産経抄ファンクラブ第298集at MASS
産経抄ファンクラブ第298集 - 暇つぶし2ch243:文責・名無しさん
23/06/25 08:01:36.80 jNqbbP0+0.net
6月25日 産経抄
次の文章は、誰が書いたものでしょうか。<我輩(わがはい)も犬である/名前は勿論(もちろん)ない/何処(どこ)で生(うま)れたか忘れて仕舞つた>。あまねく知られた名作の冒頭に、着想を得たことはすぐ分かる。作者はいま話題のアレではない。
▼旧制中学時代の芥川龍之介である。同級生と回覧用の雑誌を編んでおり、先の一文は、そこに載せた短編の書き出しという。飽き性の主人公という設定も筆致も、本家の『吾輩(わがはい)は―』をほうふつさせるのだが、文章は細部まで練られ、芥川作品として十分楽しめる。
▼この一編が、芥川の全集に収められていることにも微苦笑を誘われる。権威ある文学賞に名をとどめるその人が、名作のパロディーから文壇への一歩を踏み出したことは興味深い。名文は一日にしてならず。意外の念に打たれつつ、意を強くした子供は多いだろう。
▼ところが、である。異様な速さで進化するアレを使えば、労せずして大人が書いたような文章が出来上がる。二、三の指示で文章や画像を作成する人工知能(AI)の取り扱いに教育界が頭を抱えている。文部科学省は近く、学校向けのガイドラインを示すという。
▼AIを使った学習は、よく高速道路にたとえられる。目的地に早く着けても途中の景色は覚えていない。子供の「考える力」を育てることは、答えにたどり着くまでの景色を見せることだ。使用を禁じるのは難しい。使い方をどう教育するか、時間との勝負だろう。
▼芥川は尋常小学校4年で俳句に目覚め、<落葉焚(た)いて葉守りの神を見し夜かな>と詩情の薫る句を詠んでいる。樹木を守る精霊を見た、と。当時の世にAIありせば、豊かな文才句才は花開いたろうか。『羅生門』や『蜘蛛(くも)の糸』は、古きよき時代からの贈り物といえなくもない。


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