19/06/03 18:20:59.58 jQxX6wbN.net
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むしろ、私は世の評論家や教師は、若い人々に
「他人の痛みや気持ちをわかる難しさ」を教えるべきだと思っております。
そこから、自然に他人に干渉しない、
他人を異質なものとして尊重するという態度が養われるからです。
中島義道『哲学の教科書』
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われわれが「語る」ことを取りもどすには、
あえて他人を「察する」ことをやめなければならない。
「察する」ことに鈍感にならなければならない。
そして、その分だけ「語る」ことに鋭敏に勤勉にならなければならない。
そこまでしなければ駄目なのだ。
中島義道『うるさい日本の私』
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「差別する自分」を頭から断罪する前に、
「差別したい自分」と「差別したくない自分」とのせめぎ合いを正確に測定することが必要であろう。
自分は眼の前のこの人を哀れんでいるのではないか?
もう充分哀れんだから、早く消えてもらいたいのではないか?
中島義道『差別感情の哲学』
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現在と過去との二元論を採用したいのです。
現在と過去との決定的差異を見据えることが時間論のすべてだと言いたい。
では、未来とは何か。それは、私の考えでは「まだない」のではなく、
じつはありとあらゆる意味で「ない」、つまり完全な無なのです。
中島義道『時間を哲学する』
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私は自分が若いころの元気な日本が嫌いなので、
現代のいささかしょぼんとした祖国は捨てたものではないと思っている。
むしろ、元気であったからこそ、国民が一丸となって一流国へ向けて
邁進していたからこそ、繊細さに欠けた下品な国であったように思う。
中島義道『どうせ死んでしまう…』
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「明日死ぬとしたら」という条件を付けて
「何をすべきでないか」を考えてゆきますと、おもしろいことに
この世の偉大なことは背景に退き、個人的な些細なことが前景に広がってきます。
中島義道『人生を<半分>降りる』
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他人に対して―たとえわが子に対してであっても―「情けない」という言葉を
発することが許されるほど完璧な人は、この世には一人もいないと私は思っています。
中島義道『私の嫌いな10の人びと』
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人間は、誠実に生きていくなら、少なからず他人とぶつかるはずであり、
その場合、他人に怒りをぶつけねばならないこともあり、
他人を攻撃しなければならないこともあるのだ。
他人の怒りを浴びねばならず、攻撃を身に受けねばならないこともあるのだ。
中島義道『人生に生きる価値はない』