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三波春夫さん「お客様は神様です」の誤解 真意の源は79年前?
隈元悠太 有料記事
2024/8/16 06:00
「お客様は神様です」
国民的歌手・三波春夫さんの有名な言葉は接客の王道として引用されてきた。
そして、サービスを提供する方も受ける方も、客が何をしても許されるとの風潮がまん延し、
大手企業や自治体が「カスタマーハラスメント(カスハラ)」対策に乗り出す事態になっている。
この言葉。三波さんの長女、美夕紀さん(65)は「真意とは違う形で独り歩きしてしまった」と話す。そして、真意の原点は79年前にあると推察する。【隈元悠太】
<主な内容>
・「神様のようですね」が一人歩き
・「最高の状態で歌わなければならない」
・「つらさを薄めたい」
・笑顔でいる努力
コンサートでの「一言」
発端は1961年、地方都市での巡業コンサートだった。
白黒テレビの世帯普及率は6割程度で、有名歌手の公演は庶民にとって重要な娯楽になっていた時代だ。
会場の学校の体育館は老若男女でにぎわった。司会者に「大変な満席です。このお客様を見てどう思いますか」と振られ、
三波さんは「神様のようですね」と応じた。会場は歓声と拍手に包まれた。
この出来事が広まり、各地の主催者から同じ発言を求められるようになった。
人気漫才トリオが三波さんのモノマネで「三波春夫でございます。お客様は神様です」と連呼したことも影響し、世間に浸透していった。
真意は「覚悟と決意」
2001年に77歳で亡くなった三波さんは生前、言葉の真意について尋ねられた際、こう答えていた。
「歌う時は神前で祈るように雑念を払って、まっさらな澄み切った心でなければ、完璧な芸をお見せすることはできないと思っています。
ですからお客様を神様とみて歌うのです」
三味線を伴奏に長時間、語り続ける浪曲が芸の原点。ミスは許されず、観客が満足できる舞台をつくらなければならない。
プロとしての心構えと意気込みを表した言葉だった。
美夕紀さんは、マネジャーとして10年以上、父と行動を共にした。
国民的歌手は、酒やたばこはやらず、歓楽街に繰り出すことはなかった。のどの調子を整えるため食事中には声を出すことも控えた。
三波さんは、こうも話していた。
「お客様は、入場料を払ってわざわざ来てくださっている。
失望や落胆を抱かせてしまうことは、死ぬほど恥ずかしい。だから、私は常に最高の状態で歌わなければならないのです」
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