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トンガ火山噴火、何が起きたのか、1秒間に100回の雷
URLリンク(natgeo.nikkeibp.co.jp)
大量の雷、衝撃波、津波、年末に始まった噴火
2021年末、南太平洋の島国トンガで、海面から顔を出していたある火山島フンガトンガ・フンガハアパイが噴火を始めた。当初は灰色の噴煙と控えめな爆発が起こる程度のもので、トンガの住民以外に気付く人もほとんどいなかった。
年明け早々にいったん活動が穏やかになったが、その後一転して激しくなり、高く上がった火山灰の柱は、記録的な量の雷を発生させた。「1分間に5000~6000回、つまり1秒間に100回の雷が発生するようになったのです。信じがたい量です」。気象測定を行うフィンランドの企業ヴァイサラ社のクリス・バガスキー氏はそう述べている。
そして1月15日、火山は凄まじい爆発を起こした。大気は吹き飛ばされ、衝撃波となって音速に近い速さで島から放射状に広がった。ソニックブーム(衝撃波に伴う音)は、2000キロ以上離れたニュージーランドでも聞かれ、衝撃波は最終的に地球を半周して1万6000キロも離れた英国にまで到達した。
フンガトンガ・フンガハアパイは、南太平洋の火山密集エリアに位置している。...
これほど多くの火山がひしめいているのは、太平洋プレートがオーストラリアのプレートの下に継続的に潜り込んでいるためだ。プレートがマントルの超高温の岩石の中に潜っていくと、プレート内部にあった水分が分離する。その水分の働きによってマントルが溶けることで、ガスを含んだマグマが大量に生成されて、爆発的な噴火を起こす条件が整う。...
トンガの噴火による雷は、当初からヴァイサラ社のグローバル雷検知ネットワーク(GLD360)によって検知されていた。最初の2週間は、1日に数百~数千の雷が記録されることもあったが、これはとりたてて異常なことではない。
ところが14日から15日にかけては、火山によって発生する放電が数万回に及び、ある時点では1時間で20万回を記録した。2018年に起こったインドネシアの火山島アナククラカタウの噴火で見られた放電が1週間程度で34万回だったことを考えれば、この数の凄まじさがわかるだろう。
噴火の前兆
驚異的な量の雷のほかにも、火山の壊滅的な爆発の前兆は存在した。15日の朝には、衛星画像によって、島がもはやかつての姿を留めていないことが明らかになっていた。島の中央部が、おそらくは爆発の勢いが増したせいで消失していたのだ。...
ただし、津波の正確な原因を突き止めるには、まだ十分なデータが揃っていない。...
そして、主要な津波の原因ではないものの、衝撃波自体もまた、別の大きな波を生み出す引き金となった。急速に移動する空気が波に衝突し、その力によって水が押しのけられたこの現象は、メテオ津波(気象津波)と呼ばれている。
ニュージーランド、オークランド大学の火山学者シェーン・クローニン氏はブログで、なぜ今回の現象がこれほどまでに激しいものになったのかを探る手がかりは、内部のマグマが生み出すパワーが時間とともに高まる、火山の化学的性質にあると述べている。...
同地域で最後の大噴火が起こったのは1100年前のことであり、それ以来、マグマが蓄積されていった。マグマ溜まりがほぼ満杯になると、少量のマグマが火山から漏れ出し、おそらくはこれが2009年以降の噴火の背景にあったと思われる。
しかしながら、「いったん再充填されれば、大量のマグマがガス圧を上昇させ始め、小さな噴火による放出が追いつかなくなっていきます」とクローニン氏は言う。そのままの状態はもはや保てず、そこに溜まっていた溶けた岩の大半が一度の爆発で一気に放出される。...