15/11/23 16:28:46.18 2KVI2hjI6
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ちなみに、ジョージ・オーウェルの作品は冷戦が開始された直後に評価され始め、
彼自身もイギリスのインドやシンガポール、南アフリカなどの植民地国に対する
横暴な政策よりも、よその国(ソ連)の批判に情熱を燃やし続けた人間だった。
よくある転向者の一人で、日本で言うならば有田芳生氏のような
共産党や北朝鮮を悪魔化する言説を流布して排外主義を助長させておきながら、
いざ国内でヘイト・スピーチが活発化すると反対姿勢を取る無責任な人間だった。
なにせ、結核に苦しみながらも書き続けたのは自国の政治的経済的侵略の批判や
反省ではなく、「イギリスが共産主義国になるとこんな地獄になりますよ」とでも
言いたげなソ連批判の小説(『1984年』)だったのである。
現代で例えるならば、アメリカの小説家が自分は左翼だと言いながら、
アフガン派兵への批判を全く行わずにアサド政権を非難しているようなものである。
つまり、やってることは少しも偉くない。
そのへんの平凡な自称左翼運動家と大差ないのである。
もし彼が、幸徳秋水や小林多喜二のように自国の帝国主義政策を
激烈に批判し、そのために国家権力によって処刑されたり惨殺されたりしたのであれば、
私も彼を勇気ある人間と称賛したいのだが、悲しいことにそんな事実は存在しない。
彼自身がこうまで高い評価を受け続けているのは、冷戦が開始され、
敵国を悪魔化するためのプロパガンダが求められたという時代の流れに救われた面が大きい。
実際、『動物農場』や『1984年』は政治色の強い作品で、
これが仮にソ連や中国の人間がアメリカやイギリスを批判するために
書かれたものであったならば、誰も見向きもしないまま終わったであろう。
今でも彼を異常に評価する人間がいるのだが、
私は彼がソ連を悪魔化することによって相対的に自国を弁護するという
姑息な行為がどうも目について、とてもじゃないが礼賛する気になれない。
この種の一見、反対者のようでいて、実は権力者が飼いならせるレベルの
抗議しか行わず、結果的に体制に支持する人間が跋扈している現在、
オーウェルは模倣すべきテーゼではなく、克服すべきアンチ・テーゼだ。
スターリンの評価も彼の影響が大きく、このスターリンに全責任を転嫁し、
民衆の協力を軽視する個人主義的歴史観の開祖の一人であると言ってもよい。