産経抄ファンクラブ第298集at MASS
産経抄ファンクラブ第298集 - 暇つぶし2ch992:文責・名無しさん
23/08/31 06:25:34.89 ol9x8fi00.net
夏の終わりは
少年の頃は野球をしていたこともあり、日差しの変化に季節の移ろいを重ねたものだった。晩夏のグラウンドは、西日の落とす影法師が日ごとに長くなる。気温よりも先に秋を告げる光の駆け足が、この時節になるとよく見えた。
▼暦を繰ると、東京はこのひと月で日の出が24分遅くなり、日の入りが36分も早まった。1日2分の割合で、日中が短くなった計算である。過ぎし日の「夏休み」の終わりを思い出し、感傷的な心持ちで8月の後ろ姿を見送る人も多いのではないか。
▼<男ひとり流木に座す夏の果(はて)>高崎公久。『角川俳句大歳時記 夏』にそんな一句を見つけた。晩夏の季語にはほかにも「ゆく夏」「夏惜しむ」もあり、夏への名残惜しさがにじむ。朝夕のさらっとした風に秋の気配を覚えることもあり、「秋隣」「来ぬ秋」も歳時記にある。
▼秋の気配はそばに感じられるのに、姿は見えない。そんな感覚か。30~40年前のこの時節は、夏の衰えと近づく秋を肌で感じられた。いまはどうだろう。残暑は依然厳しく終わりが見えない。行く夏を惜しむ思いは年々、行き場をなくしつつある。
▼気象庁は、この夏の日本の「平均地上気温」が明治31(1898)年の統計開始以降、最高となる見込みだと発表した。太平洋高気圧が平年より強く、日本周辺の海水温が記録的に高く…。諸条件が重なった結果という。テレビアニメ『サザエさん』の先日の放送回を思い出す。
▼「昔の人を尊敬するよ。8月を31日までと決めたんだから」と、カツオが言っていた。最後の1日がなければ夏休みの宿題が終わらない、と。8月のカレンダーをめくる切なさは、もはや理解されぬひとりよがりの感傷らしい。昭和は遠くなりにけり―である。


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