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５月１６日(土)朝日新聞東京版朝刊「声」欄
沖縄守りに来たはずの日本軍が 無職 宮城定吉(沖縄県 ８６)
１９４４(昭和１９)年、私が国民学校４年生の頃だったと思います。米軍の上陸を
阻止するためだとして、沖縄のわが家の近くに日本軍がやって来ました。
兵隊さんは、ほとんどが沖縄県外の人です。沖縄の言葉は通じず、まるで外国人の
ようでした。われわれ子どもたちには、「沖縄では何と言うか」と聞いたりして
遊んでもくれましたが、ふだんは「お前たちの島を守りに来た！」という、
よそよそしい態度。実弾演習では畑を踏んづけて芋をダメにし、休憩時間には
畑から勝手にキャベツを引き抜いて、刻んで食べてしまいました。糞尿も畑の中に
やり放題です。
しかし、私たちが最も驚いたのは、丘陵地に避難壕を造ったときのことです。横穴を
掘っていき、中から「クチャ」という硬い土を外に捨てる際、すぐ前の畑にクチャを
ボタ山のように積み上げ、畑を耕作不能にしてしまいました。地主に補償が
あったのかどうかわかりません。でも、「国のため」と言われたら文句の言いようが
なかったのです。
軍隊とは、住民やその暮らしを守るものではない。そう思い知らされた子ども時代の
記憶です。
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戦争だったんだよ。有事だったんだよ。
有事においては優先順位というものがある。
あの時の沖縄では、米軍から住民を守るのが最優先。
畑を守って住民を犠牲にしたんじゃ、本末転倒だ。
今の日本には有事の時の法が無いから、
自衛隊が国民の命を守るために田畑に立ち入ったら不法侵入罪に問われる、
なんて馬鹿な事も起こりかねない。