産経抄ファンクラブ第298集at MASS
産経抄ファンクラブ第298集 - 暇つぶし2ch949:文責・名無しさん
23/08/27 10:00:12.45 iCF1Qnsw0.net
8月27日 異星人から見た地球人
地球のはるか上空、襲来した宇宙船から異星人の声がする。「まことに遺憾ながら、地球は取り壊し予定惑星のひとつになっております」。太陽系を通る高速道の建設のためという。人々の恐慌をよそに、地球は一瞬で消された。

▼SF小説『銀河ヒッチハイク・ガイド』(ダグラス・アダムス著、安原和見訳)である。間一髪で難を逃れた主人公は、銀河系を旅する中で謎の数字と出会う。「生命、宇宙、万物についての究極の疑問の答え」を求められたスーパーコンピューターが、「42」と示すのである。

▼その心は知らない。近い数字は先週、目にした。「彦星」として知られるアルタイルに向け、昭和58年8月に日本の研究者がメッセージを発してから40年となる。彦星までは16・7光年、電波の往復などもろもろの計算だと返事が届くころらしい。

▼地球人の生態や文明レベル、地球上の生命進化の過程など13種類のデータに対して、異星人からの反応はありや―。長野県の観測所にある宇宙航空研究開発機構(JAXA)の大型パラボラアンテナを使い、22日夜に電波の観測が行われたという。

▼胸の高鳴りを覚えつつ、異星人による地球人評が気にもなる。先の小説では4光年離れた星の役場に、地球破壊の告知が50年間も張り出されていた。地球人は危機に気づかず、異星人は「いまごろ文句を言うのは遅すぎる」と告げて引導を渡した。この四半世紀の地球はどうか。

▼争いは絶えることなく、威圧的な外交で世界との亀裂を深める国が台頭し、気候変動という脅威もある。彦星からの電波に声あらば…と想像を巡らせる。「遅すぎる」と「まだ間に合う」。地球人と破局とを隔てる距離は、異星人の目にどう映っているだろう。


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