24/06/23 14:44:43.79 I5ahGYdw.net
現在の日本のアニメは世界からも絶えず注目され、原作サイドやTV局、音楽方面などでも、重要なポジションにいます。しかし、かつてアニメは子供向けのものとされ、軽視されていました。アニメはどのように、現在のような地位を獲得したのでしょうか?
今でこそ世界中で人気を獲得し、日本国内でも子供からお年を召された方まで楽しまれているアニメですが、昔はもっと軽い扱いをされていたことをご存じの方も多いでしょう。1996年にアニメ化された『るろうに剣心』のオープニング「そばかす」は、あまりにも作風にそぐわないとして当時物議を醸しました。
しかし楽曲を担当したJUDY AND MARY側には、急にタイアップが決まったので2日で「アニメソング」を書けと、プロデューサーから指示があったそうです。作品が何かも教えてもらえず、やむを得ず『キャンディ・キャンディ』をイメージして作り上げられたのが「そばかす」なのですが、このような曲作りを行なったのには裏がありました。
実のところ、担当プロデューサーはそもそも『るろうに剣心』を単なる楽曲の宣伝媒体程度にしか考えておらず、意図して「アニメと関係ない曲に仕上げた」ことを後に明かしています。現在のように、作品の骨子に寄り添い作詞作曲が行われる時代からは、考えられないことです。
このように軽い扱いを受けていたアニメが、なぜ今は重要な扱いを受けているのか。単純な理由としては、市場規模が拡大したためです。2002年には約1.1兆円だった市場規模は、2022年には約3兆円と3倍近くに成長しています。
特に正規配信が開始されてからの海外市場では、ライブパフォーマンスや劇場アニメーションが高い利益を叩き出しています。なかでも劇場版は、かつて夢物語に近かった興行収入100億円を突破する作品が次々と現れる状況です。名作と名高い『天空の城ラピュタ』が11.6億円であることを考えると、隔世の感があるといえるでしょう。
資源に乏しい日本にとっては、人の才能と労力で生み出せるアニメは貴重な成長産業のはずです。主に人材育成に対する支援など、政府にはより一層の協力を期待したいところです。
しかしながら、1963年に日本初の本格的なTVアニメ『鉄腕アトム』が登場して以降、アニメの世界を支えてきたのは数多くのクリエイターが死力を尽くして生み出してきた作品群と、アニメを楽しんでいた一人ひとりのファンたちです。市場規模拡大という言葉は、結果論に過ぎません。
特に1970年代に入ると、『海のトリトン』の女性ファンたちがアニメブームの先鞭をつけ、その後に続いた『宇宙戦艦ヤマト』と『機動戦士ガンダム』が強烈なアニメブームを巻き起こし、その影響は現在も続々と新作が作られる形で継続中です。
1980年代前半にはTVアニメ『キャッツ・アイ』のオープニングテーマ「CAT’S EYE」や、劇場版『超時空要塞マクロス』の作中歌「愛、覚えていますか」が、ランキング形式の歌番組に登場するなど、それまで童謡扱いされ軽視されていたアニメソングも、徐々に受け入れられていきました。
その後、ファミコンの台頭や、社会情勢もあり苦しい状況に置かれたこともあった日本のアニメですが、庵野秀明監督が手掛けた『新世紀エヴァンゲリオン』のヒットにより製作委員会方式が普及します。
深夜帯のアニメも定着し、収入源もかつてのおもちゃやプラモデル、小道具を売る形からさまざまなグッズの版権収入およびDVDの販売などに変化して、今まではアニメに関係がなかった多くの業者も参入するようになりました。
さらに、2001年に宮崎駿監督が手掛けた『千と千尋の神隠し』は、興行収入が316.8億円(リバイバル上映分含む)と、劇場アニメの価値を大いに押し上げます。『サマーウォーズ』の細田守監督や『君の名は』の新海誠監督など、才能あるクリエイターが劇場で次々と実績を上げるなか、ついに2020年になり劇場版『鬼滅の刃 無限列車編』が興収400億円を突破し、歴史を塗り替えたのです。
一人ひとりが作り、一人ひとりが劇場へ足を運び、一人ひとりが配信を眺める。
外部の企業は宣伝し、イベントを開催し、グッズを企画する。
ファンは好きなキャラクターを推し、グッズを購入し、SNSで愛を叫ぶ。
そのひとつひとつの動きの結晶体が今のアニメの人気であり、誰かひとりの成果ではありません。世界レベルでアニメを盛り上げている一員であることを、クリエイターも、関係者も、ファンも誇りにしてもいいのではないのでしょうか。
URLリンク(news.yahoo.co.jp)
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