産経抄ファンクラブ第296集at MASS
産経抄ファンクラブ第296集 - 暇つぶし2ch674:文責・名無しさん
23/03/14 08:23:05.43 BeI4MgCl0.net
3月14日 産経抄

題名もストーリーも忘れたテレビドラマだが、一つのセリフだけが妙に記憶に残っている。普段、読書に縁がなくトラブルばかり起こす若い女性が急に哲学的な言葉を口にし始めた。心配した友人がつぶやく。「ひょっとして、大江健三郎なんか読んでるんじゃないか」

▼昭和のある時期の学生にとって、大江文学の愛読がインテリの条件だった。残念ながら小欄は、難解な寓意(ぐうい)と独特の文体についていけず、何度も途中で投げ出した。にもかかわらず、コラムには何度も登場していただいた。

▼「防衛大学生はぼくらの世代の一つの恥辱だと思っている」「日本の自衛隊は憲法違反であり、従って全廃しなければならない」。大江さんの自衛隊論には、まったく同意できなかった。

▼平成6年にノーベル文学賞を受賞した際は、日本人として素直にうれしかった。もっとも、まもなく失望に転じる。なぜ、文化勲章を拒否しなければならなかったのか。

▼「日本の若者が海外で人を殺し、殺されることになる」。集団的自衛権行使容認に反対する集会での大江さんの発言を知ると、頭に血が上ったようだ。「小紙でもお読みになって、もう少し国際情勢を勉強されてはいかがかな」。コラムをこのように締めくくったら、案の定抗議が殺到した。

▼大江さんの訃報を聞いて、文豪と言葉を交わしたたった一度の機会を思い出した。58歳の若さで世を去った元エリート外交官の西山健彦さんの葬儀を取材した時だ。大江さんの講演に西山さんが鋭い質問を飛ばして以来、2人は親交を深めてきた。友との語らいに「文学の世界では見いだせなかった堅固な充足感」が満たされたという。大江さんの弔辞には、心の奥底から感動したと告白しておく。


次ページ
続きを表示
1を表示
最新レス表示
レスジャンプ
類似スレ一覧
スレッドの検索
話題のニュース
おまかせリスト
オプション
しおりを挟む
スレッドに書込
スレッドの一覧
暇つぶし2ch