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チェルノブイリを徘徊するオオカミたちは突然変異で抗がん能力を獲得していた - ナゾロジー
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大倉康弘Yasuhiro Okura
最終更新日 2024/2/14(水)
公開日 2024/2/13(火)
1986年のチェルノブイリ原子力発電所事故により、周辺地域には放射性物質がまき散らされました。
そして、現在のウクライナとベラルーシにまたがる原発から半径30kmの区域が「チェルノブイリ立入禁止区域」となりました。
今もなお、人間の立ち入りは制限されていますが、この区域を徘徊するオオカミたちにはある特別な変化が生じているようです。
アメリカのプリンストン大学(Princeton University)に所属する進化生物学者のカーラ・ラブ氏によると、チェルノブイリ立入禁止区域のオオカミたちには、がんに関連した遺伝子的変異が生じているというのです。
オオカミたちは毎日、人間における法的安全限界の6倍に当たる放射線を受け続けているにも関わらず、その影響に対して驚異的な回復力を示していたのです。
この新しい研究は、2024年1月にワシントン州で開かれた生物学に関する年次総会「Society for Integrative and Comparative Biology(SICB)」にて報告されています。
Mutant Chernobyl wolves evolve anti-cancer abilities 35 years after nuclear disaster
URLリンク(www.newswise.com)
Mutant wolves exposed to Chernobyl disaster have evolved a new superpower, scientists discover
URLリンク(www.dailymail.co.uk)
ライター:大倉康弘Yasuhiro Okura
得意なジャンルはテクノロジー系。機械構造・生物構造・社会構造など構造を把握するのが好き。科学的で不思議なおもちゃにも目がない。趣味は読書で、読み始めたら朝になってるタイプ。
編集者:海沼 賢Kainuma Satoshi
以前はKAIN名義で記事投稿をしていましたが、現在はナゾロジーのディレクションを担当。大学では電気電子工学、大学院では知識科学を専攻。科学進歩と共に分断されがちな分野間交流の場、一般の人々が科学知識とふれあう場の創出を目指しています。
チェルノブイリ原発事故から数十年、立入禁止区域のオオカミが抗ガン能力をもつ
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1996年の放射能汚染地図。青色の円が半径30kmの「立入禁止区域」 / Credit:Wikipedia Commons_チェルノブイリ立入禁止区域
原発事故以来、チェルノブイリ立入禁止区域では、イノシシ、シカ、アライグマ、オオカミ、200種以上の鳥類など、多くの野生動物が再定着しています。
それら動物は被ばくしながらも、何世代にもわたって生き残っているのです。
そこで2014年、ラブ氏ら研究チームは、発がん性のある放射線に対するオオカミの反応を理解するために、調査を開始しました。
彼女たちは、チェルノブイリ立入禁止区域で生活するオオカミ(学名:Canis lupus)たちに、現在位置と放射性物質を検出する特殊な首輪を付けて追跡し、その血液を採取することで、オオカミたちの状態を詳しく分析することができました。
その結果、チェルノブイリ立入禁止区域のオオカミたちは、生涯にわたって毎日11.28ミリレム (mrem:1 レム = 0.01 シーベルト) 以上の放射線にさらされていることが分かりました。
ラブ氏によると、これは法的に定められている人間の労働者の許容被ばく限界の6倍です。
では、どうして立ち入り禁止区域で生息するオオカミたちは、そのような状況でも生き続けられるのでしょうか。
(略)
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