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今は昔、和伊比古神は野木雨兄大神の怒りにより何慈英板から追放され、住処を失って大層腹を空かしていたため農耕の神である舞元比売神の元を訪ねた 舞元比売神は突然の和伊比古神の訪問に驚きつつも快く受け入れ、新鮮な野菜を用いた豪華な料理を次々に用意した 和伊比古神は湧いて出るように供される料理を平らげてゆくが、その合間に調理場から漏れ聞こえる奇怪な呻きや叫びには疑問を覚えざるを得なかった 疑心と好奇を半々に、和伊比古神は台所の様子を覗き見る…すると舞元比売神が奇声を上げながら尻から野菜や稲を生み出し、それらを調理しているではないか 和伊比古神は荒ぶり、舞元比売神の尻から出ていた稲穂を勢いよく引き抜くと、握りしめた稲穂を背の中ほどまで振りかぶり、舞元比売神の尻へと叩きつけた 小気味好い音と共に女子らしからぬ低い嬌声が響き、疑問が深まった和伊比古神は舞元比売神を蹴り倒して服を切り裂くと、そこには雄々しい男根があったのだ 和伊比古神は腹ごなしついでに子供を仕込もうと考えていたため、舞元比売神が男子であったことに落胆し、
女子を装っていたことに酷く荒ぶって舞元比売神を斬り殺そうとした 倒れた際に腰を強く打っていた舞元比売神は逃げることも出来ず、和伊比古神の怒りで真っ赤に染まった顔と富士山のように怒張した股間からは説き伏せられる可能性など微塵も感じられない、絶体絶命の状況に陥ってしまったのだ そこで舞元比売神は「我が身は男子なれど、成り成りて成り合わぬところ一処あり」と、痛む腰に鞭を打って、自らの尻を和伊比古神へと向けて下品に振ってみせた 「しか善けむ」と、和伊比古神は納得して荒ぶる男根を舞元比売神の尻へと収め、数度腰を振った後にその怒りを鎮めたという その際舞元比売神の尻の穴より零れ落ちた和伊比古神の精液から何憂民神が生まれ、後に武威通場府という国を建てて民草を治めたとさ この伝説は「危機的で困難な事態を、一見悪手に見える手段をもって解決すること」を指す慣用句「舞元の腰振り」の語源の一つと考えられている