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6月14日 産経抄
朝に出した命令を夕方には撤回する。故事成語の「朝令暮改」は前漢文帝の時代、家臣が農民の窮状を訴えるなかで使った言葉である。埼玉県営公園プールで予定されていた水着撮影会をめぐる混乱は、まさに朝令暮改がもたらした。
▼もともと撮影会は5年前からプールの閉鎖期間に120回にわたり行われてきた。ところが今月8日、公園を管理する県公園緑地協会が、今月中に開催を予定していた6つの団体にイベントを一斉に中止するよう要請した。協会によれば、露出度の高い水着を着用しないことなどを条件に開催を許可してきた。それに対する違反が理由である。共産党県議団もまた「性の商品化」だと主張して中止を求めていた。
▼12日になって事態が一変する。大野元裕知事は会見で、6団体のうち4つについては中止要請を撤回するよう協会を指導したと明らかにした。条件違反が確認できない、あるいはそもそも条件を提示していなかったというのだ。
▼とはいえすでにイベントの日程が終了している団体がある。SNS上では、仕事を奪われたグラビアアイドルの悲鳴や特定の政治団体の圧力へのおもねりに対する批判の声が相次いだ。
▼かつて物議をかもした国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」を持ち出して、「言論の自由」を論じる向きもあった。昭和天皇の肖像を燃やすような作品まで出品されたあきれた展覧会については、コラムで「お上に頼るな」と書き、補助金の交付に反対した。
▼今回の水着撮影会はれっきとしたビジネスである。モデルから弁当店まで多くの人が損害を被った。法律の専門家は、県の賠償責任が問われる可能性さえ指摘する。そうなれば朝令暮改の付けを払わされるのは県民である。