08/06/20 23:32:59
ゆきかぜ「いいえ、あの激動の時代を生き延びたというだけでも大きな意義があると思います。航空機の方々に聞かされたかも
知れませんが、貴方様は終戦後も復員輸送艦として活躍し、敗北に打ちひしがれた日本人に希望を与え続けました。
それだけではありません、戦時賠償艦として連合国に引き渡された時もその武勲を称えられ、
引渡し先で厚遇を受けたといいます。祖国に帰ることは叶わなかったものの、舵輪と錨のみは返還され、
今でも江田島に保管されています。
そして僕は…戦後初の国産護衛艦、はるかぜ型の二番艦として、貴方様のお名前を賜ったのです。
雪風様の功績は今日まで語り継がれて、多大な影響力を与えている事がお分かり頂けたでしょうか?」
ゆきかぜが手(?)をかざすと、そこからオレンジ色の淡い光が浮かび上がった。
「若松港の防波堤となった涼月と冬月、護衛艦わかばとして甦った梨、そして海防艦志賀など、終戦後生き延び艦船としての役目を
終えた者たちは今でもこの国の礎として見守り続けています。雪風様によろしくと、そして昭和の日本を守り抜いて欲しいという
メッセージを預かってきましたので、どうかお受取り下さい」
これまでずっと冷徹な態度を崩す事のなかった雪風は、そのオレンジの光を受け取ると表情に僅かな変化が見られた。
雪風「我が名を受け継ぎし艦よ、そなたの計らいに…心から感謝する」
T4「それではこれより皆様方を、過去の世界へと繋がるゲートへご案内致します」
漆黒の空と海の彼方に見える光、浦賀水道を出たその先に時空の門が現れる。
三笠「…行くのか雪風よ、武運を祈っとるぞ。そしてこの若い連中が皆、無事に帰れるよう導いておくれ」
雪風「爺さん、達者でな。この世界で会うことはもう二度とないだろう」
残る者達が見守る中、T4と雪風を先頭に、多くの兵器たちがまばゆい光の渦に飲み込まれて消えていった。
果たして空と海の守護者たちは、迷走する昭和世界を救うことができるのであろうか──