22/11/10 23:28:54.69 MMUX382H.net
上に述べた理想的な条件は、実際には次のようなことのために成り立たない。番号を対応させて述べていこう。
1)突然変異(mutation):個体群の中に変異がおこって新しい対立遺伝子が生じないと書いたが、
実際には突然変異によってランダムにDNAの変更が起こり、これが遺伝子プールに加わる。
2)遺伝子流(gene flow ):集団から離脱する個体も、集団へ流入する個体も存在せず、
したがって新しい対立遺伝子が集団内へ入り込むことも、出て行くことはないと書いたが、
実際には周辺にいた個体群から新たな個体が加わったり、個体群から離脱する個体がいたりして、遺伝子が流入したり出て行くことがおこる。
3)遺伝的浮動(genetic drift):個体群のサイズが十分大きく、頻度の有意な変化が偶然におこることはないと書いたが、
実際には、遺伝子頻度は世代間で偶然に変動する。
特に、個体群のサイズが小さくなったとき、この影響は大きくなる。
個体群のサイズが小さいと、何の力が働かなくても、配偶子に入る遺伝子がランダムに偏り、
その結果、生じた接合子の遺伝子頻度が変化しやすくなる。
統計学で言うサンプリング・エラーで、さいころを転がして2の目が出る確率は最初の何回かは偏っているが、
多数回、振るにしたがってしだいに6分の一に収束していくのと同じである。
遺伝的浮動によって、多様性が減少したり、対立遺伝子の頻度が変化する。
4)自然選択(natural selection):個体群に属するすべての個体は、繁殖可能になるまで生き残って同等に繁殖すると書いたが、
実際には繁殖可能になるまで生き残る確率は、すべての個体で同等ではない。
たとえば、餌をとる能力が極端に低かったり、つがい相手をひきつける魅力が少なかったりすると、同等には繁殖に参加できなくなる。
5)非ランダム交配(nonrandom mating):遺伝子型は有性生殖によってランダムに混ぜ合わせられると書いたが、実際にはつがい間で選択が起こる。
「進化」を集団遺伝学の立場から見ると、これらの5つの要因が、
単独あるいは複合して個体群にはたらき、遺伝子頻度に変更を加えることだと定義することができる。
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