24/11/19 20:06:33.42 XZDVzHlf.net
アメリカの2024年大統領選挙で起きた「政治的地震」の震源地は、アメリカの社会契約の崩壊にあった。「懸命に働き、ルールを守れば子どもたちはより良い生活を送れる」という250年間続いた基本的な社会契約が、初めて機能しなくなったのである。
この崩壊は特に若い世代、とりわけ若い男性に深刻な影響を与えている。大学進学率は2011年から47%から42%へと低下し、製造業の海外移転で中流階級への道が失われ、住宅価格の高騰により18-24歳の男性の60%が親と同居を強いられている。この世代は孤立、絶望、生産性の低下に苦しみ、肥満、薬物依存、自殺のリスクも高まっているのが現状である。
経済的な世代間格差も顕著である。70歳以上の層は40年前より72%裕福になった一方で、40歳未満は24%貧困化している。1981年には38歳だった住宅購入者の中央年齢は、現在54歳にまで上昇した。
この状況を背景に、トランプは若い男性とその親たちの強い支持を獲得した。18-29歳の男性層で2020年から15ポイント支持を伸ばし、45-64歳の女性(若い有権者の母親層)からも他の年齢層の女性より強い支持を得た。結果として、7つのスイング州全てで勝利し、初めて一般投票でも勝利を収めたのである。
解決策としては、最低賃金の引き上げ(時給25ドル)、若者向けの有給での国家奉仕制度の導入、300万戸の住宅建設、公立大学の無料化拡大、職業訓練の強化などが提案されている。また、若者の出会いの機会を増やすため、リモートワークから対面での仕事への回帰も推奨されているところである。
この選挙は当初、女性の権利についての国民投票になると予想されていたが、実際には若者、特に若い男性の経済的・社会的な不満が主要な争点となった。トランプ陣営はこれを理解し、若いブロ(兄貴分)のような振る舞いを通じて支持を獲得する戦略を展開したのである。この結果は、アメリカの若者が直面している問題の深刻さを示すとともに、その解決なしには政治的な安定も難しいことを示唆している。
結論として、アメリカ社会は若い世代、特に若い男性の経済的・社会的地位の回復という課題に真剣に取り組む必要がある。これは単なる政治的な問題ではなく、アメリカの社会契約を再建し、次世代に希望のある未来を提供するための本質的な課題となっているのである。