産経抄ファンクラブ第298集at MASS
産経抄ファンクラブ第298集 - 暇つぶし2ch672:文責・名無しさん
23/08/01 07:25:31.45 JK8MxpsX0.net
俳句の急所について、「感動という答えを出すための引き算」と述べたのは西東三鬼である。

▼例えば代表句<おそるべき君等の乳房夏来る>。寄り道せず、ひと息に夏を描き切っている。俳人はこうも言う。「別の言葉でいえば凝縮させるわけです」(『西東三鬼全句集』角川ソフィア文庫)。強靱(きょうじん)な句を作る呼吸という。初心者に伝わるかどうかはともかく、無駄を省いた言葉はすがすがしい。

▼「十七文字の魔術師」と呼ばれた達人の境地には遠く及ばぬものの、新聞記者も抗し難い制約と格闘している。締め切りと紙数の限りである。「逆三角形」は記事の理想型といわれる。人の体でいえば、ニュースの要点は頭の方に、枝葉末節はお尻の方に。削るならお尻から、という具合である。「引き算」を本分とする点では、俳人と似ていなくもない。

▼お気づきの通り、本日の紙面から1面など一部のページで文字が大きくなった。その分、1ページに載る文字数は約15%減る。人の所業と思えぬロシアの狼藉(ろうぜき)、外交や経済に見る中国の恫喝(どうかつ)など内外を見渡せば、届けねばならないニュースはごまんとある。読みやすさと豊かな情報量、2つを背反させずに新聞の質を保てるか。記者の「削る力」も問われよう。

▼紙面刷新という岐路に立ち、小欄はハコの形をそのままに字数が従来の699字から693字となる。マイナス6文字。1%に満たぬ微減で済んだのは、諸先輩の守り続けてきた看板と伝統の重みゆえである。大きな引き算を免れた分、世評という強い向かい風を引き受けよ―との読者からの叱咤(しった)も聞こえる。

▼一言一句に心胆を練り、強靱な文章を…。変わらぬ席を許されたコラムの使命と前途の険しい坂を思い、背筋が伸びる。


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