の数少ないタイトル保持者となった瞬間であった。
「やっちゃったぁ…」
全身の力が抜けた瑞樹は雪上に座り込んだ。しばらく身動きが取れなかったが、やがてノロノロと立ち上がり、忠次の刃先を確認した。さすが忠次。刃こぼれ1つしていない…
「…ゲテモノは苦手なんだけどなぁ…」
瑞樹は熊に用心深く近寄り、息がないのを確認して身体に馬乗りになり一気に腹を裂いた。内蔵が氷点下の雪上で湯気を立てる。
胃腸や膀胱を傷つけないよう注意しながら消化器系を引きずり出し、放り出す。胃や腸は、水洗いをして煮込めばそれなりの味らしいが、ここでは不要だ。何せ周囲には水が全くない。
心臓、肝臓を取り出す。獣臭はあるものの、悪臭というほどではない。熊は強い臭いがあったり、逆にほとんどクセがなかったりと個体差があるらしい。どうやらアタリの様だ。気温が低いので臭いが広がらないこともある。
何とも言えない感触と温もりが手にかかる。喉元にこみ上げてくる不快さに堪えながら、目を閉じて湯気を立てている生の肝臓に食らいついた。口が血で赤く染まり、口中に生臭さが広がる。目を白黒させて飲み込む。情けないことに涙がこぼれてきた…
284:555
09/02/07 13:39:14
「…当分レバ刺し食べたくない…」
口を拭って、再び肝臓に食らい付く。何よりも体力維持だ。生臭さにえづきながら300グラムばかしの肝臓を胃に収めた瑞樹は、残った肝臓をサブパラシュートのキャノピーを切って包んだ。
熊肉…いわゆる筋肉の部分には寄生虫がいる事があるため、生食は厳禁だ。生で食べられる肝臓はいざというときの非常食になる。
胆嚢はサスペンションラインをほぐした糸で口を結んで切り取る。腹痛の薬として干し固めて売られているが、半製品でも何かの役に立つかもしれない。
首の皮に忠次を突っ込み、軟骨板を切断して首を胴体から切り離す。膝と肘を切断すると首と内臓、手足を切り離された熊の重量は7割程に減少した。
大雑把に骨と軟骨を分離し、脂を切り取った。熊の脂はクセが少なく生食でき、ゆっくりと溶かしたものは猟師の万能薬として使われている。何より極寒の山中では脂分は貴重だ。脂で切れ味の落ちた忠次を熊の毛で拭いながら瑞樹は解体を進めた。
おおよそ2時間後。熊は毛皮と肉塊と残骸とに変化した。合計で50kg近い。解体した肉や脂をキャノピーで小分けして包む。毛皮は貴重だ。なめしてないのでゴワゴワしているし、ファッションセンスなぞ全くない。が、ないよりはマシだ。
「お腹減って死ぬってコトは当面なくなったけど…この様子だと2~3日足止めかなぁ~」
空を見渡すと、抜けるような青空の隅に鉛色の雲がうっすらと湧き上がりはじめていた。時間は午後3時だが、これ以上の移動は自殺行為だ。瑞樹は調達した食料を背負って、自分が拓いた道を引き返しはじめた。
目を付けていた広葉樹の林に入り、手頃なダケカンバの若木をワイヤーソーで切断して支柱にし、ティピーを設営しはじめる。
285:555
09/02/07 13:40:58
ネイティブアメリカンの移動住居ティピーは、少ない資材で簡易に設営でき、内部で火を焚いて暖房や煮炊きをすることが可能だ。
米軍の軍事教練のサバイバルを扱ったマニュアルには、パラシュートの布と紐とを使ってティピーを作る方法も記載されている。
自生しているダケカンバの幹から樹皮を剥ぎ取る。樹皮は脂分が多く焚きつけに適している。サバイバルキットのメタルマッチで、火を起こした。
長期戦を考慮して、ファイヤースターターは使わない。茶色っぽい煙が上がり、樹脂成分が小さな音を立てて燃え上がった頃、ティピーの周囲は暗くなりかけていた。大荒れの前兆だ。
「ヤバイな…こりゃ燃料がたくさん要るわ…」
天候の崩れが長期になると判断した瑞樹は風の影響を計算しながら周囲のダケカンバを片っ端から伐採し始めた。(国定公園内の無許可伐採は自然公園法違反なのは言うまでもない)
「与作はきぃ~を切るぅ~へいへいほぉ~」
歌でも歌わないとやりきれない…何より熊除けになる。これ以上の出会いはゴメンだ。無人の原生林に脳天気な歌声が響いた。
286:555
09/02/07 13:42:51
違法伐採したダケカンバの生木をティピーに持ち込み、積み上げ、敷き詰める。火の勢いでティピー内の雪は溶けかかっているので、このままでは水没だ。熊の毛皮を丸太の上に敷き、クッション代わりにする。
前日の雪洞よりも随分と過ごしやすい。何よりも、暖を取れるのがありがたい。濡れて重くなった靴と、靴下を火に近づける。靴下から水上気が上った。
忠次でダケカンバの小枝を削ると、半ば凍結した熊肉を突き刺し、焚き火の周囲に立てて炙る。ビニールパウチに雪を詰め、焚き火の熱で溶かし、熱で溶け露出した地面から小石を集めて暖め、キャノピーで巻いて懐炉代わりにする。
凍傷防止に熊脂を手足に塗り込む。熊肉の焼ける匂いが漂ってきた。
「食わず嫌いか、それとも空腹は最高の何たらか…ま、防女生の味覚はハンパじゃないもんね…」
焦げた肉の表面を削った枝先で削ぎ落としてかぶりつく。口中に旨味と暖かさが広がった
荒天は丸2日間間続いた。
287:名無し三等兵
09/02/07 14:27:55 xCgW6wE6
投下乙です。
手慣れた設営他色々ですが、防女敷地内で、それこそ「手が覚える」まで
夏期炎天下・真夜中・降雨時・冬期厳寒期・等々・・・繰り返し仕込まれるんでしょうな
疲労困憊してても、自動的に身体が動くくらいまで。
ところで、軽量で頑丈な「鍋」かわりが欲しいですな
雪を溶かして水を造る・水を汲む・お湯を沸かして手足を入れることで
最も原始的な凍傷の治療を行う・色々採取するときの籠かわり・・・等々
非常に使用範囲が広く、かつ、必需品でもあります
ご一考を
288:名無し三等兵
09/02/07 14:48:57
>>255-256
野戦携帯用医療パックが必要だと思う
289:名無し三等兵
09/02/07 15:03:20
>>286
>荒天は丸2日間間続いた
この2日間で防水マッチをつくるとか(マッチと蝋燭の蝋で作成)
色々できそうだな
基本、重量を減らしながら歩く必要があるから、カロリーが低くて嵩張ったり
重いものから食べていくとか。
あと、終了は防女が設営した卒業試験用の施設に帰ることですかな
いや、頬がこけた臭くて汚い若い娘が(しかも、熊っぽい毛皮を羽織っている)
電車で周囲3メートルあたりにヒトが寄りつかない状態で目をギラギラさせてる
情景が目に浮かんだもんで
で、舞鶴駅で降りてまっすぐ母校教官室に出頭して「○○ ただいま帰還しました」と。
・・・ちょっと、萌えます
290:名無し三等兵
09/02/07 15:49:56
葉っぱの無い冬山・雪山での必需品
野戦用トイレットペーパー複数巻き
忘れたらアウト
291:名無し三等兵
09/02/07 16:16:08
>>161-163ネタのSSをどなたかプリーズです
292:名無し三等兵
09/02/07 16:27:48
↑
何故、防女に進学したのですか?
健康で頭が良くて可愛いけど家が貧乏だから
お母さんが売れなかった昭和アイドルで、マネージャーだったお父さんと
駆け落ちして・・・・
なんかドラマがあったらしい
293:名無し三等兵
09/02/07 18:26:46
>>280
投入乙
>>289
ゴールは自衛隊の駐屯地
自衛官か教官が待機している
294:名無し三等兵
09/02/07 18:29:35
>>292
親が彼女のデビューを知ったらどういう反応をするだろう
あと彼女の専攻科はどこになるのだろう
諜報かなそれとも統合の別の科かな
295:名無し三等兵
09/02/07 18:34:55
法務省系の青田買いだから統合だろう
296:名無し三等兵
09/02/07 18:39:15
>>163
>容姿が整っていても、雰囲気と見た目が地味で”おっぱいが巨きい”
深夜番組向け、かつ季節関係なしに水着撮影をやらされたり
業界お偉いさんからのセクハラとかに密かに涙を流したり。
メイク担当という名目で定期的に接触がなされるかと
297:名無し三等兵
09/02/07 18:44:23
>>295
となると元風紀委員長や最低渚と同じ兵站と言うこともありえるな
298:名無し三等兵
09/02/07 18:53:40
兵站ではないな
専門が違いすぎる
組織・法務系かな
あと、思いつきで書込まんで考えてからレスしたらどうか
299:555
09/02/07 21:05:20
ちょうどJNN報道特集で幹部自衛官候補生の特集やってました
あれから見ると、ヌルいのかも知れませんね
300:名無し三等兵
09/02/08 12:40:08
卒業試験のスケジュールは何日くらいなのだろう
雪山だと大雪の時は数日間足止めを食らうから
続くと1週間くらい無駄になる気がする
301:名無し三等兵
09/02/08 12:44:20
帰還するまで
302:555
09/02/08 13:01:11
>>301
さすがに期限は切られていると思います
「うん…かれこれ20年になるけど、戻って来ないのよね…あのコ…」
(それは遭難です)
筆記試験、卒業判定、追試日程からするとおおむね1週間以上、20日未満
ではないかと
303:名無し三等兵
09/02/08 13:24:50
>>302
了解しました
304:名無し三等兵
09/02/08 13:27:12
遭難時の生存可能性とか考えると、3週間~一ヶ月くらいですかな
卒業試験は、卒業認定単位取得済で卒業試験を終了して・・・だから
単独踏破から帰還したのが秋に終わりだったら、3月までのんびりか
大学入試に向けてスパートかけるかのどちらかだろうね
同期が山の中を這いずっている最中に試験受けてる娘とか毎年居るんだよな
305:名無し三等兵
09/02/08 14:00:21
煙草を隠し持ってく学生が何人かは居ると思う
306:名無し三等兵
09/02/08 17:21:58 Sd87+EtO
>>302
>「うん…かれこれ20年になるけど、戻って来ないのよね…あのコ…」
これで「還ってきた」怪談ができるな
卒業試験で、とうとう帰ってこなかった同期で寮の部屋も同じだったあの娘
なんども防女だけでなく陸自と空自も合同で捜索したのに骨一本見つからなかった
そして、私は卒業防衛大学に進み配属され、人の妻となり、今は母校で教官をしている。
今年も卒業試験
帰没ポイントに設置された校外施設の窓から見ると
もの凄い吹雪・・・・
ビバークをちゃんと出来てるだろうか・・・・
307:555
09/02/08 22:12:55
>>287
携行できる小型の鍋ってのはサバイバルグッズには入ってないんですよね…
都市部では代用品が山のようにあるんですけど、さすがに冬山では代用品はないと…
ジップロックのビニールパウチでも遠火で加熱すればそれなりの温度にはなりますが…
何かいいものないですかね?
>>306
過去の「悲劇」を教訓にGPS搭載の発信器なんかを携行しているのではないかと…
エマージェンシーボタンで救援ヘリが飛び立って救助する体勢を整備。防女の「敵」は自衛隊と同じく日本国内に多いと思われます
(いわゆる某新聞社とか、某政党とかです~
試験期間中は各自に携行させた発信器をモニタするためにアルプスをヘリが飛び回る、登山者にとってはいささか興醒めする光景が多くなるのではと…
308:名無し三等兵
09/02/08 22:27:24
さすがに遭難者が出てたらとっくに廃止になってるんじゃ…
かなり初期から非常時の対策はしっかりしていたのでは
309:名無し三等兵
09/02/08 22:36:21
鍋は嵩張りますからな
ただ、冬山で水を造る・水を汲む・煮炊きに使う(暖かい食べ物を摂れるかどうかが体力維持の面で
死活問題です)・煮沸に使う・・・等々必需品と言えるのですな
あと、雪をそのまま溶かして飲むのも問題ですな
化学物質とか考えると「溶かす→冷ます→浄水器を通す→保温水筒に入れる→飲料用薬剤を投入→よく攪拌→飲む」
と、言う手間暇が必要です・・・明治くらいなら雪をそのまま溶かして飲めたんでしょうが。
軽くて頑丈で耐熱性・耐衝撃性その他に優れて、かつ、取っ手が付いてて蓋を固定できる(つまり米を炊ける)機能付きの
携帯鍋(分解可能)が欲しいですな
山歩きには米(300gくらい)と塩が必要なんですが、分解できれば(蓋・鍋本体・取っ手)荷物に入りそうなんですがね
雪国に詳しい「旧家のヒト」とか良いアイデアないですかね?
310:名無し三等兵
09/02/09 17:23:19 DsJCwbj0
ナイフは複数持ってると思う
サバイバルにおいて、頑丈で良く切れるグリップナイフは同じ重さの黄金より貴重だそうだから
311:名無し三等兵
09/02/09 18:40:34
過去のSSに白山での雪中行軍ではぐれて
雪を掘って3日間過ごした話がある
その生徒は毛皮の防寒着を着て助かった
あと遭難対策に航空要員戦闘救難科の生徒が
救難のアシスタントをしている可能性がある
312:555
09/02/09 19:08:35 lGqU/deS
>>309
せめて高尾山クラスなら、空き缶が至る所に…
(卒業訓練にならん罠)
313:名無し三等兵
09/02/09 20:40:49
>>286
>>289
熊の肉が手に入ったから良いけれど
手に入らなかったらどうなったのだろう
>>311が指摘しているSSみたいにチョコをかじって
飢えを凌ぐしかなかったのだろう
314:名無し三等兵
09/02/09 20:50:44
ある程度の食料は持参してくけど、選択と配分も
計画達成可能性を考慮する考課事項ですな
カロリーが高くて、嵩張らなかったり重くないものとか
米を食べなければ力がでないと、干米とか造って持ってくとか
ちなみに、防女の学生はウサギ等の罠猟と捌くのは全員必須なので。
6年間で仕込まれた色々の集大成を確認する試験だから
食いもんの確保一つとっても、アノ手コノ手を仕込まれている筈ですぞ
315:555
09/02/09 22:04:22
>>313
熊肉を入手できなかった人間のビバーク方法については
別途…
316:名無し三等兵
09/02/09 23:30:39
双子の片割れですか・・・
片方が楽ちんでもう片方が地獄を見る(すっご~く苦労する)とか
あと、外伝で >>91ネタで一本とか
新キャラとか伝説の先輩とかだろうなぁ・・・
317:名無し三等兵
09/02/10 20:10:16
>>316
定冠詞が付くわけですね>伝説のセンパイ