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【斧谷稔】大富野教信者の会part43【井荻麟】
スレリンク(x3板)
438 名前:通常の名無しさんの3倍[sage] 投稿日:2007/04/07(土) 00:20:44 ID:???
「ターンエーという名称まで考え出したんだから安心しろ。」
富野はスタジオの若手スタッフを元気づけようとした。
しかし、気心の知れた星山以外のシナリオライターはガンダム20周年記念事業企画という名目
を意識してしまい、1年間でガンダムシリーズ総決算としての、敵と味方に分かれた大決戦の”決
勝リーグ”(単純な戦闘物)を第8作目としてやるべきだと発言してきたのである。富野は反論し
た。
「ターンエー(∀)からまたはじめるのであって、決算はしない。そんなことをしたら、もうガン
ダム・ワールドはうそでも続かなくなる。そう感じたから、過去の作品を全否定しない設定を生ん
で、ここからはじまる物語をつくろうとしてるんだ。」
それでも、設定製作も手がける河口佳高、浅川美也、高橋哲子をはじめとするライター陣に、富
野のコンセプトをすぐに理解してもらい、脚本を制作してもらうことは簡単な作業ではなかった。
主人公ロランを女装させてローラと呼ぶ設定のアイデアがでたとき、それを軸にして全体の流れを
構築することをあるライターに頼むと、そのライターはバイオテクノロジーによる男女産み分けの
物語を展開し、それが富野の逆鱗に触れた。富野は思いつく限りの罵詈雑言をそのライターに浴び
せ、そのライターは担当を降りた。
富野の黒歴史(有史以前に宇宙世紀の時代があったという考え方)というアイデアについてはど
のライターも承認してくれるのだが、やはり決勝リーグにしたいというライターたちの考え方はな
かなか変わらなかった。∀ガンダムの1クールまでのシナリオ執筆は根本的なところでライターか
らの合意をとりつけることができず、何度となく失速状態に陥った。富野は自説の黒歴史論は間違
いないのだから、それを目指してトロトロとやるしかないと覚悟した。それは結局、協力してくれ
たライターたちも同じで半信半疑のままシナリオを執筆し続けたのだった。しかし、ライターたち
は依然として、20周年記念事業のテレビアニメであるガンダムの強迫観念あるいは呪縛に囚われて
いるように富野には思えた。有能なライターの二人が1998年3月末の時点でまた降板した。